148 かくしごと
短いです。次回は瀧音視点で25日に更新します。
結花視点
「お兄ちゃんはぁー何を隠しているのかなー?」
私の問いに、お兄ちゃんが目線をさまよわせ、頬を掻く。
いつもそうだ。お兄ちゃんは困ったことがあると頬を掻く癖がある。
「早く喋って」
私が結構頑固なのをお兄ちゃんは知っている。喋るまでずっと語られ続けることを予想したのだろうか。お兄ちゃんはため息を吐いて話し始めた。
「桜さんについて、ずっと疑問だったことがあるんだ」
「桜さん?」
桜さんはお兄ちゃんが図書館にいくとよく話している司書である。お兄ちゃんは最近桜さんから依頼を受け、加藤さんやオレンジと共にダンジョンへ行ってアイテムを入手していたらしい。
「実は結花が入学する前から、桜さんにお世話になってたんだけど……」
「うん。それで?」
「桜さんって不思議なことを言う人だなって思ってたんだ」
「どういうこと?」
「僕が図書館の利用者登録したときの話なんだけど、僕は最初図書館で本を借りる予定がなかった」
「そうなの? じゃあなんでお兄ちゃんは登録したの?」
「実はね、桜さんに『これから使うんだから』って言われたんだ」
お兄ちゃんはそのときを思い出しているのか、目を閉じて天を仰ぐ。
「そのときに、それは授業で図書館を利用すると思っていたんだ。それが思い違いだった」
「思い違い?」
「確かに、何度も利用したんだ。でもそれは授業じゃなくて……ダンジョン攻略のために本を借りたんだ。別に授業は関係なかったんだよ」
その言葉を咀嚼して、ふと思う。
どうしてお兄ちゃんは授業ではない事を強調して言うのだろうか。
「桜さんは勤務年数が長いの?」
「うん、そうだよ」
もし『授業』で利用するのであれば、後を考えて登録しておけと桜さんが言うのは普通だろう。しかしお兄ちゃんは『授業』以外の理由で利用した。
つまり『授業で図書館を必ずしも使うわけではないのに、お兄ちゃんへ図書館を利用すると言った』からおかしいと思ったのだろう。
だがそれには疑問もある。授業で使わなくとも単純に利用する人が多いから、当てずっぽうで言われたのでは無いかという。
それに会う人々全員にそう言って登録を促していたのでは?
しかしそれをお兄ちゃんが考えない? いや、お兄ちゃんでも疑問を持つと思う。
思えば、私は桜さんに『登録しないか?』とは言われていない。現に登録していないし、あそこで勉強したり待ち合わせに使うぐらいであれば、登録は必要ない。
「へぇー」
私が聞かれなかったように、何らかがあったのだろう。それを踏まえた上でお兄ちゃんは言っている。
「結花?」
ぼうっと考えていたから疑問に思ったのか、お兄ちゃんは私の顔をじっと見ていた。
「つまり、お兄ちゃんが言いたい事は……桜さんは未来を予言していたって事?」
それを聞いてお兄ちゃんは苦笑する。
「結花は少し話すと全部を理解するよね……? 僕は凄いと思うよ」
「はいはーい。ありがと。お兄ちゃんはすぐに続きを話そっか」
「うん。リュディヴィーヌさんは登録を促されなかったらしいんだ。僕よりも利用しそうに見えるんだけどね。いや、僕以外は登録を促されてなかったんだ」
なるほど、お兄ちゃんはそれで疑問をもったのだろう。
それを聞いて私は嫌な予感がした。多分お兄ちゃんも大体同じ考えだろう、だからお兄ちゃんも嫌な予感がしているに違いない。
仮にそうだとして、私たちは一体どうなるのだろう?
最悪を想像して私はぞっとした。
「まー大丈夫じゃない?」
しかし同時に最悪の状態にはならないとも思った。
「……どうしてそう言うの?」
どうしてそう言うかといえば、一応二つの理由がある。
私は全員を安心させるために、そう言い続けるつもりだからだ。
お兄ちゃんは火事場の馬鹿力みたいな能力が備わっているから、気負ったとしても放置していいだろう。
しかし、今回はお兄ちゃんのパーティメンバーだけでなく三会等、沢山の人が関わってくることになると思っている。
そして全員が最悪の想像をして、空気が重くなりネガティブ思考になってしまったら?
ネガティブな状態で力が出せる人は限られている。だから私が馬鹿を装って少しでもポジティブに考えられるようにしてくれれば良い。オレンジ辺りは私が煽ればすぐに乗ってくれるだろうし。
ただ、私が微妙に楽観視した言葉を出せるのは、もう一つ大きい理由がある。それは
「だって瀧音さんがなんかしてるもん」
だから私の直感が大丈夫だと言っているのだ。不思議な信頼と安心が瀧音さんにはあった。
お兄ちゃんは苦笑して、確かにと呟いた。
リュディさんと情報を共有したのち、私たちは学園の図書館へ向かう。彼女に瀧音さんの呼び出しをお願いしたら、既に図書館でななみさんと一緒に待っているらしい。また加藤さんもその場にいるとか。どうやら図書館に乗り込もうとしたら瀧音さんに声をかけられたのだそう。
「見えてきたね、皆いるようだ」
先を走るお兄ちゃんはそう言う。少しして私の目にも彼らが見えた。
図書館の前には口がヘラヘラ笑っている瀧音さんと、普段通りのななみさん、なぜか少し疲れている加藤さんがいた。
正直に言えばこそこそ何かしていた瀧音さんを一発ぶん殴りたかった。
でも殴れなかった。
彼は口が笑っているけれど、目は真剣だったから。
「瀧音さーんったらー、ヘラヘラ笑っちゃって……覚悟は出来てますよね♪」
私が冗談交じりにそう言って、わざとらしく拳に魔力を集める。すると瀧音さんはストールを動かして自分を守るように壁を作った。
もちろん私は殴る気がないし、瀧音さんも殴られると思ってないだろう。
「結花っ、やめ、やめろ! 謝るから。悪かった」
表情を見るに彼は悪いと思っていなそうだった。
公式ツイッターにて発表されましたが、
エロゲ主題歌のtrue my heart (きしめええええええん のやつです)
とマジエクが公式コラボしました!
オリジナル制作陣が集結し、めっさクオリティ高いPVを作成してくださいましたよw
ぜひぜひ見に来てください!
下記にあるツイッターリンク、公式サイトから飛んでいただければと思います!
(関係者の皆様、誠にありがとうございます)
なおRTキャンペーン(瀧音幸助の中の人こと、島﨑信長さんの直筆サイン色紙をプレゼント)もありますので、良ければそちらも!





