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日常から

どうも皆様こんにちは?

ワタクシ、ナリアでございます。


新作を始めます!

此度紡ぐはアイと友情、そして人々の思いが交錯する物語!

彼らは何を思い、何を成すのか。

物語、ここに開幕!

人々が倒れ伏せる。

それに挑もうと集まった幾人もの魔術師達がなすすべも無く、打ちひしがれていた。


「あ、あああ……」

『どうした!? 一体何があったんだ!?』


傍らに落ちていた無線機が叫ぶ。

震える手でそれを拾い、現状を告げる。


「ま、魔術師部隊、全滅……」

『全滅だと? そんな馬鹿な! 実力者揃いの精鋭だぞ! それがこんな、短時間で……!?』

「なすすべも無く倒された! これより対象を【魔王】レベルと仮定。もしかするとこれは我々人類が立ち向かわなくてはならない欲の具現──」


ふと、視線を上げて硬直する。


『どうした!? 何があった!?』

「──ああ、救いだ。これは、救済だ」


沈黙したのを不審に思い、問いかけた言葉の返答は真逆の言葉。


「人の心は、それで満たされる……」

『おい、しっかりしろ! 少しでも情報を──』

「ええ、ここには全ての隙間を埋めるモノがある」


返って来たのは聞き覚えのない女性の声。

色艶を感じさせる声音は、聞くだけで心が溶けるよう。


『貴様、夢魔の類いか……!』

「私は彼の従者が一人、私にさえ太刀打ちできない人間が我が主に触れようなど、愚かにも程がありましょう? ああ、でも愚かなあなた達に一つだけ感謝していることがあるのです。偉大なる我が主の元へ送り届けてくれたことだけですけど、ね」

『お前まさか、我々の送り付けた夢魔の─!?』

「ふふふ、夜はまだ深い。私たちの糧となりなさい」




そしてその事態を重く見た『魔術師組合』は【対魔王組織】を立ち上げた。


相手を仮称ではあるが、最悪に備え【七大罪】が一つ【色欲の魔王】と定め、対抗するべくメンバーを招集した。


成熟してしまった欲深き人間は【大罪】のチカラに屈しやすいため、まだ成熟していない少年少女が集められた。


【人理(System)神話(Mythology)】の異名を持つ者を始めとした精鋭が立ち向かった。


「行くわよ、人類のチカラを見せつけろ!!」

「「「おおお!!」」」


そして彼ら彼女らは立ち向かい──



──ものの見事に惨敗を喫した。



理由は二つ。


一つは緊急招集であったために互いの連携が取れなかったこと。


そして二つ目は、未成熟とはいえ健全な男子が夢魔を相手どるには経験が足らなかったことだ。


単純な話、先ほども出てきた夢魔に悩殺されたのだ。


その結果、部隊は壊滅。

幸い死者は一人も出なかったが、彼らが心に受けた傷は大きく、【人理神話】を除いて部隊に残る者はいなかった。


責任を求めた『魔術師組合』はたった一人残された【人理神話】に責任を押し付け、【魔王】を討伐するにあたって全権を委任した。


即ち、責任取って何とかしろ、である。


そしてこれは、そんな少女と【魔王】の物語である──




●*●





「彩人さん、彩人さん。そろそろ起きる時間ですよ」


柔らかな声に目を覚ます。


「おはようございます、リリさん」

「はい、おはようございます彩人さん。朝食はできてますよ。お着替えの手伝いは必要ですか?」

「はは、いつも言ってますけど俺は一人で着替えられますよ」


いつものように冗談を言ってくるリリに苦笑しながら断る。


「あら、残念。ではリビングで待ってますね」

「直ぐに行きます」


ドアが閉まる直前に「また失敗した」と聞こえた気もするが、気のせいだと切り捨てて服を着替える。


家事手伝いとはいえ、女性とひとつ屋根の下で暮らしているのだ。些細なことを気にしてはいられない。



「今日も美味しそうですね」

「ええ、愛情たっぷりですから♪」

「いつもありがとうございます。では、頂きます」

「ええ、どうぞ。召し上がれ」


美味しい朝食に舌鼓みを打って鞄を持ち、外へ向かう。


「じゃあ、行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい」


空は晴天。

どこまでも澄み切った空に心地良さを感じながら


「今日もいいことがありそうだ」






「──あー、もう! 最悪よっ!」


彩人の目の前で突っ伏して愚痴るのは『古登ことの カナデ』。


彼女こそ【人理神話】の異名を持つ若き『魔術師』である。

そんな彼女だが、今は彩人の前で愚痴を零していた。


「一応聞くけど、どうしたの?」

「【魔王】にどうしても勝てないのよ……」

「またゲームの話か……ちゃんと寝てる? クマがひどいよ」

「そんなこと言われても……早めにどうにかしないといけないのよ」


『魔術師』である彼女は流石に一般人に離すわけにもいかず、ゲームの話だと言い張って愚痴を零しているのだ。


「そのゲーム、始めたばかりなんでしょう? 無理に挑むんじゃなくてレベルやスキルを上げてみるのは?」

「確かに、戦闘力レベルや【魔術スキル】を上げるのは必要だけどすぐさまどうにかなるモノでもないし……」

「じゃあ仲間は?」

「過去に裏切られたからあまり頼りたくないのよね」

「どんなゲームだそれは……」

「ほんとよね。なんて無理ゲーかしら……」


この話はゲームではなく彼女の身に実際降りかかったものなのだから、彼女からすればたまったものではなかった。


「仲間、仲間ね。そうね、ひとりでは限界もあるのだし、考えてみるわ」

「何か困ったことがあったらいつでも言ってくれればチカラになるよ」


なんの他意もなく、笑顔でそう告げる。


(もしアンタが『魔術師』なら、なんの気兼ねもなく話せるんだけどね)

「ん? なんて?」

「何でもないわ。そうね、困ったら最後の最後に頼ってあげてもいいわ」


ポツリと小さく呟いた言葉は彩人に届かず、隠していることの後ろめたさからそんな言い回しをしてしまう。


「そっか、ありがとう」

「……変なやつ」


それでも笑顔を見せる彩人に彼女は思わずそう返す。


この時はまだ二人とも、事件に巻き込まれることなんて知る由もなかった──




「少し走ってきます」

「では、お夕飯は少し遅めの時間にできるようにしますね」

「ありがとうございます。じゃあ、行ってきますね」


昏く染まった宵闇の中を駆けだす。

跳ねるように、弾むようにコンクリートを蹴る。


──この苦しさが自分の『セイ』を実感させてくれる。


そんなことを感じながら、自分を追い詰めるために走る。



「──ふう、こん、な、ものか」


息も絶え絶えになりながら、今日の鍛錬を終える。


「家に帰るまでが……ってね」


少し水を口に含み、最後のひと頑張りと走り出そうとして──


「……この匂い、古登か?」


嗅覚を刺激したその匂いにあたりを見渡す。


「それにこの感じ、汗か。それもかなりストレスを感じているとき特有の汗だな。こっちか」


その匂いをたどり、裏路地へと足を踏み入れる。


もしも彼がただの普通の人であったならば、このものがたりが始まることはなかっただろう。


「──、────!」

「──!──!」


聞こえてきたのは言い争う声。


(……なんだ? 少し遠くて聞こえないな)


その声を聞こうと距離を詰めた瞬間だった。


「──『虚数世界観測。世界は流転し、虚構に沈む』【虚数(Imaginary)侵界(Around)】!」


世界の色が反転する。

世界の境界が歪む。

捻じれ、狂い、流転し、転回する。


「なんだ、これ……」


世界が、沈んだ。

一つの境界を超えてしまったかのようにさえ感じてしまう。


「ふざけるな! これで終わりだ──【崩撃ショック・ダウン】!」


手を向けて、何かを叫ぶ。

瞬間、嫌な予感がして飛び出た。



誰かが叫ぶ声がした。



衝撃が身体を駆け抜ける。

刺激が痛みとなって駆け巡る。


苦痛が身体を、意識を呑み込んでゆく──



前書きからテンション上げてますが、普段はもう少し落ち着いてます。

題名や細かい部分は後から見直して気に入らなかったら直します。

良ければ登録してってくださいな。

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