代表代理副団長代理 –Hidden Story-07- After:-13-04-
500万PV&60万ユニークありがとうございます
ハルトから呼び出された。何故か今日は嫌な予感がしてたのだがこれが原因だろうか。
「なんで既に嫌そうな顔をしてるの?」
「既にってことは嫌なこと押し付けられるんですかね。じゃあ帰りますよ」
「まってまって!今オトハがいないからカナデさんに頼むしかないんだよ!」
「……なんで私なんですか」
「僕は他の用事で出れないし、エイダイを行かせても威圧するだけだし、オトハは失踪してるし」
妹のせいで貧乏くじを引かされたことが分かった。
「……で、何の仕事ですか?」
「ちょっと親書届けてくれればいいから」
「メンシスですか?マーレですか?それともまだ条約結んでない国ですか?」
「いや王国だけど」
「私シオンと狩りに出ますので」
「いやいやちょっとまって、お願いだから。報酬は払うから!」
「私に依頼したい場合はギルドカウンターのシェリーさんの所に行ってください」
「お金で解決しようとした僕が悪かったよ」
「……転移使っていいなら行きますよ」
もちろん王の御前に直通で行かせてもらいますが。
「使っていいから。これ渡したら帰ってきていいよ」
仕方ないので親書を受け取り、転移する。
「なんだ!?」
「何者だ!?」
「貴様!どこから現れた!?」
ハイテンションな反応ありがとうございます。面倒なので無視します。
たぶん貴族が謁見してるが全く無視して王様の所まで行き、親書を押し付ける。
「では」
「ちょっと待て!」
何故か止められた。なぜだ。
「第2王子との結婚ならもう30回は断ってるので諦めてください」
一昨日ぐらいに手紙が届いた。シオンが開封前に焼き捨てたが。
周りの貴族たちが驚いている。
「いや、その件はもういい……良くはないのだが……今はいい。なぜ今日はお主が使者なのだ?いつもは近衛を蹴散らしながら副代表とやらが来るのだが」
「それ答えたら帰っていいですか?」
いい加減視線が痛い。
「ああ、ラルフも修行の旅とか言って出て行ったのであまり引き止める意味はないしな」
あの王子いないのか。よかった。
「今日はただオトハが留守で私が暇だったから押し付けられたんです」
「なんだその嫌な仕事みたいな言い方は……」
「何が嬉しくてわざわざ求婚されに他国の王城に行くんですか?」
とりあえず用が済んだので帰ります。と告げて、転移する。
「……もしかしなくても謁見の間に直接飛んで押し付けて帰ってきたよね?」
「ええ」
「どれだけ心象悪くなるか……まあいいや。もう一つ頼まれてくれる」
「断っていいですか?」
「今度はシズネさんの代わりに一番隊の戦闘訓練」
「……それ辛くないですか?」
一番隊はβ勢がわさわさいるらしい、とオトハから聞いたことがある。
「まあとりあえず行ってきて」
なかなかにむちゃくちゃ言う男である。
仕方ないので自警団本部に戻り、1番隊の部屋を覗く。
「……シズネの代理を派遣したと言われたがお前だったか」
隊長席でコーヒーと思われる液体を啜っていたエンマが声を上げる。
「ご迷惑なら帰りますが」
「いや、いい。シズネとオレだけじゃ系統が偏るからな。よし、全員闘技場へ」
「あ、任せてください」
転移した。
「……便利だが、やる前に言ってくれ」
「7番隊ではこれが普通なんで」
隊員から普通ってなんだ……という声が上がったがスルーする。
「じゃあオレが前衛、カナデが後衛で」
「1番隊相手に10対2とか……」
「大丈夫だ。シズネはこなしていた」
あの人を基準で考えるのはやめてほしい。
「とりあえず全系統の魔法使ってればいいんですか?」
「ああ、頼んだ」
私以外の全員が武器を構える。男女比6:4の1番隊はもっともバランスのいいパーティかもしれない。
というかウチの隊みたいに火力がおかしかったり、4番隊みたいに10:0みたいなところの方が珍しいらしい。
早速魔法陣をいくつも展開していく。
エンマが設置したカウント魔法が入った魔法珠がスタートの合図をしてくれるらしい。
余談だが、この無系統の数を数えるだけの魔法を使って時限爆弾を生み出したキクロさんがハルトから説教を受けていた。
私の展開した20枚程度の魔法陣に顔を引きつらせる1番隊の皆さん。
姉さんの代理ならこれぐらいやらないとだめかなと思い、本気を出してみた。
スタートの合図とともに中級程度の魔法が連発で隊員を襲う。正直やり過ぎた感はある。
必死に躱す彼らの所へエンマさんがつっこんでゆく。
一薙ぎでも喰らえばかなりの痛手になる。
どんな魔物と当たるかわからない以上、攻撃はもらわないに限る。
隊員の一人が弾幕とエンマさんをかいくぐって私の所へ来た。
近接はする気がないので、彼をそのまま闘技場の端へ強制転移する。
「時空魔法の存在忘れてた……」
「というかよくMP切れないな」
MPの回復量は通常の倍ぐらいのスピードらしいので中級程度なら1000発ぐらいは連続で撃てる。
エンマによって3人が討たれ、私の魔法で4人が飛んだ。よってあと3人。
ここで実験的な魔法を使う。
100発程度の初級魔法を一気に展開し、一気に放つ。
そのあと、時間回帰を用いてもう一度100発を放つ。
威力が若干落ちたように思えるが、まあまあ使えることが判明した。
ただ、無差別攻撃になるためエンマにも若干のダメージが入った。
そのかわり、残り3人を無事倒せた。
この試合は1番隊の隊員たちが各々修行を開始する要因となったという。
こうして、カナデの代理の一日は終わった。




