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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第11章 力と知恵と魔法と
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白の墜天使と銀のオオカミ -11-05-

『気を取り直して第6試合です』


『今日の試合も次含めてあと3試合だね』


『なんか結界の修理ばっかりしてる気もしますが』


『それはみんなが思ったより本気だったせいだね』


『まあどっかの誰かは不戦勝でしたが、皆さん頑張ってますもんね』


『なんか僕に恨みでもあるの?』


『それでは第6試合最年少5番隊副隊長シルヴィア対7番隊副隊長シオンです。倍率はシルヴィア2.38倍、シオン1.72倍です』


『えーっと……じゃあフィールドは5-5だね』


『なんで勝手にサイコロふるんですか!』


『で、5-5は何のフィールド?』


『“激流”です。ここはアクティブフィールドですね。激流に飲まれて滝から下に落ちたら即死です』


『どうやって滝なんか作ったの?』


『魔法です』


『……便利だねその言葉』


『それでは試合開始!』


かなりの勢いで流れる川。その中にはいくつか中州があるが、飛び移る段階で足を滑らせたら即死だろう。


「よろしくお願いしますシオンさん。さて、どうやって渡りましょうか」


シルヴィアがシオンに視線を送るが既に姿はなかった。

あたりを見回す……が見つからない。


「しまった!隠密……」


中州の一つからこちらに向かって連続で炎弾が撃ち込まれる。


「うわっ……」


何とか躱しながら川辺を移動する。そこで進行方向に魔法陣が張られているのに気づく。


「いくらなんでもこんな露骨な罠にはかかりませんよ?」


すぐに後退し距離を取る。


「そうですか。残念です……と言いたいところですが」


中州の一つにシオンが姿を現す。


「思ったより簡単に罠にかかりましたね」


川岸が大爆発を起こしできたクレータへと水が流れ込んでくる。

クレーター内ではその勢いを殺すことができず、水は一気に溢れ出しシルヴィアを襲う。


「きゃあああ……そんなのずるいですー!」


濁流から逃れるべく決死の覚悟でシオンのいる中州へと飛ぶ。


「やった!飛び移れ……ってシオンさんまた隠密ですか」


獣人特有の嗅覚による索敵を開始するシルヴィア。


「風上にいるみたいですね!……っていうかシオンさんカナデさんのにおいがすごいするんですが」


シオンは何も答えないが、ここより風上にある中州は一つしかないのでそこに向かい、魔法を打ち込む。


「アイスニードル!!」


中州全体を覆うように氷の槍が地面から突き出す。


「……あれ?当たった感じがしなかった。移動している感じはしないけど、血のにおいもしない……」


その時風上から何かが撃ち込まれる。


「!?」


シルヴィアの手前に着弾したそれは一瞬のうちに大樹へと変わる。


「樹魔法!?」


続けざまに同じ地点から炎弾が撃ち込まれ、樹が燃え上がる。


「命中精度が微妙ですが次は外しません」


シオンが姿を現す。

そこはシルヴィアが攻撃した中州の真上(・・)


「え?!」


「墜天使ですので、飛べてもいいでしょう?」


黒い羽を羽ばたかせながらシオンは答える。


「……それってアリ?じゃあ私も本気出そうかなぁ……」


「本気?」


獣化(リベレーション)!!」


銀の髪が伸び、犬歯が伸びる。


「……思ったより変化しないんですね」


「もう一段階あるんですが、使ったら完全に狼になっちゃうんですよね……。この状態の私はSTR、INT、嗅覚が2倍だと思ってください」


「結構まずいですね……」


「近接メインでいきますよ」


と言うと腰に下げていた爪を両手に装備する。


「それじゃあまずは氷狼の咆哮(フェンリル・ハウル)!」


シルヴィアを中心に地面が水面が凍っていく。


「これで走れますね」


「そのようですね」


「魔導師さんですから近接戦はきついんじゃないですか?」


一気に距離を詰め、両爪の連撃を繰り出す。


「……あれ?当たらない?」


「魔導師だからって近接弱いと決めつけないでください」


「!?……いつの間に後ろに!?」


背中へ掌底を受けるシルヴィア。


「2倍と言いましたがカナデさんの剣より遅いですよ」


「そうだった……神速があるんだ」


「さて、」


メニューを操作し、大鎌を取り出す。


「本気で行きましょうか?」


「……お手柔らかにお願いします」


観客から何が起きてるかわからないといわれるほどの高速の連撃が始まる。


「なんでシオンさんは全身からカナデさんに匂いがするんですか」


「朝起きたら抱き枕にされてまして」


「……なんて羨ましい」


「そろそろとどめ行っていいですか?」


「え!?もうちょっと話しませんか?」


「長引くと迷惑なのでそれは後程」


地面に大鎌を突き刺し、それを踏み台に飛びあがる。


熾天使の息吹(セラフィム・ブレス)!」


輝く炎に一面埋め尽くされる。


「この程度ではまだ倒れませんよ!」


ダメージを受けながらも炎を耐え抜いたシルヴィアだったが。

足元の氷は耐えられなかったようだった。

ピシッと言う音を立て割れる氷。

せき止められていた水が一気に流れ出す。


「え!?ちょっ……」


シルヴィアは滝壺にまっさかさまに落ちて行った。


『勝者シオン!』


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