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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第14章 既知の神と世界の真相
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双星の記憶 -14-05-

**早緑月 2日 ルイズ・カード

私たち姉妹が始めてあの人に逢ったのは、父と共に、昼食会に行くことになった時だった。姉のルイザとお母様も一緒だ。

カード伯爵家はそこそこ大きな領地を持つ。さらに、お母様がステラ教皇の侍女だったことがあるので神殿からの信頼も厚い。

だからこそ、かなりの頻度で、恥知らずな商人どもや、子爵家・男爵家のバカどもが取り入ろうと賄賂を贈ってくる。


父はそういうのが嫌いな性質のようできっぱりと断っている。歴史がある(古い)だけの侯爵家から私への縁談が出た時も、すぐに斬り捨てたらしい。一目惚れだのなんだの言っておきながら、相手のバカ貴族はルイズの手を取った。政略結婚なら素直に言えばよかったのに。


「教皇の客人」らしいが、どうして父に取り入ろうというのか……。それとも、また唐突に縁談でも吹っかけられるのだろうか。

メンシスでは女性でも貴族の当主になることができるので、特に結婚とかは考えていないのだが。


メンシスの国の正式な騎士がドアの前に立っている。そこまでの要人となると、いったい何者なのだろうか。

部屋に入る。屋敷の中かと思うほどに綺麗な広間に驚いていると、綺麗な女性が一人現れた。

その女性の後ろには私より少し年上……14歳ぐらい?から18歳ぐらいの年齢の少女たちが並んでいる。全員が何の素材かもわからない黒い服を着ている。しかも全員美人とか……。


「さあテーブルへどうぞ。伯爵夫人もルイザもルイズも」


どうして名前が知られているのか……。一体この人は何者だろうか。

並べられた料理はどれも見たこともない物だったが、どれも非常に高い完成度を保っていた。少なくとも、ウチの料理人よりもすばらしいかもしれない。

聞くと、彼女自身が作ったようだ。父からの情報で彼女は錬金術師であると教えられた。その上料理までこなすとは……。お母様が一口口にして、絶賛する。それにつられて、私も口に運ぶ。


今までに食べたことのないような美味。


双子ゆえか、味覚も似ているルイザも顔をほころばせていた。

彼女……カナデさんは、私たちが次の月から通う魔法学校の関係者のようだ。研究室を持っていると言っていたので、かなりすごい人なのかもしれない。そういえば、あの実力主義の国の4位とか言ってた気がする。


私たちの実力も正当に評価してくれるようだし、良い人と知り合えたかもしれない。

何よりも部下?に慕われるその人の姿は、私の理想にもなった。




**早緑月 3日 ルイザ・カード

乗っていた船が海賊に襲撃された。

しかし、けが人は出なかった……海賊たち以外は。

父さんとお母様が甲板に出てしまって退屈だったので、ルイズと部屋を出た時にそれは起きた。お母様の教えによって、ある程度は戦闘できるように鍛えられていたため、過信していたが、モンスターを相手にするのと無法者でも人間を相手にするのとでは感覚が全然違った。ここで負けたら、殺されるなり、犯されるなりするだろう。

諦めかけたその時、周りにいた男共が、一瞬で倒れた。


「二人とも無事?あと伯爵と夫人は?」


カナデさんが廊下の奥から駆けてきた。なぜか、ヤマトでよく着られている衣服を着ている。何でも似合うなこの人。

倒れた男たちを足蹴にしているのは私たちと同い年ぐらいの少女。たしかモエと呼ばれていた気がする。


ルイズがカナデさんと共に甲板に向かったので、私もそれを追う。途中何度か海賊の下っ端が現れたが、カナデさんが瞬殺していく。剣を鞘から抜かずに戦っているので、全員捕まえるつもりらしい。というか、鞘で殴られた海賊よりも、素手の攻撃を受けた海賊の方が重傷だ。


甲板に出ると、既にカナデさんの部下たちによって海賊たちは制圧されていた。両親は見たこともないような強度の結界に守られていた。


『ごきげんよう貴族の諸君。命が惜しけりゃ、金目の物と娘を差し出せ!』


頭の悪い声が響いたと同時に、カナデさんが初めて剣を抜いた。

上段に構えた剣を真っ直ぐに振り下ろす。

剣から放たれた剣撃が船を斬った。


その光景には私も含めて全員が、敵である海賊たちですら驚いていた。

そのあと、速やかに残りの海賊たちを捕縛し、騎士たちに話をつける。私たちはそんな彼女の元へと駆け寄った。


「「カナデさん!」」


錬金術師、料理人、剣士?、魔術師?、軍人?一体どれが本当の彼女かわからないが、彼女が私たちにとって害になることはなさそうだ。というか、絶対に敵に回したくない。


モエさんが私と同じ短剣使いのようなので、話を聞いてみた。短剣での戦闘による注意点などをかなり細かく教えてくれた。

モエさんはカナデさんのお姉様の旦那様の妹という事で、義妹にあたるらしい。そのカナデさんのお姉様はとても素晴らしい短剣使いらしく、私が学園に入ったら紹介してくれるらしい。今からとても楽しみだ。




**早緑月 4日 ルイズ・カード

先日の事件で、カナデさんが使っていた片刃の剣は「カタナ」と呼ばれる物らしく、その美しさに見惚れていたところ、ヤマトで手に入るかもしれないと教えてくださいました。

私の用いているタイプの剣と全く扱い方が違うので、手に入れても扱いにはかなり苦戦するのではないかと言う話ですが、あの刃の美しさとカナデさんへの憧れによって既に私はどんな苦労をしてもあの刀という武器を手に入れることに決めました。


昨日、港に着いた後、今日は特に街に出る予定はないというカナデさんに、半日だけ基礎を教えてもらうことができました。シオンさんが作ってくれた「木刀」なるもので、基本的な動きを学びました。

今日は、カナデさんに言われた通り道場を探し、「技術(スキル)」を得ました。私がカナデさんから教わったのは「九王流」という伝説的な型だったらしく、道場のおじいさんが驚いていました。余談ですが、ルイザは近くの道場で短刀という武器の技術を学んだようです。

父さんはもう少し御淑やかに生きてくれ、といったようなことを言ってましたが、お母様はニコニコしていたので問題ないはずです。


その後、道場で紹介されたドワーフの鍛冶職人の店に刀を見に行きました。

この刀という武器は、かなり手間のかかるもののようで、通常の剣の倍近くの値段がついていて焦りました。とりあえず一番安い物を購入しましたが、それでも、私が以前使っていたタイプの剣の数倍の値段がしました。小さな魔物を討伐して溜めたお小遣いが一気に半分ほどなくなりました。




**早緑月 5日 ルイザ・カード

お母様たちとヤマトの街を歩いていると、向こう側からすごく綺麗な一団が歩いてくると思ったらカナデさんたちでした。モエさんが私と同じ短刀を持っていて少し嬉しくなりましたが、腰に差していたのは昨日見たお店で水晶貨5、6枚ぐらいの値段がした最高級の武器でした。普段何をやっているのかすごく気になります。


突然避難命令が出て、街がパニックに陥った時、カナデさんはすぐに指示を出し、モンスターの討伐に向かいました。無理を言って同行させてもらった私たちが見たのは、ありえない数のモンスター。

一度、ルイズとティーモルの森に迷い込んだ時でもここまでのモンスターはいなかった。

大部分がゴブリンのようですが、上位種のオーガや一番奥には暴走した妖鬼もいるそうです。


モエさんがゴブリン達を踏みつけて真っ直ぐにオーガの元まで走っていきました。モンスターを足場に使うなんて、そんなこと誰も考えません。そう思っていると、カナデさんとシオンさんが凄まじい速さでゴブリンを片付けていきます。血飛沫とモンスターが消滅するときに現れる魔力光に包まれた2人は驚くほどきれいでした。


2人のおかげで、ゴブリンの間に混乱が起きたのか、私たちでも戦えるようになりました。カナデさんに教えられたとおり、2人で安全かつ確実に一匹一匹倒していきます。

途中、後ろを取られて、危ないところがありましたが、私たちが気づいた時には既に眉間を矢で貫かれていました。

矢の飛んできた方向を見上げると、街を囲む外壁の上でアスカさんが手を振っていました。この距離で急所を打ち抜けるって、そんなの英雄譚でしか聞いたことない……。

ナナミさんも高位力の魔法を短いスパンで連発していました。この人たちはいったい何者なんだろう……。




**早緑月 6日 ルイズ・カード

今日はヤマトを離れる日です。またしばらくカナデさんたちと船旅です。とてもうれしく思います。とても貴重な経験をさせてもらったヤマトの街に御礼をいいたいです。

無事に刀の技術を習得したことを告げると、鷹野耀史という人宛ての紹介状をもらいました。普通の武器屋では整備できない可能性があるらしいです。

このヨウジという人のお店は前回の魔物大発生時の英雄・ロクグ様も認めるお店だそうなので、すぐにでも行ってみたと思いました。


何故かカナデさんたちの部屋にある修錬室で武器の扱いを学んで1日を終えました。

もう少し女の子らしくしてくれと父さんに懇願されましたが、剣と一緒に料理も教えてもらったことを告げると機嫌を直してくれました。



ルイザ

種族ヒューマン*

LV13

HP148

MP102

STR75

CON63

INT64

AGI86

DEX35

スキルポイント0


〈双星の加護〉2人以上のパーティーでEXP +15% スキルスロット増加+1

〈女神の教え子〉EXP +10% SP+5% スキルスロット増加+1

〈九鬼流短刀術〉短刀装備時 クリティカル +50%

〈戦神の加護〉瀕死状態で強制転移

〈期待の新人〉HP +5%


スキル

《短刀使い》LV 7

《魔法:系統・火》LV 10

《魔法:系統・風》LV 10


《身軽》LV 2

――――――――――――――――――――――――――



――――――――――――――――――――――――――

ルイズ

種族ヒューマン*

LV13

HP138

MP112

STR89

CON61

INT68

AGI41

DEX78

スキルポイント0


〈双星の加護〉2人以上のパーティーでEXP +15% スキルスロット増加+1

〈女神の教え子〉EXP +10% SP+5% スキルスロット増加+1

〈九王流刀術〉刀装備時 クリティカル +50%

〈戦神の加護〉瀕死状態で強制転移

〈期待の新人〉HP +5%


スキル

《刀使い》LV 10

《魔法:系統・水》LV 10

《魔法:系統・氷》LV 15


《近接戦闘》LV 1

《回避》LV 1

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