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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第17章 冥府の王と光闇の女神
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冥府の門 -17-07-

冥府の門を開くと周囲一帯が消し飛ぶ可能性があるため、既に滅んでいるノクト墓地に場所を移し、魔法陣を描く。


そして、入れ替わりで魔力を維持し続けること3時間。


「ホントに帰って来るのか?」


「……帰ってきます」


ヨウの言葉にシオンが俯きながら答える。

そこへ唐突に現れたのは星辰だった。


「我も手伝おう」


「今までどこにいたの?」


ハルトが星辰に問いかける。


「冥府に行ったかどうかの確認をしに(うえ)までな」


魔法陣の淵に立った星辰が凄まじい量の魔力を送り込む。

いきなり注ぎ込まれた強大過ぎる魔力に魔法陣に火花が走る。


「少し無茶をしたが、これで2時間ぐらいは持つだろう」


「すまないね」


「礼を言われるいわれはない。こっちとしても帰ってきてもらわなければ困るのだ」


冥府の門は已然として勢いよく周囲の瓦礫を吸いこんでいる。


「これ何日かかるかなぁ……」


「む……」


星辰が顔をしかめる。


「どうしたの?星辰」


「少し嫌な気配がしてな……もうすぐ帰ってくるかもしれん」


「嫌な気配?」


その時、冥府門の吸引が突然止まった。


「え!?魔法陣が壊れた!?」


焦る一同。

シオンが中を覗き込む。


「危ないよ!?シオンさん!」


「いえ」


シオンが振り返り、こちらへ歩いてくる。


「どうやら繋がったみたいです」


シオンの背後を紫黒の龍が昇っていく。


「龍!?」

「くっ……やはりか」


龍が通った衝撃で魔法陣が崩れたのか冥府の門は完全に閉じてしまった。


「お帰りなさい、カナデさん」


シオンがそういうと、龍の背からカナデが飛び降りる。


「ただいま、シオン」


「カナデ、さん……!」


シオンが泣きながらカナデに抱き着く。


「えええ……なんかごめんね?みんなも心配かけてごめん」


「あ、うん……それもそうなんだけど」


「え?ハルトさん私が帰ってきたら困る?」


「いやそうじゃなくて、それ」


背後に浮かぶ紫黒の龍を指す。


「なんかいろいろあって、冥王殺したら次の冥王になって、冥龍が着いてきたと、これでいい?」


「良くないけど、それでいいや…………………え!?冥王殺したの!?」


「魔王復活させた張本人ですよ?」


「……それは、仕方ないよね?」


「星影。人化できる?」


「任せて」


カナデの隣に黒髪の女性が降り立つ。


「初めまして、皆さん。冥龍・星影です。久しぶりね、星辰」


「ぐ……何で連れてきた」


「喧嘩しないでね?」


カナデから釘をさす。


「えっと、私がやっと龍と契約したっていうのにお姉ちゃんは2匹目?何それずるい」


「主、天上に天龍がいますよ?どうします?」


「……さすが光耀。わかってるね」


危険なことを話しているオトハを無視して、ハルトは話を続ける。


「系統は闇?」


「いえ、無です。闇系統から光を得て、無に至ったのが私、光系統から闇を得たのがそこの弟です」


「なるほど……って弟!?」


「ハルトさん、今日は感情の起伏が豊かですね」


「というかカナデ、どれだけ強くなったか申告しなさい」


「そういえばステータス見てない…………何これ」


称号・ステータスがとんでもないことになっていた上に、破壊魔法・再生魔法とかいうスキルまで取得していた。


「……冥王を取り込んだことによって、女神としての位が上がったんだろう」


「ちょっと後で詳しく見せてね……じゃあ日も昇りきったし撤収」


欠伸をしながらシズネが帰っていく。


「結局、カナデさんは何で冥府に行ったの?」


「冥王に攫われて求婚されました」


「……死んで当然です」


「あれでも強めの魔人からの転生神だからそこそこの力を持ってたんだけど一撃だったねー……」


「さすがですカナデさん」


「あんまりうれしくない……まだちょっとその辺デリケートだからそっとしておいて。あと、シオンはそろそろ離れて」


「嫌です」


「はぁ……じゃあ、僕たちも撤収」


「お疲れ様です」


ハルトさんとスズネさんが魔法珠で転移していった。


「そういえば、ここメンシスのはずなのに朝日が……」


東からさす光は森を美しく輝かせている。


「カナデさん、私が闇の女神・プルーラです」


「解けたんだね、あの“夜”」


「はい。といってもほとんど朔夜にやらせました」


「朔夜?」


「ええと、私です」


恐る恐るというように黒龍・朔夜が現れる。


「……別に怒ってないけどね?龍同士で喧嘩するのは禁止ね?」


「はい……」


「星影からも言ってあげて」


「やり過ぎると私みたいに冥界送りだよ?」


「……気をつけます」


「さて、私たちも帰ろっか」


「そうですね」


2人の女神は陽の光を浴びながら、自分たちの街へと帰るのだった。


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