過ぎ去りし日々 12
「新事業 2」
やむにやまれぬ事業転換といえども
出来ることは限られる
一気に転換することがどれだけ危険なことなのか
今まで続けた事業とて今日から止められるわけもない
転換過度期の不採算とて無視が出来るわけもない
徐々に変わった梱包も近頃一気に変わる気配が無視できぬ
これに合わせた対応もやらないわけにはいかぬため
コンテナのサイズに合わせたパレットと
出し入れの際の手間省き
荷崩れ防止の木枠とて手間のかかるは同じ事
発注元の要請と諸般の事情のその下で
出来ないことでもすることが
下請け業者の弱みだと
じっと我慢の毎日が続く月日のその中で
徐々に事業の転換を進めていくのが楽しみの
苦しい日々の繰り返し
そんな中での目の中に入れても痛くはない子らの
休む寝顔を見る時が一日の終わりの行事とて
じっと眺める子らの顔
つい寝ている子らに微笑みつ
静かに撫でる子らの髪
その柔らかさと愛しさに
心の底から湧きいずる
感謝と決意に震えるは
弱気の虫の蠢いた
自分の気持ちを奮い立て
思うに任せぬ転換にさてもう一度活を入れ
この子らのために気合入れ
艱難辛苦の中にさえ微笑む姿を見せつつも
一歩一歩と歩むのを止めることなど出来ようか
万難排し歩くのはすべてこの安らかな寝顔のためと
励ますは折れそうになる自分の心とその思い
いつか事業の転換は
新事業の立ち上げにゆっくりとでも結実を
見せ始めるのが喜びを
幾重にも重なりつ成功の光が差し始め
新規事業が根付くころほっと一息できそうな
結果が見える幸先が
じんわり心に広がって
いままでの努力が無駄になってはいないのだと
心が軽くなってゆく
やり遂げられる見通しが
はっきりと目に見えるように
なったのが特に嬉しいと
心に広がる安心感
嫌まだ安心は早過ぎると
心を引き締め一歩づつ
歩く決意も新たなり
「自宅の新築」
これまでの母屋の二階の安普請
今でこそ二階にもトイレがあるところが
当たり前になるものの
この頃の常識はまだ母屋とは別棟に
離れて建てるのが珍しくないほどで
冬の寒さや、梅雨の雨の最中の苦労は人知れず
子供を連れての通い程
悲しくなるのが哀れとぞ
特に農家の家々は
肥料に使うことばかり
無視が出来ない財産と
子供の頃より言われつつ
これこそ当たり前なるものなれど
これをいつまで続けるか
思い切ったるその決意
自分の家の夢の夢
今ここで実現することが
自分の仕事の後押しと
家族の生活守ること
二つの必要実現を
推し進める力となるものと
心に決めての決断を後から押し上げ応援を
受けるは自分を育てたる
愛しき父と母の言
敷地のことは心配をせずともよいとのその言葉
涙なしには聞き取れず聞き返したる我が言に
浮かべる微笑み温かく
スッとわが手を握りつつ
頑張るのだと励まされ
心機一転進む気を
練りつつ計る計画は
新規事業の青写真
加えて建てる我が家の
間取りや家族の希望さえ
盛り込む心の希望には
かならず実現期するとぞ
思いも新たに歩みをば
進める心の軽さなり




