連続戦闘 -02-02-
先程のポーション作成で得たスキルポイントを振り分けることにする。
といっても、まずは残っていたスキルポイントをすべて《剣術》につぎ込み、まともに剣が使える状態にする。
《見習い》や《剣術》では剣を用いた攻撃ができるようになってもまともな攻撃スキルは得られないようだ。LV50で《剣士》スキルにランクアップ。《打ち払い》と《3連斬り》という技を取得した。LV 20でたった二つとは…これは相当割り振っていく必要がありそうだな…。
とにかく出発。
向かうはこの街から西へ…ドゥーロス山へと。
聞いた話では鍛冶の素材が取れるとかとれないとか。山までの道中、ほとんど整備されていない砂利道を歩きながら途中たくましく生えている薬草と毒消し草(取ってからなんなのか分かった)を摘んでいく。
しばらく歩くと、道が斜面になり始めた。VRなのに坂道上がるのはしんどいんだなぁ…。
途中、道のわきに生えている木を発見。よく見ると青リンゴみたいな実がなっている。
これがギルの実かな?結構高い位置になっているので、どうやって採ろうかと考えながら木を揺らしてみると案外簡単に落ちてきた。
……なんかこんなゲーム見たことある気がする。
一度に5、6個の実が落ちるので今後の事も考えてたくさん採っておこうと、ひたすら木をガサガサ揺らしまくる。
もう30個ほど収穫できたので、もう一度やって終ろうかと思っていた矢先、〈被捕食者の視野〉に反応があり、敵が接近してくることを悟った。
初めての剣での戦闘だ、頑張ろう。上空から飛来してきたミルース(見た目黄色いトンビ)の鋭い爪を剣で受け、《打ち払い》で押し返す。
スタン効果で落下する一匹と入れ替わるようにもう一匹が飛んでくる。それをなんとか躱しながら、落ちている方に止めを刺す。
仲間の死から学んだのか、あまり掴みかかろうとしなくなったミルースにファイヤーボールを放つ…が、外れる。
今度は注意して……
よし!命中!
よろけて高度が下がったところを《疾走》で一気に詰め寄り、止めを刺す。いろんな感覚強化系スキルのおかげでなんとか倒せたがこの速さと、何よりも飛行能力がかなり厄介だ。
残りのギルの実を回収して、次の敵を探す。ソロプレイなのであんまりたくさんの群れとは出会いたくないなぁ……
この辺りからモンスターもかなり獰猛に攻撃を仕掛けてくるみたいだし。そして私が発見したのは…
ゴブリン×5とホブゴブリン×2の団体さんだった。
あんまり群れと出会いたくないなー………。
というか出会いたくなかったなー……。
先手必勝とばかりに闘い慣れた(?)ゴブリンの方へ攻撃を仕掛ける。
まずは数を減らさないと一斉に来られたらキツイ。
《3連斬り》で体力の70%を一気に削り蹴りで群れの方へと蹴飛ばす。
武器がまともに使えるだけでここまで楽になるものか……。
少し距離を取り、さっき蹴飛ばしたゴブリンを中心にファイヤーボールを打ち込み、焼く。少し落ち着いた瞬間、火炎に巻き込まれなかったホブゴブリンからの攻撃を受け、よろける。
くっ……思ったよりも一撃が重い……っ!
体制を立て直し、一撃貰ったホブゴブリンへ《打ち払い》を繰り出す。
ファイヤーボールのショックから復帰していたゴブリン達を剣と蹴りで捌きながら、隙を見て距離を取り、闇系統の魔法・シャドウスパイクを打ち込む。黒い影の槍が高速でゴブリン達を貫き、消滅させる。
これでやっと3匹のゴブリンを倒した。スキルや魔法の連続使用で3割ほど減ったMPのことを心配しながら、次の攻撃に移ろうとしたとき、またもやホブゴブリンの一撃。なんとか躱したが、そのまま転倒してしまう。
待ったなしに襲い掛かってくるゴブリン達に対抗するべく、寸でのところでフレイムシールドを展開。
その陰に隠れて《気配》で姿を消し、ホブゴブリンの後ろに回り、首を刎ねる。肉体が部位欠損すると、出血のダメージを負い続けることになるが、首など主要なパーツの場合は即死になることが多い(たまに首を刎ねられても死なないモンスターがいるらしい)。
派手に動きすぎたので、さすがに気づかれ、すぐに攻撃しようとしてきたゴブリンを斬り伏せ、もう一匹に渾身の蹴りを入れる。
転がっていったゴブリンが戻ってくる前に、残りのホブゴブリンに一太刀浴びせた後、超至近距離でファイヤーボールを打ち込む。先ほど吹き飛ばしたゴブリンにもファイヤーボールを打ち込み終了。
これだけ戦って得られたものが経験値とお金だけとか…。
残りMP的にも一度帰るべきかと思い引き返すことに…が今日は運が悪いらしくまたもやゴブリンの群れと遭遇した。
ゴブリンが8、ホブゴブリンが1かな?ホブゴブリンが1しかいないのはありがたいが、合計で9隊というのはいくらなんでも多い。完全にソロ向けではない。というかパーティーにしてもつらいんじゃないだろうか。
一度《気配》を使い隠れ、大技を試してみることにした。手元に現れた小さめの魔法陣に魔力(MP)をこめる。ゴブリン達の足元に描かれる紅い魔法陣。
「いくよ!ファイヤーケージ!」
発動と同時にゴブリンの群れを炎の壁で取り囲む。
炎の檻の中のゴブリン達は脱出を謀るが、近づこうものなら高温の火に一気にHPを削られる。
そしてゆっくりと狭まる檻は中央に集まってゆくゴブリン達を次々と青いエフェクトにかえていく。何とか残った瀕死のホブゴブリンに剣で止めを刺す。
かなり楽に片付いたが今の中級範囲魔法で回復しかけていた私の残りMPが全部吹っ飛んだので一度街まで帰って宿で回復をしよう。
MPぎれの妙な虚脱感を得ながらふらふらと街に戻っていった。




