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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第16章 龍と女神と学びの園
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狭き門? -16-08-

騒動の後、普通に食事を行い、指定された闘技場へと入る。


「それでは、魔法演習Ⅰの授業を始めますが、まず最初にテストを行います。これに合格すればこの授業の単位を認めます」


キクロの宣告通りテストが行われる。その内容は……


「今回は私、3番隊所属のソニア、7番隊のカナデ隊長、ナナミさんに手伝ってもらいます。この闘技場の中央にある的に系統は問いませんがので魔法弾を当てれば合格です。3人で全力で妨害しますので頑張ってください」


そういうとソニア教官は中央の案山子の所へ歩いて行った。

カナデとナナミの姿が見えないが……。


「頑張りなよ!」


「わっ」「ひゃ」


背後に急に現れたナナミに肩を叩かれ奇声を上げる2人。

生徒の一人が挙手し質問する。


「教官!あと一方は……?」


確かにカナデさんの姿は見えない。アナはその声に首をかしげているが。


「え?あれ?ナナミさん何か聞いてますか?」


ため息を一つついたナナミが少し上を見ながら言う。


「カナデさん、そろそろ出てきてください」


ナナミがそう声をかけると、案山子の上あたりの空間がぼやけ、カナデさんが姿を現す。


「まさかソニアまでわからなくなるとはね。でも獣人の子たちは何人か気づいてたみたいだね。さすがに匂いまではごまかせないか……。特にルイザの前にいる犬耳の子は完全に知覚できてたね」


アナが褒められて喜んでいる。表情は変わってないが耳としっぽが動いている。

カナデさんが地面に降り、それぞれ違う方向を向く。


「……それでは、開始してください。制限時間は20分です。15分経過すればこちらからも攻撃を始めます」


ソニアの声に一斉に生徒たちが魔法を放つ。


「どうしよっか……」


「カナデさんは絶対に抜ける自信がない」


「だよね」「私も同感です」


「そんなにすごい人なんですか?」


「うん。ヨウジさんのお店であったオトハさん?のお姉さんだよあの人」


「まあオトハ様の……」


魔法のほとんどはかなり手前で相殺されている。障壁魔法や結界は使わないようだが。


「狙うならソニア教官でしょうね」


「まあナナミさんも一騎当千の魔法使いだしね。ソニア教官も強いんだろうけど、魔法に関してはカナデさんの部下のナナミさんの方が強そう……」


カナデを見ると、余裕の表情で殺到する魔法を刀で弾いていた。


「マツリ、アレできる?」


「無理です」


「だよね……」


「行くよ2人とも!」


「あ、うん」「はい!」


ルイザの声を合図に、一斉にソニアの背後を目指す。


「私とルイズで隙を作るから」「その隙に3人で!」


「了解です」「わかった!」「ありがとうございます」


ルイザとルイズは走りながら赤と青の魔法陣を展開する。


「ファイヤーランス!」「アイスニードル!」


他の生徒の攻撃の間を縫って中級の魔法をソニアに打ち込む。


「ふふ、確かに倒してはいけないとは言ってませんものね。ライトバリア!」


2人の魔法は簡単に受け止められるが、その隙にソニアの左側を抜けて闇・風・火の魔法弾が案山子に着弾する。


「当たりましたね」「よっしゃ!」「では交代ですね」


「くっ……」


ソニアは少し悔しげな顔をして、魔法弾を撃ち落とす行為に戻った。


「アナ、オリーヴ・援護をお願いします」


「任せて」「わかりました」


「サンダーランス!」「ブラストショット!」


アナとオリーヴの攻撃がソニアを襲う。


「また中級ですか、でも今度はそうはいきませんよ……っ!?」


すぐに二つの攻撃を相殺し、警戒するソニアだったが、目の前を無数の黒い立方体に覆われる。


「ふふふ、使いにくいのであまり使われませんが、闇の防御魔法ダークキューブです」


視界を防がれたソニアがキューブを吹き飛ばす数秒の間にルイザとルイズの放った火と水の魔法弾が案山子にあたる。


「これで、ルイザさんとルイズさんもクリアですね」


「もうすぐ15分経つよね?」


「……できるだけ離れよう。危ない」


合格が確定している5人は闘技場上の端まで下がった。

中央ではソニアとナナミが甘めに結界を張り、なぜか空中に立ったカナデが異常に複雑な魔法陣を展開していた。


「あれ何の魔法だろう……」


「私も見たことありません」


オリーヴですら見たことないという。


「グラビティ:5!」


中央から半径10メートルほどの空間が少し下に下がったような気がした。

その範囲内にいるものはカナデとナナミ、ソニアを除いて地面に這いつくばっている。


「重力5倍だよ。たぶんこれで動けないと思うけど、っと」


飛来した魔法弾をカナデが体をひねって避ける。

結局残り時間いっぱいまともに行動できた者はいなかった。


「えーっと、合格者は……アナ・チャイルズ、オリーヴ・ノーマン、マツリ・アシカビ、ルイザ・カード、ルイズ・カードの5人……まあ、さっきは0人だったからいい方だけど、いくら何でもひどすぎるね。単騎で突っ込んでくる猪武者ばっかりで、実力を過信するのやめようよ」


カナデの容赦ない評価に暗くなる一同。


「初日だけど周りの人に合わせて攻撃とかすればもう少し隙を狙えたと思うよ。さっきの5人が2回も大きな隙をソニアに作らせたのにそこも突かないとか……まあいいや、5人は残ってあとは解散」


ぞろぞろと闘技場を出ていく生徒たち。


「やっぱり思ったより弱いなぁ……貴族なんてこんなもんか……何人かいい動きしてた子はいたからその子たちは後でアドバイスしてあげて」


「わかりました」


ソニアがカナデに渡されたメモを受け取り名簿と照らし合わせる。


「3番隊は訓練レベル上げた方がいいかもねー、主に多対一とかの」


「やっぱりそのあたり拙いですよね……7番隊はどんな訓練を?」


「2グループくじで分けて、その中で各グループ一人のアタリ引いた奴を残り全員で襲うの」


「それはきついですね……」


「カナデさんとシオンさんが同じグループで襲う側に回った時は地獄だったなぁ」


ナナミが遠い目をして、ソニアが逸れに同情の視線を向ける。


「カナデさん!お疲れ様です」「お疲れ様です」


「ルイザ、ルイズそれにマツリ。お疲れ。あと2人は初めましてだね。7番隊隊長とギルド副団長、それに組合の錬金術部長、第3研究室室長のカナデです。そっちのエルフの子にはオトハの姉って言った方がわかりやすいかな」


「「よろしくお願いします」」


2人が頭を下げる。


「3人はクラスⅡに進級だね。それと入学祝もかねて夕食一緒にどう?張り切って作るけど。それとも5人とも予定ある?」


「「是非!」」

「いいんですか?」


「え?私たちも?」「いいのかな?」


「あ、わたしもいいですか?」


ナナミが挙手する。


「構わないけど、そうなると私の部屋じゃ狭いか……シオンとアスカも来るって言ってたし……ナナミ、悪いけどロブさんの所行って店貸し切ってきて。お金は後で出すから」


「了解です」


ナナミがすぐにその場から走り去る。


「さて、私たちも行こうか。シオン、アスカそれとモエもいるのはわかってるから出てきなさい」


「バレてましたか」

「やっぱりカナデさんには効かないか」

「あ、武術の方マナミとツバサが行ってるんですけど呼んでも大丈夫ですか?」


カナデと同じように突然何もないところから現れた3人がカナデの隣に並ぶ。


「なんかすごい人たちだっていうのはわかったよ」


「ええ、私も」


アナとオリーヴが少し遠い目をしていた


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