表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

爆縮と体温の機知(9)

路線図モニター

裏と表みたいに車体が行き交う

窓の外に

ちょうど空が見えて

夜と朝みたいに時間が行き交う

忘れ物は何号車だったか

それすらも忘れて

進行方向はこっちだっけと

それも曖昧でいて

隣の形と笑い合えるなら

それで良いと思う毎日

何がどうあるかなんて

考える気も無かった


立ち止まるなら

駅地下の買い物スペースか

一階の食事が取れる場所が良い

あんまり動きたくないから

広々としていても

無駄のように感じる

利用する時間が多いほど

行動はシンプルになっていく

それ以上を望まないことは

忘れることになるのか

分からない

目に入らないということは

認識していないということだろう


すれ違った向こうの車体には

押し込まれたものが

たくさんあった

得体の知れないものから

このあいだ見たCMの商品

よく抱きしめたぬいぐるみ

通り過ぎて行った時には

もう忘れているだろう

また、すれ違うまで

思い出さない自信があった

振り返りながら

何処かで振り返らない

気づいた時には

要らないものかもしれない


無くなった車体があることを

そのうち気づくのだけれど

それは何処を走っていたのか

全く分からなくて

結局は今の座席に縛られている

一人の人間の中に

作られている路線図は

日ごとに変わり

同じ場所を回る路線だけが

いつも明確である

黄色の車体と

今、すれ違った

少しだけ

嬉しいことがあったのかもしれない




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ