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7/6Side:織姫
「織っても織っても、終わりが来ない」
「はじめから、川より長い反物など、無理に決まっていたのです」
「一年……いえ、数十年かかるかもわかりません。でもここで止めてしまうと、牽牛には二度と会えなくなってしまう」
「この愛の呪いがある限り、私は諦めることもできない。この愛の呪いがある限り、私は織り続けることができる」
「嗚呼……牽牛様。十年経っても、私を待ち続けてくれるでしょうか」
「織女様! 朗報でございます!」
「あなたですか。何ですか? まさか天帝が注文を取消でもしましたか?」
「いえ、注文はそのままでございます」
「では何ですか。明日一日だけ外出の、許可でも出ましたか?」
「いえ、織り終わるまで、外に出ることは許されません」
「では何だというのですか! 私を哀れみにでも来たのですか!?」
「織女様、窓から外をご覧ください」
「これは……川が、干上がっている?」
「その通りでございます」
「何かの前触れでしょうか……ですがこれが何か?」
「織女様、天帝様の注文をお忘れですか?」
「確か、川よりも長く、と……」
「そして、その川は今、どこにありますか?」