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マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる  作者: 入栖
■2章 マジエロ★シンフォニー -美少女遊戯(エロゲ)学園の劣等生-
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54 小テスト結果


「ぐぬぬっ」

 カトリナは返却された俺の小テストと自分の小テストを見ながら、アニメキャラ以外は使いそうもない言葉を放つ。

 確かに俺の苦手な教科ではある。しかし授業は真面目に受けているので(出席したときは)、あまりに低い点数は取ることはない。


 リュディ曰わく「今回のテストは非常に簡単だった」らしいし、授業を真面目に聞いていれば10割も取れると仰っていた。半分しか取れなかった俺は何も言えない。カトリナは俺以上のヤバさだったらしいが。


 ぷるぷる震えるカトリナの後ろから伊織が顔を出すと、彼は俺とカトリナの点数をのぞき込む。スマホ全盛期でもエロゲ店舗特典にテレホンカードがあることを知ったかのように、彼は驚いた表情をして、カトリナの顔を見て、もう一度点数を見た。二度見するほどかぁ……。


 カトリナは少し苛立った様子で、俺の机にテストを叩きつけるように置く。

 おい、そのテスト俺のなのだが。

「薄情者ぉ! 心の友設定はどこ行ったのよっ!」

 俺は頬をかくことしか出来ない。

 だってあんなに簡単なのに、あまりに低い点数なんて取りようないと思う。


 学園ではお嬢様の皮を被っているリュディも(一応一国の姫様であるが)、美しい微笑が崩れ引きつった笑みを浮かべている。いまでこそそれで済んでいるが、カトリナの答案を見た瞬間のあの驚愕顔は忘れられない。


「なによっ、コイツの心配して損したわ! ちゃっかり安全圏の点数を取ってるじゃない!」

 と、どかっと席に着く。そしてふてくされたかのように机に突っ伏した。

「えっ、心配してくれてたのか?」


 と、本気で驚きながら、俺はカトリナにそう言う。そもそもカトリナと瀧音はゲームでは余り仲が良くない。ちなみにゲームの瀧音はエロ魔人のため、仲が良くないのは全て瀧音のせいであり、そうなるのは残当(残念だが当然)である。

 リュディに至ってはそこら辺の羽虫扱いだったんだが、変わる物だ。


 俺が言うとしまった、とばかりに顔を上げる。そしてクッと歯を食いしばって。ぷいっと顔を背けた。

「違うわ、アンタを心配していたんじゃなくて、アンタを馬鹿にする奴らの心の小ささを心配していたのよ」


 なんて言うが、その言い訳はちょっとばかし無理があるだろ。

「わりいなぁ、ほら心配かけた詫びにコレやるから。ありがとうな」

 と、ニヤニヤしながら言ってやった。そしてカトリナの好物であるチョコレートを机の上に置く。するとひったくるように取って、恨めしげに俺を見た。少し顔が赤いのは恥ずかしいせいか。

 カトリナはすぐに封を切ると、俺のあげたチョコを口にくわえる。


 俺は自分用に取っておいたチョコレートを取り出すと伊織とリュディに渡す。そして俺も食べようと思った時に、カトリナの後ろからオレンジ色の頭が見えた。

「よーっす。伊織、幸助。テストはどうだった?」

 と、オレンジ頭がこちらに近づいてきた。


「まあ、お前よりかは高いな」

 見ていないが、多分そうだろう。俺の点数は良いとは言えない。しかしオレンジより良い事は確信を持っている。時にはカトリナより低くて、島流し(と呼ばれる学習強化合宿)に行くこともある。ちなみにゲームでは瀧音も島流しされるし、そもそも瀧音は島流しの常連である。


 俺はチョコレートをオレンジに投げると彼は器用に口でキャッチし、

「おいおい、見てもいねえのに何言ってんだコラ」

 と、俺にテストを見せてきた。うん、やっぱり俺の方が高かった。


「幸助君はそこまで悪くはないよね……良いって訳でもないんだけど……」

 と伊織はオレンジ頭の点数を確認する。この男三人で一番点数が高い伊織は、ちょっとだけ上から目線だ。

「まあ、一応授業は真面目に聞いているからな」


 真面目に聞いていても、一部教科は0どころかある意味マイナススタートである。日本にいたころの知識のままだと、間違っている場合があるし。

「やっべぇ、俺が一番低いじゃん」

 とオレンジは伊織の点数を見て肩を落とす。そして彼は起死回生とばかりにカトリナへ突撃していった。


「よっす加藤。点数見せてくれ」

 なによ、と鋭い視線を送られるも、オレンジは意に介さない。オレンジは自分の点数を見せつける。それを恨めしそうに見るカトリナの構図を見て、この場で一番点数が低い奴が解明された。


 震える手で出されたテストを見てオレンジは吹き出した。

「おまっ、この点数っっ、マジかっよっっ。ちょっっプププッホゲェ」

 しかし、笑いは続かない。カトリナの容赦ないロシアンフックが炸裂し、彼は地面に勢いよくキスをした。

 顎に入ったが大丈夫だろうか? 近頃、瀧音幸助の役割を、オレンジがやってるような気がするが……まあ気のせいと思っておこう。


 プロボクサーも真っ青の拳を放ったカトリナは、

「これで勝ったと思わない事ね……」

 と捨て台詞を残し、自分の席に座る。いろんな意味でアナタの勝利である。


 伊織はぴくぴく動くオレンジを見ていたが、ほどなくして

「そういえば……そろそろ午後授業始まるし、移動しようか」

 と、放置することに決めたらしい。化けて出られても困るので一応祈っておこう、南無。


 助けを求める手を優しくふりほどくと、俺達は教室を出た。



ガラケー全盛期にテレカは廃るだろうと思っていたんですが……まさか今も生き残ってるとは。


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― 新着の感想 ―
[一言] 時たま3大キャリアがやらかす通信障害の時に大活躍してますね<公衆電話&テレカ
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