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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
間章 覗く日常とそれぞれの思い
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早咲きの桜 -Hidden Story-12-

「それで、君たちは先に転移で帰ってきたのか」


「ええ、なんかヤマトから天女様を探せー!みたいなのが来たので逃げ帰ってきました。ちなみに船は無事です」


「まあ、海賊に大嵐とは災難だったね。それで、リミティ島だったっけ?一応、トニトル王国領だけど、何かあった?」


「ええ、ありましたよ。雷の神殿が」


「あー、神殿かー……って、ホントに!?」


「なんで嘘言わなきゃいけないんですか」


カナデがじと目でハルトを見る。


「……これで見つかったのは、ポロスの光の神殿、メンシスの闇の神殿、トニトルの雷の神殿と風の神殿か……どこから攻略していくか……」


「トニトルは国交が全くないので無理じゃないでしょうか。水の神殿はどうなってるんですか?」


「手がかりは掴んだみたいだけど、そこに行くには2人では無理と判断して帰ってきた。ちなみに、そのせいでマーレは水浸し」


「……じゃあ、そこから行きましょうよ」


「……まあ、いい加減に止めないと怒られそうだし、そうしようか」


ハルトが暦を見ながら確認する。


「今月中じゃないときついよね。なんか来月入学式とかあるし」


「まあ、決めたのはハルトさんですけどね。水中でも活動できるようにしないとだめですよね……《水泳》スキルを取る気にはなれませんし」


「まあ、最悪ウンディーネだけで行ってもらうとか」


「ガーディアンがいるから無理だと思いますよ。あと、私も行かないといけないかもしれないし」


「なんで?」


「各龍が女神候補を試すのに私が必要なのです」


「初耳だけど」


「言った気でしたけど」


「それ、たぶん言ってないけど」


「それではまた何かあれば呼んでください」


ハルトの執務室を出ると、シオンと合流し自警団の詰所へ向かう。


「ハルトさんと何の話を?」


「次の攻略場所かな。それよりみんな元気にしてるかな」


7番隊の部屋へ入ると、なぜか全員正座していた。リゼットとイーリスまで。


「え!?どうしたの!?畳欲しいなら買ってくるけど……」


「いえ、そうでなく。神殿攻略に失敗したことについてのお詫びを」


カイトが代表して理由を説明する。


「いや、別に怒ってないけど……というかオトハでも無理なんだから、できなくてもおかしくないし。まあ、無事でよかった」


「無事って言っても全員死に戻りですけどね」


ははは、と笑うタツヤが隣のマナミに黙らされる。


「まあ、いいや。みんなお土産あるから……といってもなんかよくわかんないお菓子だけど」


盛り上がる一同。その中からイーリスを手招きして呼び寄せる。


「イーリスにちょっと手伝ってもらいたいんだ」


そういうと、何本かの枝を取り出す。


「これは……?」


「桜の枝。何かこれで挿し木できるらしいから。ヤマトでもらって来た」


「サクラですか。手伝うことはできますが、どこに植えますか?」


「やっぱり学園かな」


学園に向かおうと席を立つと、なぜか全員ついてきた。

わいわいと騒がしく学園へと向かう。


「聞いてくださいよカナデさん、ナナミが簪自慢するんですよ。私もほしいです」

「今度ヤマトに買いに行く?あー……でもほとぼりが冷めるまで行けないんだよね、ゴメン」

「アスカ、大弓って使いやすいの?」

「んー……どうだろう?でも、威力は大分上がったし」

「やっぱり、カナデさんが隊長でないと。なぁ、カイト」

「え、あははは……だってさ、ツバサ」

「なんか文句あるのか?」

「……イエナニモアリマセン」

「短刀ってどうなんですか?」

「なんか即死効果の攻撃が増えたんだよね」

「そんな物騒な」


学園の端の方へ着くと、カナデが立ち止った。


「この辺りでいいかな、カイト、ツバサ、マナミ、ミサキも手伝って。確か地系統使えるでしょ」


「ええ、使えますが」

「まさか覚えてるとは」


シオンも加わり、深めの穴を等間隔に掘る。そこへ、まだ青い桜の枝を入れ固定する。


「じゃあ、シオン、イーリスお願い」


使い勝手が微妙なのであまり使用者のいない若緑の魔法陣が広がり、弾けた。


その直後、桜の枝が急成長を始めた。

あっという間にカナデの身長を抜き、蕾をつけ、花が咲いた。


「すみません、やり過ぎました!」


「うん、そうみたいだけど……これって桜にダメージないよね?」


「魔力をエネルギーとして分け与えてるので、それを用いて成長しているので寿命が縮んだりとかはないと思います」


「じゃあ、いいか。ちょっとお花見でもしようかな」


「あ、いいですね!いったん戻って飲み物とか用意しましょうか」


「ああ、それなら大丈夫」


そういうと、重箱をいくつも取り出していう。


「シオンと作ってきたから。まあ、少し作り過ぎた感はあるんだけど」


「ヤマトでいろんな食材が手に入ったので、ついテンションあがってしまって」


タツヤとカイトがお互い頷くと、外へと走って行った……と思ったら分後に1分後に絨毯を一枚買って帰ってきた。


「どうぞ座ってください。ここ、砂なんで痛いかと思いまして」


「ありがと」


「うわー、カイトかっこいー」


「え?オレは?」


「タツヤもカッコイー」


「すごい棒読みだけど今日は許す。あ、屋台でいろいろ買って来たんでこれもどうぞ。あとニコルさんとクロエさんも来るそうです」


「絨毯買いに行ったらバレました。すみません」


「いいよ、いいよ気にしないで。料理も30人前ぐらいあるし」


「なるほど、このちらし寿司いけるぞカナデ」


「……どこから現れたのエイダイ」


振り向くと、エイダイがちらし寿司を勝手に取り分けて食べていた。


「まあ、そう言うなよ。参加費代わりにロブのところでピザ10枚買って来たから」


どんな情報の速度だ……。


「カナデさんの料理一口分じゃないですか」


「なんだとタツヤやんのか?」


タツヤとエイダイがにらみ合っている。


「カナデさん来ましたよー。正直、日本のお花見って何するのかわかんないですけど」


「そうねー」


ニコルとクロエが合流した。


「そういえばアメリカは公園とかで酒飲んじゃダメだったっけ?」


「ええ、まあ」


「日本お花見は桜の下で酒を飲むのだ」


「エイダイさん、エイダイさん。調理部のシゲサネが作った酒です。瓶で行きましょう」


「おい、これスピリタスって書いてあるぞ!」


カイトが何故か狂行に走っているが酔っているのだろうか。


「なになに?僕も呼んでくれよ」


「ええ、まったくです」


「……君はどこから現れたんだ」


ハルトとスズネが現れた。手にはさらに料理の追加を持っている。


「どこから聞きつけたんですか……」


「君のお姉さんから」


「カナデー、久しぶりー」

「お姉ちゃーん」


さらに姉妹+エンマ+ルイが合流。

騒ぎを聞きつけたキクロとヴィクターも合流した。


「いつの間にか倍近い人数に」


「大丈夫これ以上増やさないか、ら?」


「シェリーさんがログインしました」


「スズネ、その感情を殺した声やめよう?」


シェリーが大量の甘いものを持って参戦した。


「で、カナデ。デザートは?」


「桜餅とお団子と葛餅と……」


「わーい和菓子だー」


「オトハ、後にしなさい」


「このから揚げおいしいー」


「酔ってますね?ニコルさん」


シオンに介抱されるニコル。

昼前に始まったお花見だったが、気付いたら深夜まで続く大宴会となっていた。


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