過ぎ去りし日々 9
お母さんの再婚後、子供が生まれます。
「新婚生活」
彼は初婚、私は再婚子持ち
様々な反対があっただろうに・・・
子供は手元にいないものの、こころの負担になっているのかも
出来るだけ話題にしないことを心に決めていた
一通りの行事が済んだ後、私はすぐに働くことにしていた
彼の実家は商売を営んでいたから
それを無視して、他に勤めるのはまずいよね
実家の顔を立てる上でも相談することにする
私には子供の養育費用を捻出する必要があるから
働くことは譲れない
ぐずぐずと留まっている余裕などはないのだから
それでは、事務に人手が足りないから手伝ってもらうかと
父を亡くして社長を継いだ、彼の兄からの誘いに乗った
まだ、ゆっくりしてていいのだと言われるけれど
私にはそれができない理由があるんだと、口に出しはしないけれど
察しのいい彼らには判っていたのだろうか
給料は小遣い程度しか上げられないがと、釘を刺されたものの
何かと自由が利きそうなそれは、今となれば助かっている
漸く彼の仕事も落ち着いてきて、地歩を固めた頃だった
妊娠した事が判明した
早速、子供のところに行って、赤ちゃんを産んでいいかと確認する
ふふふ、子供はにこりともせずに
何を当たり前のことを言っているんだって顔をして
いいよってひとこと言ってあっちを向く
ギュッと抱きしめたかったけれど、どうせ恥ずかしがるんだろうから
許してあげる・・・
それからは旦那様のお世話・・・
ぬる好きのお風呂からくしゃみをしながら出てくるところを
バスタオルで受け止めてあげたり
毎朝、両足を放り出して靴下を履かせてもらうのを待っている
大きな子供に、苦情を言いながら靴下を履かせたり・・・
お約束の作業を繰り返したり
体が許す限りの範囲で働いているうちに
とうとう産み月を迎えたのだった
「第一子、長女の出産」
彼にとっては初めての子供で、待ち望んでいたに違いない
順調に育っていることは分かっていた
妊娠期間中に特に変わったことは起きなかったし
私にとっては二人目で、いちど経験しているだけに余裕があった
きちんと管理できていたと思う
これまでの検査や診断でもこれと言った異常は出ていなかったし
私の自覚もそれを裏付けていた
万事が順調なはずだった
産み月を迎えて、診逃していた事が一つ判明した
前置胎盤だというのだ
赤ちゃんの出口が塞がれているということだ
程度にもよるが、最悪、帝王切開が必要になる
ここに来てこれかって思わなくもないが、仕方ない
心穏やかに過ごすほかない
その後は何事もなく、階段を踏み外すこともなく過ごして
予定日が過ぎた
体重の増加も、諸検査の数値も、ともに範囲内に収まっていて
表面的には安心できる状態ではあった
出産予定日を大きく過ぎると、子供が育ちすぎ、危険性が増す
点滴で陣痛を起こすことになった
大量の出血とともに、急ぎ、帝王切開の方法が取られた
他に選択肢がなかったのだ
気が付けば、可愛い女の子が生まれていた
最初の子供のような、お猿さんみたいではなくて
将来、美人になるなってわかる、整った顔をしているのが嬉しい
はー、これで一つ義務が果たせた、正直な感想であった
女性にとって、出産は命がけの面がありますね。