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マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる  作者: 入栖
■2章 マジエロ★シンフォニー -美少女遊戯(エロゲ)学園の劣等生-
80/172

80 久しぶりの学園

誤字は申し訳ない。報告ありがとうございます、気をつけます……そして誤字報告機能マジで神。

 ゲーム「マジカル★エクスプローラー」において、学園内で一番目立つのは誰かと問われれば、俺は迷わずとある二人を押すだろう。理由は単純で、学園内での服装が明らかにおかしいから。


 一人はまだ会っていないが、一人はすでに見かけている。式部会の式部大輔(副会長)、姫宮紫苑ひめみやしおんである。


 彼女の何がおかしいかと言えば、統一された制服があるというのに、その片鱗も感じさせない純和風の服を着るところである。一応、制服を必ず着なければならないという制約は無いらしいが、ほぼ全員が着ている制服を拒絶し、我が道を行く姿は感心するほどである。


 また凜とした立ち振る舞いと美しい姿勢から、幼い頃から気品を持って生活してきたことが分かる。そして女性にしては高身長なのもあって、彼女はより目立っている。それはタンポポ畑の中に、一つだけ背の高いピンク色の菊が混じっているかのようだ。結構離れていても、あっ紫苑さんだ、と分かるぐらい目立つ。また学園生に嫌われている式部会の影響もあって、あたりの人が彼女を避けるような動きをする。そしてその存在はより引き立てられる。


 しかし今彼女が一番目立つか問われれば、そうではないかもしれない。


 確かに紫苑さんは目立つ。癖の強いキャラでもあるから、さらに印象に残りやすい。でも現実になってみれば、必ずしも一番目立つとは言えない。


 マジエロが現実になってより深く感じたことは、リュディが学園内で想像以上に目立つことである。トレーフル皇国の皇族である上に、とてつもなく美人なのだ。そりゃ話題にならないわけが無いし、LLLというファンクラブができるのは仕方ないのかもしれない。


 ただ、LLLリュディのファンクラブは『リュディ様が健やかで穏やかに生活できるよう、裏からフォローする』なんて決まりがある。だからファンクラブの人は不用意にリュディへ近づかないようにしているらしい。そして元々高貴過ぎる身分であることも相俟って、リュディと親しい友人以外はあまり近づかない。


 そのため彼女の周りには、何らかの聖域みたいな、不思議な空間ができあがっていた。生徒会会長であるモニカ先輩もまた同じような状態であり、それはもう非常に目立っていた。


 しかし近頃それらに負けない注目を集める新星が現れた。


 それは二人組らしく、うち一人は男性である。そいつは一部で悪い噂が広がっていたヤツらしい。またその男性は、人間の身長以上の馬鹿でかいストールを着けており、あのリュディ殿下とよく話す人物でもあると。ただ、近頃サボりまくっていたせいで、存在が風化しかけていたとか。なんでも、久しぶりにそいつが登校してきたら、銀髪でメイド服を着た超絶美少女を連れてきたんだってさ。その美少女メイドは、その男をかいがいしくお世話をしているとかなんとか。

 だれだそいつら。


 俺達である。


「ほら、なんだか皆ちょっと離れてこっち見てるし、その、噂してるし」

 伊織の言うとおり、学食内の視線はこちらに集まっている。まるで動物園に来たみたいだ。もちろん檻に入れられる方だが。


 多分俺よりも視線を集めているであろう、超絶美少女ななみは何処吹く風だ。むしろこの状況を楽しんでいる。見せびらかすように、かいがいしくお世話をしてくるまである。でもさ、大きな声で『膝枕ですかっ!』とか言わないでくれるかな。絶対遊んでるよね。でも驚愕の表情でこちらを振り向く生徒達を見るのは、ちょっと楽しい。


 あとできれば家でこっそり膝枕と耳掃除を……いや、恥ずかしくて言えないけど。

 まあ、こんなんやってたらそりゃあ注目も集めるだろう。もし逆の立場だったら、俺もそいつを見て噂してただろう。そこを俺と代われと。


「……悪いな、伊織。俺から距離を取っても良いんだぜ?」

 と俺が言うと、目の前にコーヒーが置かれる。どうやらななみが気を利かせて用意してくれたらしい。

 ななみは続いて、伊織の前にコーヒーを置き、隣に星や月の形をした角砂糖を置く。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。


 伊織はにっこり笑顔で「ありがとう」と言うと、砂糖を手に取る。俺は『ははっ多すぎだろ』なんて言おうと思っていたけれど、伊織はどばどばと全部入れてしまった。

 しゅごく美味ししょうに飲んでるぅ。


「距離を取っていいって……幸助君は何言ってるの?」

 そして俺の皿にある砂糖はハートしかないんだけど、星とか月も置いて欲しいかな。まあ、それはどうでも良いんだけど、この砂糖カワイイから自分用に所持しておきたいんだが、すこしわけてほしい。


「僕は幸助君がとってもいい人だって知ってるし、それに、幸助君は友達だし。幸助君が僕のことをイヤだって言うなら……その、離れるけど……」


 何だコイツ?


「伊織、好きな物を好きなだけ頼んでくれ。メニューの端から端でも構わない。お金は俺が払う」

 まったく、なんて良い奴なんだ……! 俺がサボってた時のノートも貸してくれたし、テストのポイントじゃ無くて、俺のポイント稼いでどうするんだ。そ、そんな事されたって、最強の座だけは渡さないんだからね!


「そ、それ友達じゃ無いよ! それに幸助君はメッセージとかでダンジョンを紹介してくれたじゃないか!」


 慌てる伊織を、まあまあとたしなめ、彼とななみ用にパフェを頼む。遠慮する伊織だったが、ノート代だと無理矢理納得させた。ななみは当然のごとく食べてる。

 いや、あーんして欲しくて見ていたわけじゃ無いから。どうせだから食べようとしたら、コイツ自分の口に持ってきやがった。

 やるじゃねぇか。


「そういえばだけど、瀧音君は試験大丈夫なの? もう二日前だよ?」

 俺が無理矢理ななみのパフェを食べようとしていると、伊織は苦笑しながらそう言った。

「大丈夫じゃないけど、大丈夫かな」


 そもそも受けないからなぁ。毬乃さんに根回ししてから、この数日間はノートや教科書は見ていない気がする。見たのはひっくり返った亀ぐらいか。

 ていうかさ。皆に心配かけたくないから『リュディ達に言わないで』ともお願いしたんだけどな。なんであの人次の日にバラしてるんですかね。


「? 加藤さん達はリュディヴィーヌさんに教わりながら、図書館で必死にやってたよ。でも……うん、そのね……」

 大丈夫だ、言わなくても察せた。だから朝食の時にリュディが頭を抱えていたのか。


「まあ、大丈夫だ。どうせ俺は学年一位を取るし」

「ホントにぃ?」

 伊織は眉をひそめてそう言う。しかし口に入れたパフェが、すぐさま顔をほころばせた。そして、あっと声を上げた。

「そういえば、図書館で思い出したんだけど、ななみさんやリュディヴィーヌさん並に綺麗な司書さんがいるよね」

「へえ、もしかしてサクラさん?」


「あ、知ってたんだ。うん、そうだよ。何かね、本を借りる予定は無かったんだけど、後でここ使うんだから登録したほうが良いよって言われて、利用者登録したんだよね。すっごく美人で、思わず見とれちゃった」

「そっか、確かにきれいだもんなぁ」

 まあこの世界に来てから会ったことは無いが。


「それで試験以外はどうなんだ? ダンジョンとか」

「そっちも順調かな? モニカ会長ではないんだけど、生徒会の人達と一緒にいくつかのダンジョンを攻略してるよ」

「へぇ良い感じじゃん」


 安心した。しっかり生徒会ルートを進めているみたいだ。この調子だと試験が終わってしばらくすると発生するイベントで、生徒会入会もできることだろう。

「瀧音君のおかげだよ。いっぱいアドバイス貰ったし」

 まあ確かにアドバイスはしたけど。


「いや、俺は何もしてないようなもんだ。もし上手くいってるなら、それはお前の行動と努力の結果だ」

 実際俺がしたことは、行かなそうなダンジョンのうち、伊織向きだと思ったところを、さらりと紹介しただけだ。


「そ、そうかな?」

「そうなんだよ」

「そう言われると嬉しいな。一生懸命にやってたから。それに最近凄く調子が良いんだよね。強くなっている実感もあるし」


 才能も咲きかけていると。これなら生徒会入会後は馬鹿みたいに強くなってくるだろう。だからといって。


「まあ、負けるつもりはないがな」

「もう、じゃあ僕だって負ける気はないけど」


 ははは、と二人で笑う。俺のは色々冗談じゃないんだけどな。


先に話してしまいますが、伊織×モニカ生徒会長カップリングは、ないです。

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