蘇生
Fateシリーズ、及び、Type-Moon作品が好きすぎて二次創作として小説を書いてみました!
一ファンの空想の物語として楽しんでくれたらと思います。
尚、ガイドラインに従って収益化は無効としております。
降り注ぐ雨。
男は目の前にある息子であったモノを呆然と見つめていた。
雨が目に入ろうと、雨滴は滲み出る涙に反発された。
集まり始める人。
血を流しながら倒れている息子。
立ち尽くす私。
目の前で失った。
その感覚は耐え難いものであった。
「・・・。」
言葉が出ない。
感情が出ない。
ただ、時間の進みが遅く感じる。
・・・。
・・・。
・・・。
・・・どのくらい経つであろう。
男には時間の感覚がなくなっていたのかもしれない。
ひたすら、一つの目的に執着していた。
実験をする。
失敗の連続。
ただ、それは今日までの事であった。
「・・・落ち着け、落ち着くんだ、徹。私なら出来る、出来るんだ。」
自分の名前を呼び鼓舞をする。
一言も喋らない時間が続いていたが、この瞬間は心が高ぶり声が出始めた。
冠位の魔術師にも協力を仰いだのだ、きっと上手くいく。
「戻ってこい、霧人。」
徹は、レバーをゆっくりと降ろす。
すると、眩い光を放つ電流が徹の目の前にある大きな装置に流れ込む。
装置には彼の息子が入っている。
激しい光を放ち始めた装置に徹の目が眩む。
暫くして、光に溢れた空間は落ち着きを取り戻した。
・・・ウィーン・・・
目的を果たした装置が重たい扉をゆっくりと開ける。
「・・う、うう。」
「・・!霧人!!」
徹は、装置に入っていた息子に駆け寄る。
「蘇った・・!成功したんだ・・!」
徹は、涙を流しながら息子を抱きしめる。
身体が体温を感じる。
「霧人、私はお前を失ってから絶望していた。お前がいなくなった世界を生きるのは耐え難かった。」
彼自身の苦しみを言葉にして吐き出す。
長い時間が掛かってしまった。
それが、やっと終わりを迎えた。
息子の顔を見て喋ろうと思い、抱きしめた状態を止める。
「だから、霧人。私は前代未聞の魔術、そして、科学を使用して、お前を復活させたんだ!結果は、この通り!成功したんだ!」
魔術と科学。
この世界には定義がある。
空を飛ぶ事を例に出そう。
かつて、空を飛ぶ事は限られた者にしか許されない「魔法」であった。
やがて術式が確立され、それは「魔術」となった。
そして今、飛行機という科学の結晶が現れたことで、空を飛ぶことは「当たり前の事象」となった。
科学が進歩するほどに、魔術はその神秘を失い、単なる「不便な代替手段」へと追い詰められていくのである。
時代の進歩とともに神秘が失われていく。
だが、この男。
佐久間徹は、その両方を極めた天才であった。
魔術師であり、科学者。
彼の知名度は、魔術師の総本山である時計塔に及ばず世界中に知れ渡っていた。
魔術師は、選ばれた者しか扱う事が出来ない。
徹は、魔術師の家系で生まれた。
優秀な血筋を持ちながら、科学にも手を出した。
そして、今日。
死者の蘇生という現代ではどの魔術師も到達できていない「魔法」の領域に到達した・・と思っていた。
先程から、彼の力で蘇った息子は呆然と徹の姿を見つめていた。
「どうした、霧人?」
天才は言葉を濁らせる。
目の前にいる息子の様子がおかしかった。
蘇生は成功した。
成功したが、違和感が混じる。
目の前の息子が口を開く。
「・・・あなたは、いったい・・誰?」
モノは、徹が何を言っているのか分からなかった。
無理もなかった。
目覚めた直後に、突然知らない人が一方的に話しかけてきたのだから。
しばらくして、モノには疑問が生まれる。
「・・・僕は、誰?」
ふと出た言葉。
運命を受け入れられない。
その言葉は、父親の見えている世界を再び濁らせてしまうものであった。
お読みいただき、ありがとうございました!
今回は、本編の前日譚となります。
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