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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第10章 冒険者の街とお祭り騒ぎ
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カウントダウン:2 -10-10-

祭りまであと二日。今日は姉たちが帰ってくる。

マーレの首相も一緒らしく、ハルトもかなり忙しいようだ。今朝見かけた時はほとんど灰になっていた。


ステラの警護はシオンたちに任せて、春興祭のメインイベントである「試合」の準備をしていた。

ギルドから水路を挟んだ東側にある闘技場。そこでは「試合」に向けて着々と準備が進められている。昨日まではハルトが監督していたようだが、限界を超え始めたので私に一任された。


「シェリー。現状は順調に進んでるの?あんまり把握してないんだけど」


「大丈夫。座席は全部指定にしてあるし、各方位のゲートにも金融(ウチ)のスタッフを配置済み。1席2000Gだよ?」


「来賓用の席とか確保してある?」


「あー…………忘れてた。特別席みたいなのないんだよねこの闘技場。普通あるでしょ?なんか部屋みたいなところ」


「西客席の真ん中の前から3列……18席分私に売ってくれるならハルトには報告しないけど」


「ありがとうカナデ!友情割引で30000Gでいいよ?じゃあ何とかするように言ってくる」


シェリーは下で仕上げ作業をしていた何人かに声をかけ、今の事を指示する。


「特別席って言っても大したことはできないから、もう何重か結界をはって、椅子をちょっといいやつに代えておくことにした」


「まあそれぐらいで十分でしょ」


「当日は満席が予想されるからあんまり空席も作れないしね。当日の立ち見の客には1200Gでチケットを売る予定。あと何分かで1回戦の組み合わせが発表されるからそれを見てから売り出し」


組み合わせが今日発表だってことを初めて知った。


「あとそれと同時に1口500Gで勝者予想ロトを始める。1位・2位・3位2人を当てられたら賞金ゲット」


「1番儲かるのは親だよねそういうギャンブルって」


「まあカナデが番狂わせしてくると思うから予想は難しいと思うけどね」


「まあ、お金の話は一度置いておいて、その他設備とかは大丈夫?」


「それは問題ないはず。私はゲートと売店しか詳しくはわからないけど。あ、でももう少し結界強化しといたほうがいいかもしれない」


「わかった。キクロさんに相談しに行ってくる」


「じゃあ私も行く。そろそろギルドの前で組み合わせ張りだされるし」


闘技場を出てギルドへ向かう。

すでにたくさんの人だかりができている。原因はギルドの前に張りだされた組み合わせ表。


「カナデは第7試合か、結構後だね」




1回戦

第1試合 カケル 対 タロウ

第2試合 エイダイ 対 ヨウ

第3試合 ルイ 対 クララ

第4試合 ハルト 対 リリ

第5試合 オトハ 対 ゼオン

第6試合 シオン 対 シルヴィア

第7試合 カナデ 対 アンリ

第8試合 シズネ 対 エンマ



初戦の相手がアンリさんとか……それよりも私の後の試合が……。とりあえず姉さんにメールで組み合わせ表を送信。


「アンリさんに勝てるかなー……」


「あの人魔法あんまり使わないから魔法で攻めたら勝てるかもね」


「大剣での一撃って即死じゃないの?」


「受けたことないからわからないけど」


研究室棟に入り、キクロさんの部屋を目指す。


「この際だからなんか売れそうな発明品がないか見ていこうかな」


「語りだしたら逃げられなくなるからすごい暇なときにした方がいいよそれ」


研究室の扉をノックし中へ入る。

さまざまな文献が散らかっている。


「すごい惨状ですねコレ」


「いつもはヴィクターが片付けてくれるんだが」


「やっぱ助手雇った方がいいですよキクロさん」


「そうだな……で、今日は何の用だい?」


「闘技場の結界もう少し強くなりませんか?」


「現状では不十分か?あれでも結構強いと思うんだが」


「じゃあ実験してみまよう」


シェリーにそそのかされてキクロさんごと闘技場の真ん中へ転移する。


「今からカナデが結界を攻撃して、割れたら強化してくださいね?」


「あ、私がするんだ」


「いいから早く」


「ええっ……じゃあ激怒の火焔(フュリアス・フレイム)!」


爆系統の上級魔法が結界に激突し、凄まじい轟音を響かせて爆発する。

丸くクレーター状に砕かれた結界はその部分から崩れていった。


「誰が客席ごと吹き飛ばせって言ったよ!」


「うわぁ……すぐ直すね」


時間回帰で元に戻す。

その直後、爆音のせいか、外から自警団のメンバーが駆け込んできた。


「どうかしたんですか!?すごい音でしたけど」


5番隊の副隊長シルヴィア。銀髪の犬耳のかわいい子だ。ちょっとシオンに似ている気がする。


「大丈夫。ちょっと結界の強度調べてただけだから」


「そうなんですか。お疲れ様ですカナデ隊長」


「アンリさんは?」


「うちの隊長はそろそろアマート首相が着くそうなので港です」


「そうなんだ。姉さんに会いに行こうかな……」


「じゃあ名残惜しいですが、私はこれで」


シルヴィアは部下を連れて去って行った。


「じゃあキクロ。結界の件よろしく」


「明日までには5倍の強さにしておきます」


どうやら話はついたみたいだ。


「じゃあカナデ。一回ギルドに来て。チケットは発行するから」


「オッケー」


再びギルドまでの道のりをたどる。キクロさんはよくわからない魔法陣を大量に展開している。なぜか笑っている。

怖いよキクロさん。


大勢の人でごった返しているギルドの金融のカウンターに入っていくシェリー。

それについて中に入る。


「ほんとは組合本部でしか売ってないんだけど、まあ私権限で。WCのA~C列1~6番ね」


オブジェクト化した金貨3枚をシェリーに手渡す。チケット18枚を受け取る。正直買い過ぎたかな……。でもステラの周りにあんまり変な奴を座らせるわけにもいかないし。


「あとおつりね」


8000G手渡される。


「え?なんで?」


「来賓分は国で持つらしいよ?さっきハルトに聞いた。WCのA2~A5が来賓用の座席になってるから」


「4人分ちゃんとあるのね」


「侍女だからって客には変わりないでしょ」


「私もそう思うけど」


「この後どうするの?」


「特に仕事もないし、そろそろ船着くみたいだから、港で姉さんの顔見てからステラの警護に戻る予定」


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