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『AGISS -対神機関-』  作者: 羽吹南瓜
異形ゲーム編続
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第四十三話 『ニュージェネレーション』

 ヴォイドの裂け目。


 三本目の腕。


 崩壊する地下区画。


 そして。


 王ですら警戒する異形。


 状況は最悪だった。


「透真!!」


 八重の声。


 振り返る。


 巨大な腕が振り下ろされる。


 避ける。


 だが。


 衝撃だけで吹き飛ばされた。


「ぐっ……!」


 壁へ激突。


 終焉装甲が警告音を鳴らす。


《損傷率上昇》


 マズい。


 かなりマズい。


「このままじゃ押し切られるぞ!!」


 レオンが叫ぶ。


 王も翼を広げる。


 怪人たちも応戦している。


 だが。


 ヴォイドの異形には通用しない。


 その時。


 通信が入った。


『こちら神戸支部』


『追加増援到着』


 鳴海が空を見上げる。


「まだ来るんか!?」


 轟音。


 三機の輸送機。


 神戸支部上空へ現れた。


「来た」


 レオンが呟く。


「各支部のエースだ」


最初に飛び降りたのは


 一人の女性だった。


 黒髪ロング。


 青いインナーカラー。


 ロングコート。


 空中で二丁拳銃を抜く。


 パンッ!!


 パンッ!!


 青い弾丸が異形の腕へ命中。


 腕が僅かに軌道を逸らした。


「なに!?」


 八重が驚く。


 女性は綺麗に着地する。


「東京支部所属」


「天城美玲です」


 そのまま俺を見る。


「久城透真」


「思ったより無茶苦茶な人ですね」


「初対面だよな?」


「報告書を読みました」


「余計なお世話だ」


 鳴海が近づく。


「美人さんやん」


「黙ってください」


「はい」


 鳴海が即死した。


二人目


 輸送機から飛び降りる。


 刀。


 二本。


 和装風隊服。


 黒髪ポニーテール。


 着地。


 スッ――


 刀を納める。


 次の瞬間。


 異形の腕に巨大な斬撃。


 ズバァァァァン!!


「拙者」


「AGISS名古屋支部所属」


「真田玄馬」


 深々と礼。


「助太刀に参った」


 鳴海。


「侍やん」


「侍でござる」


「ホンマに侍やん」


 レオン。


「いや現代日本ですよ」


三人目


 最後の輸送機。


 誰も降りてこない。


「ん?」


 俺たちが見上げる。


 その瞬間。


 輸送機の上に立っていた。


 白髪。


 黒コート。


 包帯。


 赤い瞳。


「ククク……」


 嫌な予感。


「ついに封印が解かれる時が来たか」


 もっと嫌な予感。


 鳴海が言う。


「誰やコイツ」


「我が名は」


 腕を広げる。


「月城零」


「闇を統べる者」


「仙台支部が誇る最強の――」


 輸送機の隊員。


『早く降りろ』


「……」


 沈黙。


 月城。


「はい」


 普通に降りてきた。


 鳴海。


「誰やコイツ」


 レオン。


「私もそう思います」


 八重。


「面白い人ですね」


「違う」


「これは運命なのだ」


「そうですか」


 誰も相手にしていなかった。


 しかし。


 その時だった。


 ヴォイドの裂け目。


 巨大な腕が四本へ増える。


 地下区画全体が悲鳴を上げた。


 全員が空を見る。


 王。


 怪人。


 AGISS。


 全員。


 同じ敵を見る。


 そして。


 羽吹が本を閉じた。


「よし」


「最悪だけど戦力は揃った…透真」


「なんだ」


「全国の変人が集まったよ」


 周囲を見る。


 侍。


 厨二病。


 毒舌女。


 敬語炎使い。


 関西人。


 元エージェント0。


 エクソシスト。


 巫女。


 怪異の王。


「……」


「そうだな」


「ろくなメンバーじゃねぇ」


 その瞬間。


 ヴォイドの裂け目が大きく開いた。


 そして。


 中から現れた。


 腕ではない。


 顔。


 巨大な顔。


 世界そのものを見下ろすような異形の顔が。


 ゆっくりとこちらを覗き込んだ。


 全員が凍りつく。


 そして。


 透真の右目が激しく輝く。


《接続率 75%》


《試験最終段階》


《HX-01C VALGRAVE》


《起動準備》


 ヴァルグレイブが。


 本格的に目を覚まそうとしていた。

次回予告


全国支部エース集結。


だが現れたのは、


怪異ですらない何か。


ヴォイドの真の住人。


そして透真は精神世界でヴァルグレイブ本体と対面する。


「証明しろ」


「お前の終焉を」


次回――


『終焉の資格者』

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