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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第10章 冒険者の街とお祭り騒ぎ
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晩餐会 -10-12-

「どうでしたかアマート首相、この街は」


ハルトが扉から入ってきたアマートに問いかける。


「素晴らしかったですよ。やはり自分で見に来てよかった。明日にでも貿易の品目を決めさせてもらいます」


「それは良かった」


「久しぶりだなアマート殿」


「ステラか……君はどんどん先代に似て来るね。本当に3国のトップを呼んだようだね」


「明日の昼過ぎにライナルト王が着きます」


「フロール王か……記録では先々々々代の頃に軽く戦争したきりだな。まあ両軍ともアンデッドに飲まれて壊滅したようだが」


昔から仲悪いようだが引き合わせて良いんだろうか……。


「ところでハルト殿。学園とやらが見たいのだが」


「あー……どうせ全員案内しないといけないから纏めていこうかと思って。何回も行くとめんどくさいでしょ?主に僕が」


「まあいいたいことはわかるのだが、国の対応としてそれでいいのか?」


「そういえばこの国……他国のトップが平然と歩いているのによって来たりしないよな」


そうか?私の所には結構来るぞ?とステラがつぶやく。


「まあ、それほど興味ないんだと思うけど……他国の首相が来ようと歓迎するのは僕らの役目で、自分たちは目先の祭りの準備を遂行することだけに燃えてるって感じかな」


「街も大分華々しくなってきたな」


「その分準備が大変だけどね。明日は午前は自警団と東の商業区を見てもらおうと思っている。ライナルトさんが着いたら魔研に案内するね」


「この街は珍しい物が多いから飽きないな……それに品物はどれも一級品だ」


「何か良い買い物でもしたのかステラ教皇」


「いくつか服を見繕ってもらった。どれも魔法糸で作られているから鋼の鎧よりも強い。エルバートは意気投合した職人に頼んでおーだーめいど?の剣を作ってもらうそうだが」


「ロランド……本気出し過ぎると問題になるからほどほどにしてくれるかな」


「どうかしたかハルト」


「いやなんでも……それより部屋を移って夕食にしようか」


ハルトは立ち上がり応接室から出る。目指すは一つ上の階の。現在進行形で食事の準備が進められている。


「そういえばこの街。議事堂なんかはないのか?」


「別に、そんなに大層な組織じゃないですからその辺の会議室とかで会議してます。やろうと思えば酒場でもできますよ?」


「領民に秘匿するべきことなんかは?」


「別に隠したって仕方ないですしねぇ……そもそも心を読む能力(スキル)を持ってるやつなら100人以上いるでしょうし」


「恐ろしい国だな……」


広間の扉を開け中に入る。

既に警護のメンバーは着席して食事を待っている。


「そういえば船乗りとかはどうしたの?」


「あいつらの面倒まで見てもらうわけにはいかないんでな。まあ、地上よりも海が落ち着く奴らだから」


「まあ、そちらが問題ないなら気にしないけど」


「うちの護衛まで食事に招いてくれるのか?」


「まあ一応客として扱うことにしてるんでね。でもライナルト王が小隊連れてきたとしたら無視する予定だけど」


「たしかに……私はそもそもあの王と一度も会ってないのだが」


ステラが迷わずカナデのとなりに座りながら話す。


「ライナルト王はまだ先代が生きてると思ってるみたいだけどね。……というか迷わずそこに座ったね。もっと上座じゃなくていいの?」


「カナデのとなりなら料理の解説もしてくれるしな」


「そういう理由なの?」


厨房からぞろぞろと夕食が運び込まれる。


「今日はアマート首相から海産物をいただいたのでそれを使った和食を」


客人たちは首をかしげる。

高級料亭を思わせる本格的な日本料理が並ぶ。あのスキンヘッドにどうしてこんな丁寧な仕事ができるのかわからない。


「生魚とか大丈夫なの?」


オトハが隣に座るシズネに尋ねる。


「魔法で殺菌はしてるから大丈夫だとは思うけど、日本人(私たち)以外は苦手かもね」


それを聞いたカナデが後ろに座る部下二人に尋ねる。


「イーリスとリゼットは大丈夫?」


「私は大丈夫です」


「イーリスは?」


「SUSHIなら食べたことがありますが……」


「外国に出てるお寿司はエキセントリックな進化を遂げているのであまり参考にならないような気がしますが」


シオンが微妙な顔でつぶやく。


「ステラは大丈夫?」


「まあ害はないのだろう?」


「無いとは思うけど無理はしなくていいからね」


カナデも謎の白身魚の刺身を見る。この魚の元の姿は知らないほうがいいかもしれないがかなり気になる。

醤油の入った小皿を取り……って醤油!?


「醤油なんてどこで」


ああ、とシズネが声を上げる。


「エイダイがマーレの市場で買ってきた。ヤマトにはあるらしいな。一度行ってみないと」


醤油をつけ、淡白な白身を味わう。うん、おいしい。


「山葵もほしいなぁ……」


「そうですね」


シオンも同じことを思ったらしい。今度代用品を探してみよう。

隣のステラもハルトの横のアマートも特に問題がある様子もなく食事に満足している様子。秘書のオリエッタさんは生魚NGだったようだが……。


いつも通り最後には私監修のデザートが運ばれる。

醤油があると聞かされていればみたらし団子なんかも作れただろうけど……。

和菓子の基本である餡子がない状態での開発はかなりつらかった。


どうにかこうにかロブさんと生み出したのは抹茶ムースとカリゴの実を中に入れた大福(名前も知らない豆で作った白あんを用いた)。果たして満足してもらえるだろうか(主にステラに)。


というか最近戦闘よりもおかし作ってる時間の方が多い気がする……。

女の子としてはそれだいいんだろうけど……。


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