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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第14章 既知の神と世界の真相
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自由行動 -14-03-

用件も終わったので、ヤマトの散策を開始する。

市場で醤油?やみそ?、酒などの発酵食品などを大量に買い付けていくカナデ。


「カナデさんお金たりますか?」


「全然余裕。あ、むこうに餡子らしきものが……」


ご機嫌で買い物を続ける。


「カナデさん。そろそろ道場通りに行ってみましょう」


ヤマトの街中にある道場通り。そこにはあらゆる和風武器スキルがそろっている……と予測される。


「わかったから引っ張らないでシオン」


薙刀スキルを手に入れられる可能性が高まったことによりテンションが上がるシオン。

ちなみに、なぜかカナデと手を繋いでいる。カナデは特に嫌でもないので放置しているが、周囲から見るとかなり百合百合しい光景である。


ナナミ・アスカ・モエの3人は先に道場通りに向かった。シオンも先に行けばよかったのだが、カナデを一人で歩かせると、どんな輩に絡まれるかわからないので、カナデと同行している。


道場通りに入ると、先行していた3人が満ち足りた顔で立っていた。


「何か収穫あった?」


カナデが尋ねる。


「武器が大弓になりました。STRとAGIが大幅に上がります!」


アスカがご機嫌で述べる。


「私は短剣から短刀にスキルアップした!」


「私は杖よりも近接に応用が利く扇に変更しました」


「……別に私は隊員を和装にしたいわけじゃないんだけどなぁ」


「カナデさんが刀提げてるんだからこれぐらいはしようかなと思いまして」


と答えたのはナナミ。


「というか3人ともスキルアップしちゃって大丈夫?武器とか替えないといけなくなるんじゃ?」


「とりあえず一番良いのかっておきました。帰ってからヨウジさんに作ってもらいたいんですけど」


「わかった伝えとく」


「特殊武器だから嬉々として作ってくれますよ」


「あ、そういえばシオンさん。向こうに薙刀道場ありましたよ」


「行ってきます」


さっきまで、カナデにべったりだったシオンが一瞬で消えた。


「じゃあ、私もその辺見て回ろうかな」


空手道場・柔道道場・合気道道場……この辺を厳密に分ける意味はあるんだろうかと思いながら道場を見ていく。

ここで、カナデが探しているのは《超反応》のスキルだ。

いくつか気になる道場はあるが、それらしいものがみつからない。

ふと、一つの道場の前で足を止める。


「《舞》道場?……でもそれって特殊スキルなんじゃ……」


入場条件が《舞》もしくはその派生形の取得、《剣士》LV 50以上……。

とりあえず中へ入る。板の間に座っていたのは、艶やかな着物を着た綺麗な女性。

どうやら瞑想しているのか……。


「………力を試させてもらおう」


「……っ!?」


一瞬で距離を詰められる。女の両手には剣が握られている。

思わず神速を使い距離を取る。


女の動きは《舞闘術》を使うカナデの動きに似ていたが、それよりも、剣を重視した戦い方になっていた。美しい銀の軌跡に見とれ、思わず避けるのが遅れてしまう。


「……剣舞?」


ギリギリで躱しながら、カナデも刀を抜く。

計算された動きに嵌ってしまうと抜け出せなくなり、守勢に徹することになる。

このまま守り続けるのはさすがのカナデでも辛い。

転移で、背後へ。しかし、すぐに攻撃が及ぶ。

後ろに目でもついてるのだろうかと思いながら、余裕を持って、女の剣を斬り付ける。


刄金が砕ける音。


「む……私の負けか」


砕けた剣の柄を床に置き、女が告げる。


「私はウラナミ。どうやら君は私の編み出した技術を引き継ぐのにふさわしいようだな」


《剣士》スキルが《剣舞》に進化した。

それだけ言うとウラナミさんは元の位置へ戻り瞑想を再開した。


「……嵐の様だった」


戸口を出て、カナデがポツリとつぶやく

そのまま勘を頼りに道を進んでいくと、


「さて……ってあれ?ここどこ?」


いつの間にか変な所へ迷い込んでいた。

明らかに現実ではない雰囲気。


また変なイベントふんだんだろうか……絶対そうだわ。

あきらかに何かありそうな女の人(ずぶ濡れ)。

念のため声をかけようかと思ったら、その前に襲いかかってきた。


鬼が。


「なんだ。娘。俺と遣り合おうというのか?」


絵本に出て来るような半身露出した赤鬼とかじゃなくて、普通の人間+角の容姿。


「まあ、それは場合によります」


「賢明な判断だ………お前《神眼》を持ってるな……同族か?」


「いえー……違うと思いますけど……」


「今この街は謎の幻影に包まれている。《神眼》をもってこの妖鬼(オニ)に手を貸してくれるなら、我が一族の秘術を授けるぞ人間」


「まあ、内容によるかな」


というかやっぱりイベントだったし。


「この街のどこかにいるオレ以外の妖鬼を討て」


イベントはぐれ鬼退治が始まった。


といっても、目標の敵自体はすぐに見つかった。

イベントマップなのか、反応が自分と話しかけてきた鬼とよくわかんない幽霊ともうひつしかない。


たぶん女の幽霊は放置で大丈夫なので、もう一つの点を追う。

予想通り、紫色のオーラを纏った女の鬼が立っていた。

また、いきなり攻撃を受けた。


今回はある程度覚悟ができていたので、すぐにカウンターで吹き飛ばす。

すぐさま魔法の連射で止めを刺す。


HPは1ポイントも減っていない。


「もしかしてこれは倒せないってこと?」


となると、幽霊が怪しい。似ている気もするし。


神速で一気に元の場所へ戻る。その後をまさか追いかけてこられるとは思わなかったが。

屋根の上を飛び移りながら、鬼から逃げる。こんなホラーゲームみたいな展開いらない。


スタート地点には相変わらず幽霊が漂っている。

そこに全力の光魔法を撃ちこむ。


世界が割れる。


「……約束の報酬だ」


それだけ告げて、妖鬼は去って行った。

手に入れたスキルは《超感覚》


「超反応じゃない?!超感覚!?」


スキルとしての能力は五感を研ぎ澄まして、空間を支配する能力……らしい。

超反応が攻撃をかわすためのスキルなら、こちらは攻守に応用が利くスキルのようだ。


「カナデさん!どこ行ってたんですか!?」


シオンが駆け寄ってくる。


「ごめんごめん。連続でイベントマップに飛ばされて。《薙刀》は無事とれた?」


「はい、なんとか」


「じゃあ今日の所は帰ろうか。本格的な観光は明日で」


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