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7/3Side:織姫
「織女様、天帝様から注文が入りました!」
「そうですか。在庫から適当に持ってってくださいな」
「それが、どうやら在庫では対応できそうにありませぬ!」
「それは珍しい。天帝は一体何をお望みか?」
「一言一句読み上げさせていただきます。天帝様が望むのは『この川よりも長く美しい反物』でございます」
「川というのは、まさか天の河のことですか?」
「そのように伺っております。今すぐに取りかかり、終わるまで部屋を出るな。とのことでございます」
「天帝はなぜ、そのようなことを……」
「天帝様の意思は、天帝様にしかわかりませぬ」
「美しさなどというのは人によって基準が曖昧です」
「なのでそこは、問題にする必要がありません。私が美しいと言えば、それは美しいということになります」
「ですが、長さだけはどうにもできません。10万光年を超えるこの川よりも長い反物を、これから私は生涯をかけて織り続けることになるのでしょう」
「ああ、牽牛……どうか許してください。約束の日に、私は会えないかもしれません……」