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例え人ならずとも

特に読者から反応がなかった場合、第一章『その愛は毒のように』を終えた時点で更新を停止します。


理由としてはモチベーションと、他にも書きたいものが沢山あるからです。


この先続く場合の流れは

新たなる脅威

裏組織との対抗

色以外の魔王との関わり

最強に最も近い魔術師


と言った感じです。


感想などで続けて欲しい、という意見があればモチベーションが続く限り上げます。


どうかご意見くださいな。

「──見せてみろよ。お前の強さを」

「言われなくともッ!」


大地を蹴り、嶺二が駆ける。

その速度は常人の域を超えており、明らかに何らかのチカラを使っていた。


「『気纏・豪気』──【覇轟】!」


嶺二の右腕が炎の様に紅く揺らめくオーラを纏い、振るう。


腕を交差し、受けた綾人の腕からボグリ、と鈍いくぐもった音が響き、殴り飛ばされた。



「……痛い、な」


ぷらり、と揺れる両腕は明らかに折れていて。

それでいて普段と変わらない様子の綾人から違和を強く感じる。


「その両腕、折れただろ。これで俺が強いってわかったろ?」

「ああ、折れたな。それがどうした?」


だから、と終わらせようとする嶺二を無視して笑う。


「両腕が折れたから戦えないって? 本気でそう思ってるのか?」


前傾に身体を沈め、姿勢を低く。

両腕を地面に擦りながら、脚にチカラを込める。


「本当にそう思ってるなら、お前はまだ弱い」


前に跳ぶ。

その綾人をオーラを纏った腕で地面に叩き落とす。

叩きつけられる前に肘を着き、前回転する勢いのまま踵落とし。


「グ、おお!」


バランスを崩しながらも腕を薙ぎ──再度姿勢を沈めた綾人が上に持ち上げるように体当たり。


「『気纏・堅気』、【不動】。『豪気』【覇轟】!」


それを硬質な気を纏うことで耐え、先程の攻撃特化の気を纏い直して綾人の頭部を殴り飛ばす。


作用反作用で後ろに飛んだ嶺二と、切り揉みしながら吹き飛ぶ綾人。


「っ、ヤベェ! 綾人ッ!!」


咄嗟に振るわれた拳には、かなりのチカラが乗ってしまった。

一撃で両腕を砕く程の攻撃が綾人の頭を撃ち抜いたのだ。


(こ、殺し、た?)


遠目から見ても明らかに綾人の頭部は変形していて。

致命たり得る一撃だった。



「──ああ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」



呻き声が上がる。

揺れるように起き上がり──前のめりに倒れるようにして両手を着く。


「大丈夫──」


安否を問いかけようとして、違和を感じて留まる。


(両腕を地面に着いている? 確実に折れたはずなのに?)


気がついた瞬間、叩きつけられた威圧。

同時に這うような高さで進み、手を着いて前方倒立回転飛びの要領で飛びかかる。



「【不動】!」

「オ゛オ゛ァ!」


頭部を鷲掴みにし、守りを固めた嶺二を地面に押し倒す。


「──ああ、少しトんでたか」

「グ、おお!」

「『dir u』」


押しのけようとした嶺二の身体が沈む。

『あなたへ』という意味を込めた【言葉の重み】だ。


「腕も頭も治ってるな。……なるほど、朝食べた煮付けはそういうことか」


助けた人魚の女性と、彼女が作った魚の煮付け。

そして不自然な治癒能力とくれば、自ずと理由はわかってくる。


「ふっ!」

「お──がっ」


馬乗りになっていた彩人を持ち上げた両足で絡め、頭から地面にたたきつける。

解放され、距離をとる嶺二は呼吸を整えながら、油断なく睨み付ける。


「ああ、痛い、痛いなぁ」

「なら、少しは苦しそうにしやがれってんだ」


彩人は笑っていた。

心の底から、楽しそうに。


「ああ、楽しい。痛みは、苦しみは──『生きている』って実感できる」


流れていた血はそのままに、傷口は全て塞がっていて。

まるで血ニ酔ウ獣のヨウに──


「荒屋敷、彩人は問題ないのか?」

「怪我は確実に治ってる。でも、何をエネルギーにしてるかはわからない」

「なら、どうにかしたいところだが……できるか?」


ふと、頭によぎるのはそれを前に倒せるのか、という思考。

逃げの嗜好は何処にもなくて、そんな自分に思わず笑みを浮かべる。


「ああ、なんだ。俺も全力で戦えそうで、楽しんでるじゃねぇか」


構えを変える。

攻撃と防御どちらにも対応できる型から、カウンター主体の型へ。


「『あなたへ《Dir u》』」

「【流転鏡水】」


姿勢を低く、彩人が駆けだす。

【言葉の重み】で重くなった身体を動かし、彩人の攻撃を受け流して追撃を入れる。


追撃を入れられた彩人だが、四肢を地に着き絶え間なく攻撃を繰り返す。



(まるで、手負いで後に引けなくなった獣のよう……)


離れて見ていた園実はそんな感想を得ていた。

そして似たようなことを嶺二も感じていた。


(クソジジイが彩人と一緒に修行をつけなかったのはそういうことか……!)


嶺二の学んだ武術は、いわば人間が戦うために適用された技術である。

それに対して、彩人の戦い方は野性や本能といった生物が元来持っている要素を引き出した闘争だ。


ふと思い出したのは『道場』に彩人が初めて来たときの言葉。


「『私は獣でいい』って、こういうことかよ……!」

「守りたければ守り、打倒したくば打倒す。うだうだ考えるよりも欲求に忠実に、何よりも思うが儘に。素晴らしいと思わないか!?」

「ああ、思うぜ。だからこそ、俺はこうして、お前ぇとやりあっている!」


ダメージを気にしない彩人の猛攻と、カウンター主体の嶺二の攻防はとても荒々しくありながら、一種の美しささえ見せ始めていて。


「『気纏・豪気』──」

「『私の思いを私の手に《Dir am ligth》』」


互いに込めるチカラは、今込められる全力で。



「──【覇轟破砕】!」

「──【思いをあなたへ《Dir u》】!」


ぶつかり合うのは嶺二の拳と彩人の鉤爪のような掌底。


「ぐ、おおおおおおお!」

「ああああああああああ!」


打ち合っていた時間は刹那。

だが、互いのチカラと想いがぶつかり合うには十分な時間だった。


どちらともなく、気迫の声は消え、笑いあう。


「どうだったよ、俺のチカラは」

「肩が外れている男のセリフではないな」

「うるせぇ。肘の骨が突き出てる彩人に言われたくねぇっての」

「治るからいいんだよ」


互いの有り様にけなし合い、笑う。


「で、実際どうよ?」

「ま、そこまでの覚悟があるんならいいんじゃないか? だけど……」

「俺だって誰かの抱えてるモンを馬鹿正直に教えてくれなんていえねぇよ。彩人とやりあってて感じたことだが、簡単には言葉にできないものもあるしな」


互いに無事な腕を差し出し、固く握手をする。


「これからもよろしくな、彩人」

「こちらこそ、嶺二」


男同士、ぶつかり合って何かを理解したのか、さわやかな笑みを浮かべ合うのであった。




「──え、そんな満身創痍でさわやかさを演出してる場合じゃないでしょ!?」


思わずといった様子で叫ぶ園実。

事実、方や肩が脱臼しており、肩や肘が外れて肉を突き破っているのだ。


「あー、ちょっと待ってろ」


そう言って近くの台に上り、飛び降りて地面に転がる嶺二。


「え、ちょっと!? 何やってんの!?」

「何って、外れた肩を嵌め直したんだろ。昔は外れた肩を嵌めるためにわざと落馬したらしいんだが……習っておいてよかったぜ」


ハハハ、と笑う嶺二に呆れながら、明らかに重症の彩人に視線を向ける。


「彩人は──」

「ん? どうかしたか?」


それは丁度、突き出した肘を膝で蹴り上げて骨を体内に蹴り込んだところであった。


「えぇ……」

「嫌、多分ほっとけば治るだろうし……」

「だろうしって、自分のことなのに適当な……」

「適当も何も、さっき嶺二と喧嘩して初めて俺に再生能力があるって解ったしな」

「え、じゃあ何? そのことを知らないであんな戦い方してたってこと?」

「? ああ」


あっけらかんと言い放つ彩人に頭が痛くなる園実。



「さすが彩人だな! 俺には真似できねぇぜ!」

「それよりあの凄い威力のヤツ、今度教えてくれない?」

「もちろん! 明日辺り道場でどうだ?」


まるで喧嘩なんてなかったかのように仲良くいつも通り話す二人。


「お願い、カナデ。早く帰ってきて……私だけじゃ持たないわ」


思わず小さな声でそんなことを零すのであった。

再度



特に読者から反応がなかった場合、第一章『その愛は毒のように』を終えた時点で更新を停止します。


理由としてはモチベーションと、他にも書きたいものが沢山あるからです。


この先続く場合の流れは

新たなる脅威

裏組織との対抗

色以外の魔王との関わり

最強に最も近い魔術師


と言った感じです。


感想などで続けて欲しい、という意見があればモチベーションが続く限り上げます。


どうかご意見くださいな。

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