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マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる  作者: 入栖
■2章 マジエロ★シンフォニー -美少女遊戯(エロゲ)学園の劣等生-
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85 学園ダンジョン③


 二十層攻略完了まで二日で済ませることは、予定通りであるし、逃げに徹した以上、こういう結果になることは見えていた。二十層ボスのオークというブタ野郎もなんら特筆すべきことは無い。そもそもだが、飛ばないブタはただのブタであるし、青春していないブタ野郎なんてただのブタ野郎だ。


 それからすぐに夕食を食べ、そのまま就寝し二日目を終える。そしてあまり気持ちの良い目覚めではなかったものの、大きく伸びをしてコーヒーを胃袋に流しこみ、さあ二十一層! と意気揚々突入してすぐのことだった。来たるべき時が来てしまった、と言えば良いのだろうか。


 二十一層はそれまでの二十層とは趣が違った。

 簡単に言えば、今までの普通のダンジョンらしい石造りダンジョンから、ジャングルの遺跡のように植物に侵食されたダンジョンに変わった。木の根っこやら、コケやらが壁や地面に張り付いていて、油断すると滑ったり躓いて転んでしまいそうだ。

 まあそれは今どうでもいいか、問題は目の前のヤツである。

 

 ついに現れてしまったと言うべきか。それはエロゲであるマジカル★エクスプローラーだからこそ、決して避けては通れない者だ。


 そいつの体は小さかった。一メートルぐらいだろうか。小さな翼をはためかせ、手に持つフォークみたいな槍をこちらに向けている。 

 ある意味でそこらへんのボスより強いであろうモンスターの1匹である。しかしエロゲのRPGではいない方が珍しいし、むしろ存在するのか? レベルである。


 さて、こちらを睨んだままのそいつは、この場に似合わない服を着ていた。

 競泳水着である。


 ここがプールだったら、その服は妥当だろう。しかしここはダンジョンだ。一般人の思考からすれば、それはただのヘンタイである。まあ、エロゲでは普通なんだが。


 まったく、なんでこんな石作りダンジョンだというのに、競泳水着を着ているんだろうか。そして腰か尻かはわからないが、その辺りから細長い尻尾が生えており、先っちょはスペードマークのような形になっている。

 肉付きのいい太もも、褐色の肌、成長途中っぽい胸。そしてやせすぎず、太りすぎずの見事なまでの健康体だ。

 倒してやるぞ、オイ! だなんて表情で、こちらを睨みつけているが、正直な感想を言わせて欲しい。


 超可愛い。

 

「ふぅー。ついに出てきたか、エロモンスター。しかもちょいロリ系」


 二十一層から新たに登場するインプは、一般のゲームのインプとは見た目が違う。エロゲにありがちの、エロ可愛いくデフォルメされたモンスターである。しかも驚きの十八歳以上でもある。


 もし俺がモンスターを仲間に出来るなら、すぐさま仲間にしていたことであろうことは想像に難くない。たとえ弱いのだとしても、使えるだけのアイテムを駆使して、終盤ボスにすら拮抗できるようにしただろう。まあそのころには成長しちゃって、エッロイお姉さんになっているんだけども。成長方法次第では合法ロリにも出来るんだが。

 

 さて、実のところ今まではこういったモンスターを避けていた。ななみはともかく、先輩やリュディの前で、どういう反応すれば良いのか分からないし、なにより俺がどういう反応をしてしまうか分からない。


 ただ伊織に紹介したダンジョンには、インプではないものの、エロモンスターが出現していたはずである。むしろあえて紹介したのだが、一体彼は女性達の前でどう対応したのだろうか?


 参考にするため後で拝聴させて頂こうと思う。スマン、こっそり実験台に使った俺を許してくれ、でもレベル上げには役立ったはず……。

 まあこの世界じゃエロモンスターが出現するのが普通であって、案外見慣れてるのかもしれないが。

 

 今にも飛び掛ってきそうなインプちゃんではあるが、どう対処するかは決まっている。

 

「ほい!」


 すぐさまポケットに手をつっこみ、音の陣刻魔石を投げてガン逃げである。もちろんだよな。空に飛ばれたら攻撃するのが大変だし、コスチュームがエロきわどいし。

 そもそもだが、空に飛ばれたらコスチュームとの相乗効果で攻撃どころじゃなくなりそうだ。普通に戦っていたら色々時間がかかる。特に精神面で。……逃げる前に写真を撮って来れば良かったかもな。


 しかしフロア内のモンスター全てから逃げるのか、と言えばそうではない。いくつかは倒して行かなければ、経験値(魔素)的に問題がでるであろう。


 亀の一件で、魔素集めは自身の強化に非常に重要であることは理解した。単純な身体能力向上なんかは、ダンジョンのモンスターを狩ることが良いだろう。だからと言ってランニングや素振り等が無意味というわけではない。


 逃げてばかりのためかもしれないが、ランニングの効果はしっかり実感しているし、何より抜刀術は今後もなくてはならない技術であろう。

「いたか」


 二十一層はフロアの雰囲気だけではなく、登場モンスターも一新される。先ほどのインプもそうだが、今出てきたトレントもそうである。

 トレントはウッドゴーレムに近い種族であるが、より木に近づいたと言えば良いだろうか。トレントの特徴と言えば、鈍重で有りながらも、攻撃力が高い、いわゆる脳筋パワータイプである。またトレントは火と言う弱点があり、距離が離れていれば火魔法で完封出来る。とはいえ火魔法すらなくても完封は可能だ。


 トレントはゆっくりこちらに歩きながら、丸太の腕をこちらに振り下ろす。俺はそれを受け止めながら、先輩とクラリスさんの腕力の異常さを感じつつ、はじき返す。そしてすぐさまがら空きの腹に、抜刀術をぶち込んだ。


 動きが遅い上に物理主体なモンスターであるというのに、力負けしないならば、そいつはただのでくの坊である。こうなればやりようはいくらでもある。

 綺麗に両断すると、トレントの木目が見えた。そういえば輪の数で樹齢が分かったりもするんだよな、なんて考えているうちに、トレントは魔素と魔石に変わった。

「魔石もデカくなってきたなぁ……」


 鳩のエサ以下かな? なんて思った魔石も、今じゃ小指の先ぐらいになってきた。……まだ小さいな。まあルイージャ先生曰く、魔石の大きさよりも、魔石の構成要素と密度と凝縮形式がどうのこうのらしいから、大きさはあまり気にしなくて良さそうだが。


 仕事や魔法のことなら非常に頼りになるんだけどなぁ、先生って見ているだけで元気出るし。お金周りさえどうにかしてくれれば良いのだが。

 さて、トレントはかなり狩りやすい上に、ゲームと同じなら魔力も多い。そして魔石もそれなり。ここで狩りをして魔素を集める案も考えたが、結局ボツになった。

「何でここ毒持ちが居るんだろうな」


 今のところ出会っていないが、トレントの出現階層には毒蛙ポイズントードが出現する。もし何らかのミスで毒になってしまったとして、それを回復するのはどうするか。

 アイテムしかない。一応ある程度は用意した。この階層で受ける毒はさほど強くないから、安価な毒消しで済む上、陣刻魔石よりかは買いやすい。


 かといって、さほど持ち込んではいない。それよりも陣刻魔石が有用すぎてそちらにぶち込んでしまった。

「だけど、ちょっと失敗だったかな……」


 狩らないにしても、一度で良いから毒を受けてみるべきだったかもしれない。ゲームでは毒を受けたままレベル上げという手法があった。現在の階層で受ける可能性がある毒が弱いため、ダメージも微量で済んでいたし、もう毒ダメージ無視で狩りしてよくね? という結論に至った者の手法だ。


 俺もそれをしても良いのだが、するにあたって一番の懸念は、毒を受けたときにゲームでは感じ得ないその他の影響である。

 例えば戦闘において、ゲームではフィールド移動をどんなに急いだところで、戦闘ではなんら影響なく戦闘が出来る。しかしこの世界では急げば急ぐほど疲れるし、走った後は呼吸が乱れるし、ゲームにはないマイナスがある。


 毒には一体どんな影響があるのか。それを知ってからこのダンジョンに突入すべきだっただろう。

 今回の予定ではこの階層は、トレント以外からは逃げる予定だった。しかし何らかのミスで毒になってしまう可能性があるのだから、一度なっておくべきだった。


 試験的に食らってみるか? いや、何が起るか分からないから、止めた方が良い。どうせやるなら誰かしらが居る、かつ時間制限がないところでやった方がいいだろう。


 多分だが、姉さんやルイージャ先生がなんらかの毒を持ってそうな気がするし、エッロサイエンティストのエルフなら間違いなく所持しているだろう。もうねアイツは絶対持ってる、エロゲに誓ってもいい。代わりにナニを請求されるか分らないのが恐いところだが。

 

 反省点一つ目が出てきたな。

 ダンジョンに潜る前に、試せることは全て試しておく。まだまだダンジョンに潜ることはある。そのときにこの反省点を生かせれば良いだろう。

 さて、今回ばかりは仕方ない。トレントのみが出現の場合に狩りして、それ以外は逃げるとしようじゃないか。


 とりあえず今は、出現したトレントを狩ろう。

 


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