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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第15章 水の神殿と魔の兆候
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龍愛ス -15-06-


「どこ……ここ……」


急に変わった風景を見ながらシズネが声を漏らす。


「ここは龍の峰。龍が人を試すための異空間?」


「なんでカナデも疑問形なのよ……」


「特に説明もなしにヘシオドスに引き渡されたからかな」


ええ……という顔をしているのはわかるが、私にはどうしようもないから勘弁してほしい。


「まあ、突然だったからな」


「そうねー」


「!?……って、いつの間に!?」

「あら、ソムニウム。200年ぶりぐらいかしら」


「ああ、そんなものか」


「……カナデ、ホントにそれと契約してるんだね」


「まあね……」


「リツの娘を選ぶなんて、ソムニウムのくせにわかってるじゃない」


「アーシアの娘だとわかったのは選んだあとだがな。後、今は星辰だ」


「じゃあ、私もそろそろ始めましょうかね」


「えっと……何を?」


あまり理解していないシズネがカナデに救いを求める。


「えっと……簡単にまとめると、1対1でフルーエルを倒せれば女神になれるということです」


「……ハードルたっか」


フルーエルの方は、既に龍の体に戻っており、やる気は十全といった様子だ。


「いくよ?シズネ」


「はぁ……どうぞ」


シズネも諦めたようで、短剣を構える。


フルーエルの爪が攻撃するためにほんの少し動いた瞬間、シズネは動いた。

龍の大きな背に上り、まず一撃。


「くっ……かたっ」


「ふふふ……リツとおんなじことやっておんなじこと言ってるわよ?」


「……そりゃ光栄です」


お互い水に耐性を持っているため、得意の水魔法も氷魔法も効果をなさず、ひたすら接近戦でやり合っている。


「……星辰。コレ、いつ終わると思う?」


「お互いの得意技がお互いに無効っていうのは我と主にはなかったからな」


「そういえばイノセントフィールドって結局どういう魔法なの?魔力の流れ全てを制限するみたいな説明だった気がするけど……」


「説明……?あれは、出力の加減によって魔法陣を封じるだけか、魔力そのものを封じるかを選択できるんだが、主の部下のシオンとかいう小娘が使っていたのは少し暴走気味だったな」


「あの戦い観戦してたんだ……」


呑気に話し込む2人をよそに戦いは続く。


水龍の息吹(ドラゴン・トレント)!」


「そんな広範囲ブレス!!?」


さすがの水量にシズネも押し流される。


「ちょっと、こっちにも来てるんだけど!」


「我らの存在を完全に忘れているな……絶魔の門(ワープ・ゲート)


星辰に庇われ、カナデは何とかやり過ごす。


「はぁ……私も気を抜けないのね」


「そのようだな」


水龍の体力は残り60%ほど。それに対して、シズネはすでに6度目のポーションを使用している。

単純計算では4回ほど死んでいるダメージを浴びている。


「カナデ、こんなのどうやって倒したのよ!?」


「え?私は弱点属性ぶち当てたけど……」


「あ、そうか!忘れてたわ……風の閃撃(ウィンドス・ラッシュ)


風の魔力を纏った刃は、水龍の鱗を断つ。


「ぐぅっ!?」


「あえて使ってないのかと思ってたけど、忘れてたのか……」


生体掌握エレクトロ・コントロール!」


龍の背に飛び乗ったシズネは右手に展開した魔法陣をその背に打ち付けた。

すさまじい電流が水龍の体を駆け巡る。


「ぐぁぁぁあぁっ!?」


「アレは痛そうだ……」


「この調子ならもうすぐ決着かな?」


麻痺し、動きづらい体を無理やり動かし、シズネを跳ね飛ばす水龍。

しかし、シズネはすぐに次の魔法を撃つ。


「これで、トドメね」


魔法陣から生み出した、雷の槍を水龍の割れた鱗に叩き込んだ。


ずん、と重い音を立てて水龍が臥せる。


「お疲れ様。姉さん」


「ホントにもう勘弁してほしい」


横たわっていた、龍の巨体が人型に変化し、こちらに歩いてくる。


「風・雷魔法なんて聞いてないんだけど……」


「言わなきゃだめなの?」


「そんなルールはないはずだけど……」


「とりあえず、お前も名前を貰ったらどうだ」


「……まあ、負けたのは事実だし。認めるわ」


「名前ねぇ……」


「ちなみに龍って性別ないらしいよ?」


「……じゃあ、『時雨』でいいかしら」


「何が“じゃあ”?」


「私はそれで構わないわ」


「それじゃあ戻ろうかな……星辰、一つお願いがあるんだけど」


「なんだ?」


黒龍(カオス)聖龍(アプリコム)、それと風龍(ゲイル)の様子を見てきてほしいの。前の二つは喧嘩してるようだったら〆て良いから」


「了解した」


星辰が立っていたその場から急に消える。


「それじゃあ、今度こそ、戻るよ」


来た時と同じようにカナデが手に持った鍵で空を切った。


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