地の底 -17-02-
「どこよ。ここ……」
マップを開いても黒い画面が表示されるだけ。
洞窟のような雰囲気はあるがかなり開けた空間をカナデは歩いていた。
「とりあえず照らしてみるか」
光の球をいくつか周りに浮かべる。
「何もない……」
そのとき、前方から物音が聞こえた。
「手がかりもないし行ってみるか」
音の方向に進んでいく。
前進しながらメニューを開く。HPは0で状態はDEADと表示されている。
「死に戻りじゃなかったの?っていうか私死んだの?」
現状を理解できないがとりあえず前進すると、壁と正面衝突した。
「いたっ……行き止まり?」
壁に触れる。
記憶にある感触。
これは、龍の鱗だ。
「星辰?……ではなさそうね」
光に照らされた鱗は紫黒色に輝いている。
ペタペタとふれる。少し脈動を感じるので生きているだろう。
「もしもーし……起きてる?」
返答はない。
「仕方ない。ほかに手掛かりもないし、起こしてみるか……」
全力の水魔法を起動し。
龍に冷水を浴びせた。
「うわああああ。何!?何が起きたの!?」
龍が起きた。
「あ、起きた。早速だけどここどこ?」
「む?人間?……ではないか。そういえばバラスが女神を攫ったとかどうか言ってたような……」
「……なるほど私は攫われたのか。びっくり」
「いや、あまり驚いているようには見えないけど……ちょっと待って、バラスの所へ案内する」
龍の巨体が光となり弾け、小さく再集結した。
「ねこ?」
「あ、はじめまして。私は冥龍です。地上で色々やらかして冥府に落とされて2万年ぐらいになります。とりあえずこっちです着いてきてください」
黒猫歩く後をついて行く。
「それで、女神様はなんの女神様ですか?」
「え?無神らしいよ?」
「なるほどー、無龍の奴は元気にしてますか?アレ、私のきょうだいなんですよ」
「へー……って、マジですか」
「マジです。きょうだい喧嘩で世界滅ぼそうとしたら冥府に落とされるとは思ってもみませんでした」
猫が右に曲がったのでついていく。
「それで、あなたの主はなんで私を攫ったの?」
「なんか前に無神のせいで冥府に落ちる魂が少ないとかぼやいてましたけど。基本的にあのバカの事は良くわからないんで理由はわかりかねます」
あ、そういえば。と続ける。
「少し前に魔王の魂を冥府から地上へリリースしてましたよ?」
「なるほどねー……いや、大問題でしょ。先代が倒したから私を封じてまた倒されないようにしたとか?」
「そうかもですね。あ、もうすぐ着きます」
已然として暗闇しか広がってないがもうすぐ着くらしい。
すると目の前から前進する黒猫の姿が消えた。
それに続くと、視界が炎の色に照らされた。
「ようこそ、無の女神アルモ。私が冥王バラスだ」
見た目若い男が偉そうに玉座に座っていた。
顔を隠した従者たちが玉座の対面に椅子を置く。
どうやら座れという事らしい。
椅子に座ると、何故か膝の上に黒猫が乗る。
猫は好きなので構わないが……。
「冥龍……私には懐かない癖に……」
悔しげな表情を浮かべる冥王とそれを気にせず、欠伸を1つし、膝の上で寝に入る冥龍。
「それで、私をここに連れてきたのは貴方であってますか?」
「如何にも」
「なんで?」
「なんでと言われてもな……まあしいて言うなら……私の……」
一呼吸置く。
「私の妻となれ!」
「「はぁ?」」
膝の上の猫と思合わずハモってしまった。




