三者面談 2
「質問があればお答えしますが、何かありますか?」
「えっと、それじゃあ… 僕に何か使命ってあります?」
「特にありません。自由に行動してもらっても構いませんが、そこのエミリアに淑やかさを教えてあげて貰えると助かります」チラッ
「その言葉そっくり返したるわ。現代っ子でもそこまでは落ちぶれとらんで」
「……アルディアさん、あなたの使命はエミリアに淑やかさを教えてあげることです」
「オイ、コラ」
「……次の質問、いいですか?転生のときにはぐらかされた気がするんですけど、お約束のチート能力ってどうなってるんですか?」
「特にありません。ただ、この世界の基準からすると『俺TUEEE』と無双できるくらいには素の能力が高いということです」
「それって、やっぱり血筋ですか」
「ええ、魔王と勇者の子供なので、劣化二世じゃなくて、ハイブリット二世ですから。腐ってもエミリアは魔王ですから」
「腐ってて悪かったなあ。でも、チ◯カスみたいに臭う部屋にいて何も感じないどっかの誰かさんよりはマシだと思うけどなぁ」
”母は強し”とはこういうことを言うのだろうか。アフロディーテ様の嫌味に対してことごとくカウンターを決めている。この2人、仲が悪いのかな……
「チ◯コ、チ◯コってさっきからうっさいわね。私だって気にしてるんだからあんま言わないでよ」
「でも事実やからなぁ。切り落とされたチ◯コから生まれたんやろ、自分」
マジかよ。アフロディーテ様の落ち込み具合を見る分には、どうやらマジのようである。なんか空気が重くなりつつあるから、強引にでも話を戻さないと。
「じゃ、じゃあ、最後の質問です、アフロディーテ様。『世界の抑止力』って一体どういうことなんですか?」
「ああ、それについては、今のところエミリアの働きでなんとかなっているので、当分は気にしなくても大丈夫です」
「と、言いますと?」
「本来は世界の管理者である神々が行うことなどですが、神々が直接影響を及ぼすのはとても難しい ーまるで、ピンセットでインフルエンザウイルスを摘むようなー ので、その世界の住人に神託を与えたり、あなたのような転生者にお願いするのが一般的です。まあ、存在が反則級な魔王のおかげで、我々でも目が届かないところまでやってくれているので、大変助かっています」
「そのせいで、あんたみたいに神々がどんどん堕落しとるけどな」
「な、なんのことデスカネ」
「ハハ、ハ… それじゃあ、僕はこのくらいで。母さんはなんかある?」
「せやな… なんか初回ボーナスでも貰ったら?」
「初回ボーナス?魔剣とか?」
「でもええし、なんかのイベントを起こして欲しいとかでもええで」
「ちょっ、何を勝手に。まあ、いいですけど」
「うーん、そうだなぁ。せっかくファンタジーの世界に来たから…… ドラゴンを仲間にしたいな。って、流石に厨二すぎるか」
「この世界にペットサイズのドラゴンはおらへんし、ドラゴンって基本癖が強い奴らばかりやしなあ」
「やっぱ、無理だよね」
「ドラゴンですか… いや、ちょうどいいのがいますね。あの子に会わせましょう。仲間になるかどうかは、アルディアさん次第ってことで」
「おい、待て。あの子って例の?うちのアルちゃんを変なことに巻き込まんといて」
「いいじゃないですか。どうせ近々処理する予定でしたし、なにより、アルディアさんにお友達ができると思えば」
「”友達”で済めばええけどな。うまくいく見込みはあるんか?」
「強制イベントのフラグは立てておきますから」
「それ、うちが介入せんとあかんやつやん。介入せんで上手くいった試しがないやつやん」
「神々が世界に干渉できるのは所詮その程度ですから」
「そうやったな。まあ、親子でピクニックも悪くないか」
「そういうことです。善は急げと言いますし、送りますよ。では」
「おい、待て、早まるな。あんたの転移魔法は……」シュン
どうやらアフロディーテ様に転移魔法を掛けられたようだ。気づいたら、母さんは腰から下が、俺は首から下が……
「あんにゃろう、また微妙に座標ミスりやがってッ」
……地面に埋まっていた。
筆が進まずうやむやにしていたら、初投稿から1年が経っていた(驚)
はい、流石にプロローグは終わりにして次に進みます。出来るだけお待たせしないように、頑張るので(n回目)