三者面談 1
6/25 誤字報告ありがとうございます!
♩〜♬♬〜♪〜「チッ」
♪〜♫♩〜♫♪〜
「あー、2ミスか。さすがは鬼畜譜面だわー」ゴロン
「「あっ……」」
ベッドに寝そべってi○adみたいなもので音ゲーをやり込んでいるのは、アフロディーテ様だった。俺を転生させてくれた女神様で間違い無いのだが、一心不乱に音ゲーに打ち込むその姿を見ていると本当に同一人物なのか疑わしくなってくる。寝返りを打って仰向けになったときに、俺たちと目が合ってしまい気まずい空気が流れる。
「……随分やり込んどるなあ。音ゲーやる前にすることあるんとちゃう?部屋の掃除とか部屋の掃除とか」
「エ、エミリアッ、なぜここにッ」
「うちの子の進路について三者面談を、と」
「うちの子?あっ……」
「ご無沙汰してます。アフロディーテ様」
「いや、ちょっ、これはちがっ、えっと……」
「はあ… 3分だけ待ってあげましょう。それまでにこの部屋を片付けなさい」
「イ、イエッサッ」
3分待つとか、母さんはどこぞの大佐なんだろうか。というか、標準語が怖い。アフロディーテ様が残像が見えるほど急いで部屋の片付けをし始めたと同時に、俺の中での女神様の評価が自由落下を始めた。いまのところ減速する気配はない。脱ぎ散らかした羽衣の下から神器が出てくるとか、『マジかよ、オイ』という感想しか出てこない。
「ハァ、ハァ、終わりましたよ……」
「お茶は?」
「た、ただいまお持ちします」
女神様が敬語になってる…… 女神として大丈夫なんだろうか?
「ど、どうぞこちらです」
「よろしい。じゃあ、本題に入ろか」
「かしこまりました。 …って、なんで女神である私が、こんなに謙らなきゃいけないの。おかしいでしょ」
「女子力皆無のくせに。痴女のくせに」
「うっさい。大体さ、レディーの部屋にノックもなしでいきなり入ってくるとかありえないでしょ。常識って言葉を辞書で調べて来なさいよ。それと断じて痴女なんかじゃないわ。なんで人間が作った私の像が乳丸出しなのか、こっちだって聞きたいわよ」
「人間に痴女認定されてやんの〜」
「だから私は痴女じゃない!!」
「あ、あのー、盛り上がっているところ大変恐縮なのですが……」
「ゴ、ゴホン。佐々木賢治さん、改め、アルディア・ヴァン・グリフィスさん、新しい人生は順調ですか?神々はいつでもあなたのことを見守っていますよ」
「あ、ありがとうございます?それでですね、『世界の抑止力になってほしい』とのことですが、具体的に何をすればいいのかさっぱりなもので。アドバイスなどあれば是非とも頂きたく… いえ、やっぱりアドバイスはいいです。アフロディーテ様のアドバイスはなんか不安なので」
「ククク、あれだけボロを出せばさすがに、な」
「もうやめて、私のライフはもうゼロよ」シーン……
「なんか言いなさいよ」
「なんか」
「そういうことじゃないわよ!ええい、もういいわ。単刀直入に言いなさい。あなたたち何しに来たのよ」
「せやから、三者面談ってゆうてるやろ。アルちゃんに託した謎メッセージの真意について聞きに来たで」
「謎メッセージ?そんなこと言ったっけ?」
「ノブレス・オブリージュとか言って暈しとったやろ。まあ、うちはそれで大体わかるけど、うちの子はそれじゃわからんみたいやから聞きに来たっちゅう訳や」
「わからんから聞きに来たって、それが異世界モノの醍醐味でしょう。というか、大体わかるならあんたが説明すればいいでしょうに」
「転生担当の女神様には説明責任があるんやで」
「私はどこぞの国会議員かっ。私は女神だからそれっぽいことを言ってちゃっちゃと転生させちゃえばいいのよ」
「ほおぅ……」ニマニマ
「その笑顔怖いから止めて。いや、えっとね、正直に言うとさ、転生先はアンタの子だから、あまり変なこと吹き込むと『うちの子に何してくれてんねん』とか言って殴り込みに来るでしょう。それが嫌であまり言わなかったのよ。まあ、結局来ちゃったけどね」
「で、どう落とし前つけてくれんねん」
「どうって言われても…… わ、私は家庭の教育方針には口を挟まない主義だしぃ?」
「家庭の方針には口を挟まない、ねぇ…… よし、アルちゃん、ここにある物を断捨離しよか」
サッ
「お望みとあらば、チート能力でも世界の半分でも何でも差し上げるので、どうかご勘弁を」
「そんな綺麗な土下座を見せられてもなぁ。アルちゃん、なんか欲しいものとかある?このオバチャンが何でもくれるって」
「えっ、急にこっちに振られても…… と、とりあえず頭を上げてください、アフロディーテ様」
「ありがとうございます。こういう時ばかりは、金で解決できる人間が羨ましいです」
「ハ、ハハ……」
某素晴らしい世界の駄女神に引っ張られているような……