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マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる  作者: 入栖
■2章 マジエロ★シンフォニー -美少女遊戯(エロゲ)学園の劣等生-
31/172

31 魔法学園

 入学式と学校案内を終え、授業概要などを簡単に説明されると、入学一日目の学園は終わりだった。初日だからこんなものなのだろう。


 今回不安視していた、広大な学園で迷子になってしまう可能性は低そうだった。移動はもっぱら転移魔法陣で、余計なところへ歩いて行かなければ迷う可能性はない。もっともゲーム主人公である伊織には、ヒロインと出会うために迷って貰わなければならないのだが。むしろ必ず押しつけたいサブヒロインが居るため迷わせる。


 また、幾人かと話して分かった事であるが、どうやら俺は少し近寄りがたい雰囲気があるらしい。どうも俺の服装やら態度が自由過ぎるのが原因だとか。


「じゃあね、ニコレッタさんにマックス君、ユリアーナさん」


 ニコレッタさんとマックス君には普通に話せるようになったが、ユリアーナさんはまだ少しよそよそしさがある。まあ日本人だった頃の経験則から言えば、話してるうちに慣れるだろう。むしろユリアーナさんのように少しオドオドした人の方が、一度仲良くなった後に深い関係になりやすいと思う。だが、ここはマジエロだ。そうそう上手くいくかは分からないが。


 帰ると言っていたリュディ達と合流し、イベント盛りだくさんの桜道を歩いて行く。

「今日って……初日よね、仲良くなるの早くない?」


 自分と迎えに来たクラリスさんしかいないためか、被っていた猫は捨て去ったらしい。ただ褒めてるのか、拗ねてるのか、羨んでいるのか判断が付かない微妙な言葉をいただいてしまった。

「まだ挨拶程度の仲だよ。いずれもう少し仲良くなりたいな。まあ目標はクラス全員の連絡先を知るまでだけど」


 知ってると何かあったときに便利なんだよな。ただ今後学園祭の打ち上げとかがあると幹事役にされやすいのと、みんなを呼び出すときに使われるが。いや、今はグループ全員にメッセージを送れるから、さっさとクラス内グループを作って……いや、絶対連絡先教えたくないなんて奴が出るかもしれないし、掲示板みたいなのを作るのが一番良いのか。


「私には難しそうだわ……信頼出来そうな人は見つかるかしら……」

 どこか弱気なリュディだが……そういえば彼女は信じていた仲間エルフ男(名前忘れた)に裏切られているんだった。


「おいおい、俺はリュディを信頼してるぞ?」

「分かってるわよ、アンタのことは……私も信頼してるし。アンタ以外にってことよ」


 ふむ。ならばさっさと信頼できそうなヒロインと仲良くなって紹介すべきか。いや、記憶が確かなら、女生徒限定ではあるが仲良い人物は勝手に出来るはずだ。また一学年上だが、水守雪音先輩と邂逅かいこうしているし、現時点で言っても信頼できる人はゼロではない。


 家に到着するとリュディの連れてきたらしいメイド(エルフ美女)が出迎えてくれた。どうやら毬乃さん達はまだ学園で仕事をしているようだ。


 俺は動きやすい服に着替えると、明日使う荷物を今のうちに準備する。そして窓の先に見える雲一つ無い空をぼうっと見つめていたが、なんとなく外に出ないのはもったいない気がして、普段より少し早いがランニングに行くことにした。


 走りやすいとは言えない坂道を登り滝の裏まで走るも、先輩はその場に居なかった。俺はそのまま滝から引き返し、走りやすいランニングコースへ戻る。


 何十周走っただろうか。くたくたになった頃、滝のところで型の訓練をしようと戻ると、先輩は薙刀を振っていた。俺は邪魔にならないよう、少し離れたところで第三、第四の手の訓練をした。

「学園初日はどうだった?」


 訓練を終えストールのベンチに横になっていると、先輩が声をかけてくる。肌に張り付いた髪を鬱陶しそうに払うと、肌をタオルで拭いていた。


「まあ……遅刻しました」

「おいおい、寝坊か?」

「いえいえ、人助けですよ人助け。もし先輩の目の前に困っている人が居たら助けるでしょう?」


 美少女だったらなおさらだ。残念だが今回はお歳を召した男性であったが。顎に手を当て、ふむと先輩はうなずく。

「そうとも限らないのではないか?」

「先輩は絶対にそうです。というより現に俺が色々助けられましたし」

 水守先輩の正義感は、マジエロキャラの中でも非常に高いだろう。ただ一番は誰がどう見てもくっころ騎士ヒロインだろうが。


「それにしてもびっくりしましたよ。学園の施設充実しすぎじゃありませんか?」

 第一魔法訓練場、第二魔法訓練場、第三魔法訓練場、体育館、第二体育館、第一武道館、第二武道館、第三武道館、そして全校生徒を簡単に収容できる円形闘技場。さらにこの学園の特色とも言える三つのダンジョン。またいくつもある研究室では、学園生だけでなく研究員もいるとか。


「まあ学園を卒業しても、研究室やダンジョンや転移魔方陣の関係上、学園に来る者は多いからな。私も進路によっては卒業してもここに来るかもしれない」

 むしろここに来ない可能性の方が低いくらいだ、と先輩は笑う。確かにこの環境はすばらしいの一言だ。


「なるほど……卒業と言えば、先輩はダンジョン攻略は順調なんですか」

「ああ、このペースならすぐにでも卒業資格を得る階層まで潜れるだろう。ただ、学園最速記録は難しいだろうな」

「そうですね、最速記録は俺がなりますし」


 先輩は汗を拭きながらにやりと笑う。

「君も言うじゃないか。私は期待しているぞ」


 そう言って俺の背中をドンと叩く。先輩は信じてなさそうだけど、冗談で言ってるわけではないんだがな。

 


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