ⅩⅠ:予定なき退職
私のもとには老若男女からの相談があり、基本的に苦手と思う人は滅多にいないが、このHさんだけは拒絶してしまう。
Hさんは昔は美人だったと思われる現在48才の独身、彼女はぶりっこモードとおらおらモードがあり、ぶりっこモードの時は手をグーにして口元に持ってきて「え~やだ~んもう~」といつの時代かと言うくらいぶりっこで話す。
話も、必ず3割増で話すため、何が真実か、普通の人は見分けがつかない。
そんな彼女を初めて見たのは、40才になるかならないときだった。
相談内容は恋愛と結婚。
う~ん。絶句。このくらいの年齢の人に今後運命の出会いがないとは言いがたい。
正直に言うのはためらいがあるので、嘘も方便、出会いはあるが、男性がHさんは高嶺の花すぎて躊躇してしまうかもとだけ。
結婚は?とグイグイ来られたので、この1,2年ではないですね。と。
私がHさんを苦手とするのは、ぶりっこしながら、気に入らない人がいれば、自分のことは棚にあげて、人を平気で落とす傾向があるから。
アラフィフなのにいつまでたっても中高生のようなターゲットを決めてイジメるところがある。
そんな彼女が、先日約10年勤めた会社を辞め、転職すると噂を聞いた。
正直会社の同僚からも苦手と思っている人がいたらしく、辞めると聞いてホッとした人もいた。
その会社では退職時にはみんなから1人100円から200円ほど全員から集め、集まったお金でお花などのプレゼントをして送り出すというが、彼女の時は、送別会を開く、花やプレゼントをするからと通常の何倍ものお金を同僚に請求したらしい。
だが、俗にいうお局様なのでまわりは心内を出せず言われるまま払わされたとか。
前置きが長くなったが、以前見たとき聞かれなかったので伝えていなかったが彼女は転職はしない。
環境が10年以上変わるはずなかったのに見間違えたかなと思ったが、彼女から退職を聞いたわけではなかったので、誰に伝えるわけでもなく…
その後、退職時の挨拶はアイドルが、引退するかのような涙ありのオンステージスピーチ、からのたくさんのプレゼント、盛大な送別会がみんなの冷たい温度差を感じることなく開催されたとか。
私が見誤ったと思った数日後、
やっぱり、退職を辞めました。とグーにして笑いながら職場復帰したとか。退職からわずか1週間だったらしい。
彼女は更にパワーアップして、イキイキしながら働いているそうだ。
周りの心中煮えたぎっている、怒り浸透の気持ちは気付くこともなく。
見えないようで見える、知られていないようで知られる、因果応報。
Hさんが、素敵な恋愛・結婚をするには、まずは思いやりを持って人に優しく…と当たり前のことができるように勘違いさんから普通になれるよう次の診断時に伝えてみるとしよう。つづく