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マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる  作者: 入栖
■1章 マジエロ★プレリュード -エロゲの友人枠は大体が不遇である-
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15 花邑家 はつみイベント②

 台風でも直撃すればリュディ殿下は来ないのではないか。


 そんな事を思いながら布団の中に入ったものの、残念なことに本日ハ晴天ナリ。てるてる坊主を八つ裂きにしたうえで逆さにつるしたのがいけなかったのだろうか。原形をとどめないほど、こなごなに引き裂いて火をつける方が良かったかもしれない。


 バッと窓を開ける。窓から吹きこむ春風は少し冷たくて、寝起きの目を覚ますにはちょうど良い。すぐに着替えてランニングするため家を出た。

 ランニングコースは滝近くにすることにした。町中を案内して貰った時に思ったが、あそこは交通量が多いし信号も多い。しかし林の中ならば私有地であるし人もほぼいない。赤で止められることもなく走り続けることも出来る。


「……はっはっふっふっはっはっふっふっ」


 元々瀧音幸助は体力があった方だ。しかし毎日のランニングの成果か、体力は増えている気がする。今度必要なのは瞬発力や、疲労がたまった時に動けるかどうかだろう。ダンジョンに潜ったとき、魔物はいつ襲ってくるかわからない。

 ほとんど手入れされていない林の中を、黙々と走ってゆく。昨日爆走したあの場所までは後少し。そこまでは緩やかな傾斜になっているため、いつものランニングよりも足に力が入る。


 途中滝の方に足を伸ばすと、そこには水守雪音が薙刀を振るっていた。相も変わらず彼女は、凜々しくて、そしてどこか猛々しい。少しの間彼女の型を見ていたが、彼女に背を向ける。彼女を見ることで、たまったやる気を放出せんと、目的地に向って走り始める。

 それから1時間ほど走って、俺は帰宅した。すぐにバスルームへ向うが、もちろんノックは欠かさない。何度も風呂を覗くのは学習能力のないアホか、エロゲの主人公である。俺は三枚目なのだ。


 風呂からあがってひんやりとした廊下を歩いて、ダイニングルームへ向う。

「おはよう、幸助くん」

「おはようございます、毬乃さん」

 キッチンにはふりふりの可愛らしいエプロンを着た、10代にしか見えない毬乃さんが立っており、朝食を作っていた。ただよう匂いから考えるに、魚料理であろう。


「幸助くんはいつも早いわね。はつみも見習って欲しいわ」

「俺の場合はランニングするためだけどね。はつみ姉さんは学校が休みだし、ゆっくり寝てても良いんじゃない?」


 毬乃さんは不意に手を止めると俺に向き直る。

「はつみ姉さん?」

 ああ、と頷く。


「昨日そう呼んでっていわれた……から」

 とかえすと「そう……ふふ」と言って小さく笑う。そして手元に目を落とした。すぐにトントンと一定のリズムが刻まれる。


「悪いけれど、はつみを起こしてきてくれない?」

「え、行って良いんですか?」

「いいのよ、あなた弟なんだし。部屋に入って揺すってあげればすぐに起きるから」

 からからと笑いながら毬乃さんは手を動かす。本当に良いのかな、と思いつつはつみ姉さんの部屋へ向った。


 階段を上りHATSUMIと書かれたプレートが掛けられた部屋をノックする。

「はつみ姉さん? 起きてる?」

 反応はない。もう一度ノックする。

「はつみ姉さん?」


 さらにもう一度ノックする。それでも反応はない。

 毬乃さんは入って良いと言っていたよな、とおそるおそるドアを開ける。

 はつみ姉さんの部屋はとてもシンプルで物が少なかった。しっかり整理整頓されていることもあり、とても広々としている。さすがに引っ越してきたばかりの俺ほど荷物がないわけではないが。

「姉さーん。あれ、はつみねえさん?」


 白く大きなベッドの近くへよって、上から彼女の顔をのぞき込む。目はぴっちり閉じられ、長いまつげが見える。また仕事柄ほとんど室内に居るからだろうか、白く艶めかしい首元を見て生唾を飲む。俺は起きる気配のないはつみ姉さんにゆっくりと手を伸ばした。

「はつみ姉さん」


 彼女の肩に手を当て小さく揺する。しかし彼女が起きる気配はない。今度は少し強めに彼女の体を揺らした。

「ん、んんっ」

 薄い唇がほんの少し動き、彼女の体が動き出す。そしてゆっくり目が開いた。

「おはよう、姉さん」

「………………おはよう」


 掛け布団を避けながら体を起こし、ぐーっと伸びをする。それと一緒に豊満な胸もぐーっと強調される。眠るときはブラをしない派なのだろうか。強調される谷間はブラをしているようには見えない。服の上からでもわかる。

 未だ半目の姉さんはぼうっとしたままだったが、ふいに何かを思い出したかのように、服に手を掛けた。


(イカン)

 可愛らしいおへそが見えた瞬間、俺は背を向けた。

「じゃ、じゃあダイニングに行ってますね」

 そういいながら逃げるように部屋を後にする。どうやら彼女はホントに朝がダメみたいだ。


短いですがキリが良いので。今日中に次話投稿します。

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