泣くな
「面ありっ」
審判の声と共に相手の白旗が上がった。
その瞬間私達の、約二年三ヶ月の剣道人生が幕を下ろした
「礼っ」
私の声でスタメンの全員が礼をする。
「整列っ」
私の声で全員が三歩前に出て整列する。今まで何度もやってきたことなのにこんなにも嫌になったの剣道を始めてから一度もなかった。
「お互いっ。礼」
審判の声で相手のチームも全員礼をした。最後に拍手をしながら五歩下がる。これで確実に、幕を下ろした。
「っく、ひっく、みっち~。悔しいよー」
チームのみんなは涙を流していた。しかし、私は泣けなかった。いや、泣きたくなかった。
ここで泣いたら本当に全てが終わってしまうと感じてしまうから。
ここで泣いたら、チームの雰囲気が悪くなってしまうから。チームを盛り上げるのは大将の役目だ。
最後くらいしっかり役目を果たしたい。
何が何でもここで私は泣かない。
「柚李泣くな。」
「だって、っう、悔しいっ。っう」
「そりゃそうだけど、全力出して戦ったんだろ?高校でも剣道続けるんだろ?」
「当たり前じゃん。っく」
「なら泣くな。柚李は全力出して戦った。高校でも続ける。なら、まだチャンスはあるじゃん。今度同じ相手と戦って勝て。剣道を続けてる限り次のチャンスはあるんだぞ」
「うん。っう」
きついことを言っているのは分かってる。だけど、これくらい言わないと本当にチームの雰囲気が悪くなる。そのとき先生が来た。
「女子剣道部集合っ」
「「はいっ」」
みんなは先生のもとに集まった。
どうもブラックチョコレートの2作目の作品です。
皆さんに読んでもらえたら嬉しいです。
ちなみにこれは、実際にあったお話ですよ