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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第15章 水の神殿と魔の兆候
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風雷の神殿 -15-01-

「まったく、星辰も厄介なところに飛ばしてくれたわね……」


島の丘の上に見える白亜の神殿を見上げながら、カナデがつぶやく。


「そうですね。あ、とりあえず、乗客は全員無事です」


「ありがと、シオン。じゃあ、ちょっと神殿見て来るから、ここの人たちよろしくね」


「それは構いませんが、一人で行くんですか?」


「私以外攻撃されそうというか、私もガーディアンにどう判別されるか……。じゃあ、アスカだけ連れて行くか……事情わかってるし」


「そうしてください」


アスカを呼び寄せて、丘の方へと登る。

島には少数ではあるが、民家が並び、畑や家畜小屋も見られる。


「この調子なら司祭さんとかいるんじゃないですか?」


「あり得るけど、女神不在の神殿がどんなふうに機能してるかまだ確認してないからね」


20分ほどして、神殿へとたどり着く。


「さて、ここは誰を祭っているのか……」


「ここは、リミティ神殿。風の女神ヘラ様と雷の女神ディオネ様を祭っている」


突然、響いた声に警戒する2人。


「誰?」

「私の目でも確認できませんでした」


「そう警戒するな。ようこそ、女神アルモ。私は雷龍ニクトス」


「なぜ2柱も?」


風龍(ゲイル)の奴が神殿に引きこもったせいで人間どもが全部こっちに流れてきてな……」


「……龍も結構大変なのね。ここは元は雷の神殿なのね?」


「そうだ」


「で、そろそろ姿現さない?」


「別にかまわないが」


黒い雲の中から強烈な稲光がカナデ達の眼前に落ちた。

そして、そこには、


「まともに姿を現すのは久しぶりだな」


金の鱗を纏った龍の巨体が現れた。


「……絶対下からでも見えるよねコレ」


「ええ、そうですね」


「……とりあえず人型になってくれない?」


「ふむ、心得た」


ニクトスの体が強い光に包まれたかと思うと、金の長い髪を揺らした女性が現れた。


「雌だったんだ」


「私たちに性別の概念はあまりないからなぁ」


「とりあえずいくつか聞きたいんだけど、いい?さっきので人が来そうだから手短に」


「心得た」


「この神殿、ガーディアンは?」


「ガーディアンは光の女神(ヘメラー)闇の女神(へカテー)が悪ふざけで作ったものだからウチにはない」


「なるほど」


何を厄介なことをしてくれているのか。


「ガーディアンを止めるには、女神をステージに立たせるしかなかったはずだが」


結局ガーディアンは突破するしかないらしい。


「それと、その光と闇の神殿に龍が見当たらなかったのだけど……」


黒龍(カオス)聖龍(アプリコム)は仲が最悪でな。おそらく、天上で戦っていると思うが」


「はぁ……そのへんは星辰に何とかさせよう。あなた、女神選ぶ気ある?」


「龍の峰を開いてくれるならば、いつでも。ただしその前に、ゲイルの阿呆をどうにかしてくれ」


「わかった。それと……『カナデさん!ヤマトから追手が!』……なんで!?」


「どうかしたのか?」


「いや、なぜか追われてるみたいで」


『天女様を探せ!とか言ってますよ。とりあえず、今、ナナミさんとモエさんと一緒にそっちに向かってます!というか逃げてます』


「うわぁ、また厄介なことに……ニクトス、あなたも隠れた方がいいよ。とりあえず、今回は帰るけど、また来るから!」


「了解した」


すっと姿を消すニクトス。


「アスカ、ここからシオンたちは?」


「見えました。後、3分ほどで着きます」


「すぐにスペーラに転移するから。騎士さんたちに報告だけしといて」


「了解です」


『シオン!2分後に転移するから急いで!』


『了解です』


「そこまでして逃げなくても……」


「だって、天女とか祀り上げる気満々じゃない……もう女神だけで充分」


「そうですか」


「カナデさん!」


「よし、じゃあすぐに帰ろう」


転移魔法陣の弾ける光は、ヤマトの使い達には天女が天に戻る光に見えたとか見えなかったとか。


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