表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第12章 暴龍と女神の選択
122/307

神試ス -12-04-

白い神殿を進むカナデ。

ゲームで来た神殿の雰囲気とまた違って感じられる。

神殿の奥には神官、巫女、そして参拝者の姿があった。


一番位の高そうな神官に話をすると、さらに奥へと案内された。


「ここから先は私は入れません。さあ、奥へどうぞ」


「案内ありがとうございます」


重い石の扉を開く。

内部は真っ白な大理石の部屋。部屋の真ん中には同じく大理石のステージがあり、一人の女性が立っていた。


「えっと……あなたがヘシオドス?」


「遅い!あなたたちがこちらに来てからもう20日経ってるのよ?一人ぐらい神殿に来てもいいと思わない?」


「いや、いろいろ忙しかったもので……っていうかなんで私が怒られるの?ハルトさんの責任のような……」


「へカテーの子孫と仲良くなったのはいいけど……祭りなんてし始めちゃうから思わず……」


どうやら龍の急襲はこの(ひと)のせいだった。


「えっと……私は何で呼ばれたのでしょうか?」


「ああ、そうだった!急がないと。まあ、簡潔に言うと……私もうすぐ死ぬわ」


「……は?」


「だからもうすぐ私死ぬんだって」


「えっと……神様って死ぬんですか?」


なぜか、ため息をつくヘシオドス。


「そこから説明しないとだめなのか……天照(アポロン)の奴、全く説明してないじゃない……」


樹になるワードが出たが、ヘシオドスは止まらずに続ける。


「いい?あまり時間がないから簡単に説明するけど、まず、私も他の10柱の女神も元はヒトよ?」


「10?8じゃなくて?」


「そう10。今から何百年か前の話だけど……魔王が生まれてね?それでその魔王を封印したのが異世界から来た10人(・・・・・・・・・・)を含む11人の勇者(・・・・・・)


「!?……それって」


「そう、偶然迷い込んだのこの世界に。でも、あなたたちは私が呼んだんだけどね。……まあ、50万人も来るとは思ってなかったけど……あなた天照にあったら一発殴っといて?」


「はあ……それで、どうなったんですか?」


「とりあえず魔王を封印したら、なんか女神だと崇めたてられたわけ、門の封印を維持するために各地に神殿を建て、龍に守らせた。そして、10人のうち8人は元の世界に帰ったわ」


「え?それじゃあ今神殿は……」


「誰もいないわよ?」


「でも、門の封印は……!」


「そう。9柱の女神がいないと開かないわ」


「それじゃあどうすれば……」


「まあ、その件で呼んだんだけど。まず、この部屋なんだけど、大陸東側にある9つの神殿すべてのステージに女神が立ち、魔力を込めれば門は開くわ」


「だからその女神が!」


思わず身を乗り出したカナデをヘシオドスが牽制する。


「落ち着いて話を聞いて。時間がないの。この部屋は龍に認められたものしか入ることができないわ。まあ、あなたは例外なんだけど」


「どういうこと?」


「《神格》持ってるでしょ?それで、龍に認められる方法だけど」


「龍を倒す?」


「そう。でも、龍は普通に戦っても絶対に倒せない。だから試練を受けるの……認めてもらうために」


ヘシオドスが右手を振り上げると、カナデの視界は雲に包まれた。


「!!?……ここは!?」


「霊力の峰だったかしら、初めて使ったからわからない忘れちゃったけど。この空間なら龍を打ち倒すことができるわ。がんばってね、私の後継者」


「は?」


「それでは始めるか」


いつの間にか現れたソムニウムが声を上げる。


「は?ちょっとまっ……」


振り下ろされた爪をギリギリで躱す。


「おとなしく試練を受けてもらおうか」


「何が嬉しくて自ら神にならなきゃいけないの、よっ!」


一瞬で展開した魔法陣から光球を撃ちだす。

しかしソムニウムはそれを弾く。


「ふむ。お前の魔法は厄介だな……よし」


そういうと、ソムニウムを中心に光の輪が広がる。


「なにを……!?」


展開した魔法陣が砕ける。


「これは……イノセントフィールド!?」


「無の頂点にいるんだ。使えてもおかしくないであろう?」


地面すれすれの滑空で突進をかける。

が、カナデはそれを刀で受け止めた(・・・・・)


「……魔法ぐらい使えなくても、どうにかするわ」

「……赤火、黒鋼、狂咲、桜舞」


4つのスキルを同時に発動させる。


「狂咲は攻撃回数に応じてSTR上昇、桜舞はSTR90%減の代わりに一撃で10連撃に。それぞれ、効果は5分……いや、あと4分42秒で勝負をつける!」


カナデが前に飛び出す、ソムニウムへと最大速度で、連続で攻撃を仕掛ける。


「くっ……速いっ……」


「まだまだ!あと3分ある!」


ソムニウムのHPはまだ8割ほど残っているが、一撃によるダメージが目に見えてわかるほどに大きくなっている。


ソムニウムはここで初めて守勢にまわる。連撃を避けることに集中する。それでも3回に一回は確実に当たってしまう。速さでは負けているかもしれない。

完全に躱したと思った、カナデが眼前に現れる。


「牙貰うね?……砕牙!」


ソムニウムの牙が砕かれる。

そう思ったら背部に強い一撃を受けた。

残りHPは4割。


「あと1分半か。……でも、そろそろ魔法使えるよね?」


「む……」


「“結び・夢幻”」


カナデの刀が白い光を纏う。

無属性の光だ。


「龍爪!!」


二本の斬撃がソムニウムに向かって走る。

もはや躱すことはできず直撃。


「と ど め ! !」


ソムニウムの頭に白刃が振り下ろされる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ