戦士の戯れ -01-05-
なんか区切っていったら短くなった…。
レベルアップによって得たスキルポイントを確認したところ、今までよりも多くなっていた。
とりあえず、ヘルプメニューで理由を確認する。
スキルのランクによって与えられるポイントの量が違うらしい。
今まではランクCのスキル×20×1.8=36だったが、
新しく入手した《近接戦闘》がランクB
《舞》はなんとランクSだった。
スキルが使えるか使えないかにかかわらず入手困難度によるものらしく、
C→B→A→S→SSの順に1ポイントずつ上がるらしい。
よって(C×18+B×1+S×1)×1.8=43ポイント。うん、やっと納得がいった。
チート過ぎて狂ったのかと思った。全プレイヤーに恨まれる…。
スキル割り振りは《近接戦闘》に9、《回避》《気配》《索敵》に8ずつ、《生産:道具》に7上げて、5残すことにした。いつまたスキルが進化するかわからないし、少しぐらい残しておいた方がいいだろう。というかスキルレベル上がるの速すぎると思うんだけど、その辺考えてこの種族を作ったんだろうか……。
スキルに依存しすぎているような気がするけど、ステータスも若干チート入ってるからプレイヤーと対戦しても最悪勝てる。まあ、勝てること自体が問題な気もするけど。現状ならLVが2、3上のプレイヤーでもなんとかなりそうだ。
それよりも残りのゴブリンを狩って、一度ログアウトしよう。姉と妹にお昼ご飯を食べさせないと。あの人たちほっといたら絶食とかするし。特に音羽は「さっきゲームで食べたもん!」とか言いだすし。
近辺を《索敵》で捜索していると、スライムの群れと出会う。もちろん触れたくないので、全員速やかに焼却。5体分のスライムゼリーを得て、さらに索敵を続ける。
最弱の代表格とはいえこんなに簡単に倒してしまっていいのだろうか
一応、村の近辺でゴブリンを探す。近辺と言っても他のプレイヤーがいないような奥地だけど。さあ、残り3匹でクエストクリアだ。
赤いシンボルを発見。数は3。後はこれがゴブリンだったらいいのだけど……残念ながらスローラビットだった。
愛らしい容姿に対する抵抗感も薄れてきたので瞬殺する。総合的にみるとこのウサギたちはスライムよりも弱いらしい。
もう見つからないならこのまま一旦落ちようかと思っていた矢先に、ゴブリンの群れと遭遇。数は6。3でいいって言ってるのにどうして倍も出て来るんだろう……。絶対コレ嫌がらせでしょう……。
《気配》で一回姿を消し、ファイヤーボールを打ち込む。燃えながら吹き飛ばされるゴブリン達。かなり哀れだ。突然の奇襲に動揺している様子も見られる。
INTが上がってきているおかげで6割近くもHPを削られたゴブリン達に一人ずつ止めを刺していく。
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EXP +66
小さな骨×3
+80G
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もはや聞き飽きたレベルアップのファンファーレを聴く。
どうやら私がパーティで狩る様な単位を一人で倒してるからレベル上昇が異常に速いらしい。
現状のINTはいろんな補正も含めて28。ヒューマン(LV 5)のINTは20に届くか届かないかぐらいなのでこのステータスはかなり高いといえるだろう。それに、一般的なプレイヤーは、この辺りはまだ武器スキルとかに極振りしてるみたいだけど、私は微妙なスキルばっかりあげているので戦い方が若干 (というかかなり)おかしい。
まずは街まで戻ってクエストの報告をしよう。
今まで通りひたすら薬草をつみながら帰る。これだけ収穫すれば一つぐらい違う草が手に入るかと思いきや、そんなことは全くなかった。どうやら、この辺りにはこれしか生えてないようだ。
途中、近づいた途端高速で逃げるラピッドラビットとかいう赤いウサギや、スライムに引くほどエンカウントしたが10体始末したところでMPが1になり、(なけなしの1で)ダッシュを使って全力で逃げた。エンカウントって必要としてないときにばっかりおこるよね……。
最低でも《気配》が使えるぐらいのMPを持って行動したいので、いったん宿屋でポーションづくりを行う。いつの間にか63個も集めた薬草とスライムゼリーを選択して、合成……
グリーンポーション(HP30%、MP10%回復)を見事精製。
スキルレベルを若干あげたおかげで失敗も少ないようだ。
同じものをあと15回行うと、結果Gポーション×12と生ゴミ×3ができた。
取得EXPは48ポイントだったので一つ当たり4。
次からスライムを狩りまくってこちらを作ろうかな。
こんなに簡単に経験値が集まるなら生産職の方がいいのかもしれない。ただ今日の目標はさっき逃した赤ウサギをどうやって倒すか。《気配》スキルを使っていたのにこちらに気付いたということは、《気配》を見破れる能力、もしくは、このスキルはスキルレベルよりレベルの高い相手には効果がないという特性があるので、LV 20以上のモンスターであるか…。どちらにせよ大きな経験値を獲得できそうだ。
まあ、まずはクエストの報告とお昼ご飯にしないと。
村長宅はお昼時だというのにたくさんのプレイヤーがあふれていた。
手早く報酬を受け取る手続きをする。
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報酬:580G
EXP +55
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またレベルアップ。そろそろ感動が薄れてきた。ソロプレイで初期からMP多くて、STRもINTも高いとコレだけすぐレベル上げができますよ。真似できないだろうけど。
ここでログアウトすることはできないため、一度外に出て、ログアウトすべくメニューを操作しようとしていると……
「ねぇ、君」
右から声がかかった。声をかけてきたのはナルシスト(雰囲気が)+小物(雰囲気が)×2。大方男ばっかりでさびしいから誘ってきたんだろうか?
「オレたちとパーティー組まない?クエストとか手伝うよ?」
「すみません。これから落ちるんです」
「一回だけでいいから!」
「結構です」
すぐにあきらめるかと思ったら食い下がってきたし。
「オレLV 12のイフリートだからさ、一つ上のフィールドでレベル上げとかできるよ?」
このあたりの適正レベルこえてるじゃん……。勝手に次いきなよ。
しかも別にあんたなんかに頼らなくてもこっちには高レベルのハイエルフ(妹)と高レベルのウンディーネ(姉)がいるし。
「ああイフリートっていうのは四大の種族なんだよ。すごいでしょ?」
四大は属性特化しすぎて弱点属性まで持っているからばらして得な事はないと思うけどなぁ……。背後から水属性撃ちこまれた即死だと思うけど。
姉曰く、「イフリートは精霊種族のくせにSTRが高いから序盤はただただ弱い」っていわれてたけど。
「精霊族は君たちヒューマンより強いんだよ。な?オレたちと組むと得だろ?ちなみに後ろの二人はエルフね」
「お断りします。あなた如きに頼らなくても私十分強いので」
「お前……こっちが下手に出てやっていれば、生意気な……。いいだろう1VS1で勝負しようじゃないか。この強さを思い知るがいい」
何がいいだろうだ。バカかお前は。
『グレンさんから決闘の申し込みが来ています。 Yes/No』
別に受けてやる義理もないのだが、若干イラついているのでYesをタップする。
それと同時に、残っていたスキルポイントを《魔法:系統・水》に49振り分ける。万が一に備えて、《回避》にも5ほど振っておく。水魔法さえあれば負ける気がしない。
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派生:《魔法:系統・水》→《魔法:系統・氷》NEW!
※スキルスロットが上限数に達しているため、スキルクリスタルとしてアイテムバックに格納されます。
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スキルクリスタルは売却・破棄・譲渡不可のアイテムだ。空きができたらすぐ使おう。上級魔法だし。
「もういいかい?いつまで待たせるんだまったく」
「はいはい、もういいですよ」
「では君から攻撃したまえ。レディーファーストだ」
レディーファーストとかいう割にはさっき急かされた気がするんだけど。
まあ、譲ってくれるというので遠慮なく水系統中級魔法アクアブレイドを全力で、顔面に叩き込むことにした。
右手のひらに現れた蒼い魔方陣が私の魔力を変換し、蒼く澄んだ刃が作られる。さすがにこれはまずいと判断したのか引き攣るグレンの顔に宣告通り水刃を叩き込む。
90%近く削られるHP、意外な出だしに困惑するギャラリー。
さすがLV 50の魔法。威力が全然違う。
今ので相手方はキレたみたいだけど、めんどくさいことにならなきゃいいなぁ。
「……よくもやってくれたね。じゃあ、こちらもほんの少しだけ本気を出そうか……ファイヤーランス!」
100%本気の攻撃を出してきた。
炎をまとった槍をこちらに突き出してきたが、そんな見え見えの動作ではモンスターにはあたっても、対人戦には無理だろう。
《回避》を使うまでもなく躱し、背後から《近接戦闘》で蹴りを叩き込む。そのまま吹き飛び、壁に激突したところでHPが0になり、赤いエフェクト(プレイヤーはHPが0になると赤いエフェクトが出る)を残し消え去った。
決闘での報酬は経験値とスキルポイント(最大5)、あいての所持金10%になる。
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入手:EXP +120
スキルポイント +5
1500G
称号:〈下剋上〉獲得
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〈下剋上〉…自分よりレベルの高い敵と戦うときクリティカル率上昇
さて、ログアウトしますか。
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ベル
LV 4 → 6
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