プロローグ -00-00-
二作目ですが、まともな連載はこれが初です。
よろしくお願いします。
バーチャル・リアリティの仮想空間を利用したVRMMOの登場から早くも一年が経過した。多くのゲームメーカーから次々と出されるタイトルの中で、今 ネット上で最も注目されているのが
―――Gladius et Magia Hortus
ラテン語か何かで「剣と魔法の庭」を意味するらしい
。12月12日の発売に先駆け、発売元のルデーレ社は今年の8月に500人のβテスターを募集したところ、約10万人の応募があった(応募はルデーレ社のホームページの片隅のリンクからしか行けなかったらしい)。12月頭から行われた、実際にプレイヤーをログインさせたβテストは無事成功し、発売日を迎える。
発売と同時に初期生産分50万本はすぐに完売した。一部ネット上では予約分だけでほぼすべて消えたらしいと噂されているが、これは製作会社も予想外だったようで、社長の「売れるんなら売れるときに売れるだけうっとけ!」という業務命令がとんだ。年末にもかかわらず必死に生産をし、正規発売日から2週間後の12月26日に追加の50万本が市場に出たが、人口密集地では店頭に並ぶとすぐに消えるという異常事態を招いた。
そもそもどうしてここまでの事態を招いたかというと、このゲームの設定によるところが大きいのかもしれない。
このゲームは種族数、スキル数、アイテム数など詳細の情報が一切明かされていない。また、各プレイヤーが自分の集めた情報を自動で記録するwikiを所持しており、それを提携した出版社に売ることができるため、βのころから情報はほとんど出ていない。
その秘匿性がプレイヤーたちの冒険者魂(?)に火をつけたのかもしれない