表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第12章 暴龍と女神の選択
119/307

雲晴レル -12-01-

『さて、それでは祭りの最終日です!準決勝第一試合タロウ対オトハ!倍率はタロウ100倍、オトハ1.01倍です』


『まあ今までずっとやっててタロウが勝ったこと一度もないからね』


『響三姉妹VSタロウ……何なんでしょうねこの構図』


『さあ?陰謀じゃない?サイコロは6-2だったけど』


『あー……“鏡界”ですか』


『えっとどんなステージ?』


『全面鏡張りです』


『それって光最強……』


『すでにチケットの払い戻しはできません。タロウさんの札を買った人はあきらめてください』


『いやいやまだ万が一勝つ可能性も』


『それでは試合開s……』


その瞬間響いた咆哮と爆音。


街を覆う結界が砕けていく。


『え!?なに!?』


『落ち着きなよ。エイダイ!』


試合を中継していたスクリーンに正門の様子が映し出される。


『こちらエイダイ。現在無の龍ソムニウムと交戦中。ギルドメンバーはギルドマスター権限において強制招集をかける』


『了解。非戦闘員は全員闘技場の結界の中へ!スズネさんフィールドを解除して、入口を作って』


『わかりました』


「オトハ!タロウ!シズネ!君たちはすぐに正門に!」


「「「了解!」」」


三人はすぐに闘技場を去る。


「私は?」


カナデが声を上げる。


「ステラさんの安全だけ確保できたらすぐに向かってほしい」


「了解。『アスカ!イーリス!』


『アスカです。とりあえず全員結界の中へ入りましたが、どうしますか?』


『アスカとイーリスはタツヤたちとそのまま待機、ツバサたちはシオンと一緒に正門に向かって』


『了解です』


闘技場内にハルトの指示が響く。


『6番隊は港を守れ。特にマーレの船を。5と8番隊は転移門へ。死に戻りするだろうからできるだけ回復させてやって欲しい。4番はここを任せた』


「ハルトさん。正門まで飛びますが、一緒に行きますか?」


「頼む。じゃあみんな指示通りよろしく」


カナデとハルトは正門まで転移する。


「どうなってるんだ……龍なんて伝説上の生き物じゃなかったのか」


空中に映し出された映像では白い龍が火?を吐いている。

ライナルトは思わず頭を抱えた。


「フロール王」


見上げるとそこにさっきまで浮ついた声でアナウンスをしていたスズネが真剣な顔で立っていた。


「ハルトさんから伝言があります。『落ち着いたらすぐに王都まで転移できるようにする』とのことです。まあここまで攻撃は絶対に来ないので安心してください。必ず生きて帰します」


周りを見渡すとさっきまで黒い襟付きの服を着ていた連中がすべて青の服に着替えていた。メンシスの教皇は銀の羽根を襟につけた隊員たちと何か真剣に話している。


「なるほど、アレが龍か……わが領内にもいるかもしれんのだな」


「どうして襲撃してきたのかはわかりませんが、幸いカナデさんもシオンさんもあの龍とはやりあったことがあるみたいで……」


「は?」


「まったくウチの隊長は何者なんだ……」


タツヤがつぶやく。


龍が吼え、冒険者たちが跳ね飛ばされる。


「チクショウ。なんてタイミングだ!あと一日遅れてこいよ!」


エイダイが攻撃をかわしながらぼやく。


「全員聞いて!相手はHPが6割近くなると全回復する!弱点は無系統限定!」


戦場の真ん中に現れたカナデが叫ぶ。


「おいおいそんな奴どうやって倒すんだ……」

「いくら死なないって言っても痛いんだぞ……」


冒険者たちが言葉をこぼす。


「メインの攻撃はカナデさんとシオンさんに、他全員はできる限りの補助を!」


ハルトが叫ぶ。


「補助っつっても……」

「魔法は効かないし、刃は通らないし……」


重い空気を纏いながら重い剣を振るう。そんな冒険者たちにエイダイが声をかける。


「おいおいお前ら、いいこと教えてやるよ。比率的に言うとなこのゲーム若干女子の方が多いんじゃないかと言われている」


「「「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」」」


「もし龍なんか倒しちゃった日には……モテちゃうかもよ?」


「よっしゃ!オレがやってやるぜ!」

「待て、それは俺の仕事だ」

「おいおい、お前らさっきまで逃走謀ってただろ?ここはオレに任せて逃げろよ」

「それはお前もだろうが!」

「お前こそ女子隊員のパンチラ狙ってただけだろうが!」


「どうよオレの指揮官としての能力。褒めて良いよ」


「後で襲われても知らないからね僕は」


再び武器を構え龍へと向かう。


「シオン!無垢なる刃(ヴァニティーブレイド)中心で攻撃!」


「わかりました」


カナデとシオンが魔法陣を展開しながら距離を詰めていく。

地道な攻撃でソムニウムの体力は3割ほど減っていた。


「やっぱり、ゲームの時の倍は強いのかな……これだけの人数で攻撃してもまだ3割」


カナデとシオンの無魔法が命中し、HPの残りは6割に達する。


「そろそろだな」


「ホントに回復するの?」


「どうだろうな……」


龍の咆哮と共に黒い雲が晴れ、空から光が降り注ぐ。

HPが100%まで回復する。


「うわーやっぱり回復したよ……」


「おねーちゃん、どうにかお帰り頂けないの?」


カナデに問いかけるオトハ。


「とても話を聞き入れてくれるようには見えないけど……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ