光の賢者と水妖の魔術師 -11-04-
『結界の強化と修理が終わったので試合を再開しまーす』
『第5試合オトハ対ゼオンだね』
『ちなみに倍率はオトハさん1.17倍、ゼオンさん6.67倍です』
『人気不人気の問題じゃなくてオトハ単純に強いからね』
『それではサイコロお願いします』
『1-5だね』
『フィールド‘湿原’で試合開始!』
「それじゃあルイに続いて勝てるように頑張りますか」
「私もそのセリフ言いたかったんだが、不戦勝ではなぁ……」
「ホントだねー」
『あれ?なんか僕の悪口言ってる?』
「「言ってない」」
『ちなみに私も不戦勝ってどうかと思います』
『僕のせいじゃなくない?なんで責められるの?』
「湿地って……動きにくそうだねコレ」
「それじゃあ先手いただき」
ゼオンが両手に魔法陣を展開し組み合わせる。
「大嵐!!」
凄まじい暴風がオトハへと進む。
「いきなり合成魔法とか飛ばしすぎ!」
光の障壁で一時的に身を守る。視界が晴れ、攻撃に移ろうとしたときにはゼオンの姿はなかった。
「このぬかるんだフィールドをどうやって移動したの!?」
「それは秘密だね。それじゃあここらへんで水精霊の本気を見せてあげよう」
龍を思わせるデザインの青い魔法陣。それも両手に展開する。
「うわー……龍系の魔法かぁ。見てみたいけどさすがに死ぬよね……」
ゼオンへ向けて走り出そうとした音羽だったが、泥に足を取られる。
「うわ……最悪」
結局魔法の発動に間に合わず、防御魔法を組み立てるオトハ。
「行くぞ!水龍の翼撃!」
魔法陣から生み出された水の翼が羽ばたき、激流を生み出す。
フィールド全体を洗い流すような水流がオトハを襲う。
『おっと、これはさすがのオトハでも……』
『え?でもオトハさんのいた所だけ水弾いてません?』
『防御してもアレは効くと思うけど……』
水流が止まるとずぶ濡れのオトハが顔を出した。HPは6割ほど削れている。
「ゴホっ……もう怒ったよ!これだけはやらないでおこうと思ってたけど弱点攻撃するよ!」
……とその前に、とつぶやくと火の魔法陣を展開し、フィールド全体を灼熱の炎で一撫でする。
「泥が乾いた!?」
「ゼオンさん泥凍らせて移動してたんでしょ?私氷使えないからさぁ……じゃあ行くよ!」
背中に背負っていた戟を構え、ゼオンへ一直線に走る。
「ゼオンさん近接戦できないでしょ?」
「ぐっ……」
「それに……雷装!」
雷の魔法陣を通し、戟は雷を纏う。
「ウンディーネだから風の派生形の雷はかなり効くよね?」
双戟を必死で躱しながら、魔法を準備しようとするが、攻撃速度が速すぎ、とても追いつかない。
「あと、私も二重起動使えるんだよ?」
ゼオンが攻撃をよけながらたどり着いた場所には橙の光を放つ魔法陣が敷かれていた。
「しまった!誘い込まれた!」
「合成魔法・電撃の羽」
魔法陣がはじけ空から無数の黄色い羽が降り注ぐ。
ゆっくりと落ちる羽はゼオンを囲むとそれぞれの間に放電を始めた。
雷撃の檻の中に囲まれダメージを受け続ける。
「ああぁぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁっ!」
HPは一気に削れオトハの勝ちが決まる。
「……ゴメンちょっとやり過ぎた」
『8割以上体力残ってるゼオンさんを一撃とかどんな技ですか……』
『やり過ぎたのはちょっとどころじゃないね』
「うるさいなぁ!早く終わらせてよ!」
『まあまあそう怒らないで』
『それでは勝者はオトハさんです!』
『ウンディーネの弱点を突く素晴らしい勝ち方でした』
「それは言わないでってば!」
『えー先ほどの試合で結界が壊れたので修理に入ります』
『弱すぎない?』
『キクロさんだけでなくヴィクターさんも加わって強化をしています』
『まあ魔力が足りないなら早く終わって暇してるエイダイ使えばいいよ』
『エイダイさん結構ボロボロだった気がしますけど……』
『魔法メインで戦闘する人たちがやると結界も使い捨てだねほとんど』
『あ、エイダイさんについては聞く気ないんですね』
『ここから全員トばしてきそうだから結界はさっきの5倍ぐらいにしといてね?』
『自分手伝わないのにさらっと無茶ぶりしますね』




