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Fate Mechanical  作者: 有裏 杉
第一章
3/3

機械と運命

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・どれくらい経っただろうか。

 一面が暗闇で何も見えない。

 身体は・・動く。

 ・・動く?

 なぜ動く?


 ・・・ウィーン・・・


 扉が開く。

 暗闇に光が入り込んでくる。

 眩しい。


「・・?お父さん・・?」


 闇に順応していた視界が徐々に見えてくる。

 目の前には、お父さんと黒スーツ姿の男が対峙している光景が見えた。


「・・ワン!!」


 お父さんが酷く焦りを見せている。

 こちらに駆け寄ろうと動く。


「余所見は厳禁ですよ、ドクター・サクマ。」


 黒スーツ姿の男が指を鳴らす。

 その瞬間、お父さんの身体が赤に染まった。

 真っ白な白衣がみるみる赤色に染まる。

 ほどなくして力なく床に倒れこむ。


「・・あ、ああ、ああああ!!!!」


 倒れているお父さんの下に駆け寄る。

 胸には深く大きな傷があった。

 左腕も骨折をしている。

 間違いなく致命傷。


「ごふっ・・ワン・・。」

「お父さん!いったい何が!」


 口から血を吐きながら喋りかけてくる父親。

 僕は、声をかけるしかできなかった。


「・・説明する・・時間が、ない。私たちはっ・・狙われていた・・。」

「狙われていた・・?」

「・・これ、を。」


 お父さんがポケットから小さな箱を取り出す。

 弱々しく握りしめている箱を僕は受け取る。


「・・かな、えろ・・望み・・を・・。」


 そう言葉を残すとお父さんは動かなくなった。

 目を開けたまま。

 口を開けたまま。


「・・お父さん・・命令を、ください・・命令を・・ください・・。」


 これは何だ。

 感覚が締め付けられる。

 何かが喉から出かける。

 受け入れられない。

 認められない。


「本来ならば、生かして連れて帰る予定だったが・・致し方ない。」


 黒スーツ姿の男が、こちらに歩み寄ってくる。


()()()()を受けたのだ、こうなる事も考えてはいただろう。それにとどまらず、現実世界に意図的に仕組んだ()()()()()()()()()を起こしたときた。当然の結果だ・・そうだろう、()()の息子?」

「聖杯、戦争・・?」


 何を言っているのか分からない。

 不明の言葉が飛び交っている。

 ただ、分かるのは。

 この男は、お父さんが死ぬ事を軽く考えているという事。

 そうであるならば・・。


「おかしな真似をするなよ、機械ごときが。」


 突如、目の前に髑髏の仮面をした何かが現れる。

 俺の身体は、壁に叩きつけられた。


「ぐふっ・・!」


 痛い。

 この痛みは、初めてだ。

 アンドロイドの身体にダメージをいれる程の力。

 明らかに人間離れをしている。


「アサシン、あまり傷つけるなよ。二人とも殺しては意味がない。」

「仰せのままに、マスター。」


 マスター?

 あの男は、アサシンと言ったか?

 暗殺者を雇っているのか?

 疑問が溢れるばかり。


「ですが、暴れられても大変でしょう。四肢を折っておきましょうか。」


 そう言うとアサシンと呼ばれていた髑髏面は、僕の左腕を勢いよく捻じ曲げた。


「ぐあああ!!」

「ほう、機械なのに痛みを覚えますか。噂は本当だった様ですね。」


 あの男。

 俺がアンドロイドでありながら、人間の肉体も持っていることを知っている。


「お父さんも、左腕が骨折していた・・。お前が、やったんだな・・。」

「そうだ。」

「なぜだ。」

「それが、我が主の命令だからだ。」

「・・お前らは、お父さんを殺した事に罪悪感はないのか。」


 男とアサシンは、見つめ合う。


「ない。残念だとは思うが、それが運命であるだけだ。」


 男は、あっさりと発言した。

 アサシンも意見は同じ様だ。

 ・・答えは分かっていた。

 分かっていたが聞いておきたかった。


「運命・・?」


 あまりにも、軽い。


「・・その運命をもたらしたのは、お前らだ。」


 あまりにも、自己的。

 あまりにも、身勝手。


「間違っている、お前らは間違っている!」


 あまりにも、苦しい。

 あまりにも、悲しい。

 あまりにも、悔しい。


「・・黙らせろ。」


 暗殺者の手がこちらに降りかかる。

 狂気が襲い掛かる。

 あまりにも、憎い。


「人の死を、運命を!軽く見るな!!」


 右手に紋様が現れる。

 その瞬間、魔法陣が輝きだす。

 電流の眩い光などではない。

 無慈悲に振るわれた攻撃が跳ね返される。


「・・機械が、サーヴァントを召喚する、だと?」


 目の前には、女性が現れる。

 長髪で金色に染まった髪。

 高身長であり、その身体は美しく曲線を描いている。

 大人びた雰囲気があるにも関わらず、どこか幼げのある顔立ち。


「現世に召喚されたと思ったら、いきなり襲い掛かってくるとはね。」


 女性は、アサシンの前に立ちはだかる。

 堂々とした態度に、アサシンとマスターと呼ばれる男は警戒をしている。


「しつこい男は嫌いじゃないけど・・。」


 ちらりと女性が僕の方を見る。

 状況を確かめた様だ。


「傷を負わせるのは、違うわね。」

「・・!」


 そう囁くと、女性がどこからか壺を取り出す。


「災厄よ、出なさい。」


 壺から得体の知れない何かが溢れ出す。

 実体を掴めない、謎の存在。

 アサシンは、姿をくらまして逃げた様だが意味がなかった。

 たちまち、何かはアサシンを捕まえて男と共に包み込んだ。


「な、なんだこれは・・!く、苦しい!苦しいい!苦しいいい!!」

「ぐ、ぐおおお!!!」


 包み込まれた中で、苦しそうにもがく二人。

 その光景は、見ていて愉悦的なものであった。

 数分して静寂に包まれる。

 何かが消えていくと、男は息絶えておりアサシンは消えていた。


「アサシン、どこに・・!」

「マスターが死んだんだ、サーヴァントも消えたんだよ。」

「マスター、サーヴァント・・それは、何?」

「いいわ、説明しましょうか・・ただその前に、一つ聞いておきましょう。」


 女性は、倒れている僕の前に立つ。

 真っ直ぐに僕を見つめてくる。


「問おう。君が、私のマスターか?」


 薄暗い空間を、ライトの光がその場を照らす。

 目が惹きつけられる。

 この考えは、何なのだろうか。

 答えを得るには、まだ分からなかった。

お読みいただき、ありがとうございました!

ここからが運命の始まりです。

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