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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第11章 力と知恵と魔法と
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刀の姫と水の騎士 -11-06-

『さーて注目の第7回戦です』


『5番隊隊長のアンリは大剣を使った近接戦がメインだけどウンディーネだから水魔法は強力だね。対して7番隊隊長のカナデさんはオールラウンダーだね。何ができて何ができないのかよくわからない感じがする』


『……ハルトさん初めて解説の仕事しましたか?』


『まあ否定はしない』


『アンリさんはかっこいいですから女性ファンが多いですね。まあカナデさんはファン層も広いですが……』


『なんかオトハの試合ぐらいから一気に客増えたよね』


『どうせパンチラ狙ってるんですよ』


『邪推じゃない?……まあ否定はできないんだけど』


『まあどうでもいいです。あと、シェリー姉さんが写真撮ってますからみんな買うといいと思います』


『一枚何万Gなのだろうか……』


『倍率はアンリさん1.92倍、カナデさん2.08倍です。それでは、そろそろサイコロお願いします』


『うん、わかった…………1-7だね』


『それではフィールド“竹林”ですね。それでは入場してください』


『……カナデさんまた衣装代わってるね』


『レイさんからメモが届いてます。曰く、カナデちゃんの黒髪に合わせて和服にしてみました!だそうです』


『裾すごい短いんだけど、ああいうのって恥ずかしくないの?』


『いや、恥ずかしいと思いますよ?でも眼福でしょう?』


『否定はしない』


その瞬間選手控え席の方から大量の魔法が飛来した。


『えー……解説の不規則発言について保護者の皆様にお詫び申し上げます』


『不意打ちは死ぬからやめてね?!』


『……それでは試合開始です!』


「カナデちゃん袖ひらひらしてるけど戦いにくくないの?」


「でもこれ取ると忍者みたいになるんですよねぇ……」


「竹林だし忍者で行ってみるっていうのは?」


「それはちょっと……」


お互いの距離を少しずつ詰ながら会話する二人。


『なんで普通に喋ってんの?』


『さあ?……あ、剣抜きましたよ?』


「じゃあアンリさんに合わせて私も剣で戦います」


『カナデさんが刀で戦うのあの大量虐殺以来初めてじゃない?』


『そうなんですか?』


「どれぐらい本気出せばアンリさんに勝てるでしょうか」


と言いつつ解析で情報を探る。


――――――――――――――――――――

アンリ

LV 62

???

???

???

――――――――――――――――――――


自分より高レベルのプレイヤーの情報は見えないようだった。62となると修羅の効果もない。


「それはこないだの虐殺の時を1として?」


「虐殺って……。あの時は軽くだったので0ですね」


「じゃあ20ぐらい出してね」


「わかりました5分以内で決めます赤火・黒鋼・丹田」


「一気に3つもスキル掛けるとかやる気だね」


「あと風と雷の魔法陣を張って……結び《疾風》《迅雷》」


風を纏った白の刀と雷を纏った黒の刀を構える。


「弱点衝く気満々じゃん……」


「本気でいかないと即死しますからね」


一瞬で加速したカナデがアンリに迫る。右からの雷の刃を構えていた大剣で防ぎ、身をひねり風の刃を躱そうとするが、カナデの方がほんの少し早かったため傷を負う。


「思ってたより速いんだけど!?」


「スピード勝負ですよね」


そういうとカナデが視界から消える。


「…………上か!」


頭上からの攻撃をギリギリで大剣で防ぐ。


「アンリさんこそなんでわかるんですか!?」


「私《超反応》っていうスキル持ってるから」


「何それ欲しい!」


「じゃあ私に勝ったら取り方教えてあげる」


「絶対勝ちます」


そういうとまたカナデの姿が消える。


「……今度は後ろ!」


しかしアンリの大剣は空を切る。


「!?」


「惜しいです」


アンリの背後にある影の中から(・・・・・)カナデが飛び出しアンリに一撃を当てる。


「くっ……そんな技が」


HPを既に1割削られたアンリ。


「思ったよりダメージ大きいなぁ……よし本気で行くよ。《剣速上昇Ⅱ》」


凄まじい勢いで繰り出されるカナデの連撃を全て防いでいくアンリ。


『うわー……何が起きてるんですか?』


『さあ?』


『解説の仕事してくださいよー』


『そんなこと言われたって早すぎて見えないし』


30秒ほど続けた結果、先に失敗をしたのはカナデだった。アンリの体に直撃コースで防がれる予定だった刃が空を切る。


「しまっ……」


大剣の横薙ぎを食らい竹にぶつかりながら吹き飛ばされる。

一撃が重い。これだけで3割近く持って行かれた。


「魔法剣Ⅲmode:Blizzard!!」


「……っ!!!!」


アンリの剣から発した斬撃は周囲を凍てつかせながら真っ直ぐ倒れたままのカナデへと進む。


『直撃ですかね!?』


『………いや』


アンリの影の中からカナデが飛び出しまっすぐに斬り上げる。


「あぐっ……」


「すみませんよけきれなかったので思わず魔法使いました」


「そうか……転移使えるんだったね」


「そしてこの技は影無です。一定確率で麻痺」


「ぐっ……」


先ほどの一撃でダメージが5割に達したアンリ。しかも麻痺と出血がある。

大剣に体重をかけ無理に立ち上がる。


「旋風!」


そのアンリを刃を回転させ弾く。


「……そろそろ決着かな。大技行こうかな」


アンリの剣に一気に魔力が集まる。


「神剣……水麗!!」


『なんですかあの技!!』


エイダイ(せんもんか)によると大剣の大技の一つでMP全損する代わりに女神級の力を下せるらしいよ』


『そんなもんまともに食らったら結界吹っ飛びますよね?』


『わー……カナデさんなんとかしてー』


「行くよ!」「行きます!」


剣と剣が交差する瞬間の事だった。


「!?……刀身が!」


アンリの剣とぶつかるはずだったカナデの二振りの刃はその直前に姿を消した。


そして二人の体が交差する。

アンリの体には交差した斬撃の跡が残り、HPが0になった。


「刀身を隠す技………朧月」


『勝者カナデ!』


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