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137 幕間 ポイント貯まりすぎ問題(ななみ)

2019/11/17 更新1回目

お久しぶりです、更新再開します。最低でも週に一話は更新出来れば良いな(願望)

幕間的な話です。日常ラブコメを書きたい病を煩ってしまっため数話挟んでからストーリー進めます。

 

「緊・急・事・態です、ご主人様」

 

 部屋に入るやいなや、そんなことを言い出すななみ。

「……いったい何だ」

 普段のノリと表情で言われても、緊急さを全く感じられないのだが。

「尊敬ポイントがたまりすぎています……! 一刻も早くポイントを消費してください、最優先事項です」

「とりあえずポイントを利用出来ることをたった今知った」

 あれって際限なく増え続けるだけの物だと思ってたぞ。しかも少年バトル漫画並のインフレが発生してるよな。


「尊敬ポイントを使わない人は、人生の半分は損しています」

「多分誰もそのポイントの存在知らないから、俺含めた全人類は人生の半分損しているな」

「急いで使用しましょう」

 いつもの事だけど、話聞いてないよね。まあ全然いいんだけど。

「よし、なら消費するか。ちなみに何ポイント貯まったんだ?」

「2千億と少しです。2千億を超えた辺りからよく分からなくなり数えてません」


「それポイントシステムとして重大な欠陥があるよなっ!? まあいいや、なんかドーンと使える方法は無いのか?」


「ゑっ……ドーンとですか?」


 あわあわと、口を動かしたかと思えば、片手を頬に当て恥ずかしそうに顔を下げる。そして上目遣いでこちらを見ると、キャッと言いながら俺の体をツンツンしてきた。


「そんなっ……♪ も、もぅ……なんてことをさせるんですかっ♪ 禁則事項ですっ♪ でもちょっとだけなら……」


 クネクネしながら体をつつくな。しかも脇腹のくすぐったいところを的確につつくな。なんたるご褒美だろうか。これポイント使用案件では?

「ちょっとだけOKとか、それもはや禁則事項じゃないよね? それで、どうやって利用すればいいんだ?」


 瞬間的にいつもの表情へ戻ると、こほんと小さく咳払いをする。

「簡単に消費するのでしたら、私にお願いをすればよろしいです」

 お願いねぇ。普段からしているような気がするけど?

「普段とはまた違った、特殊なお願いです」

 表情を読んだのだろうか? 思っていたことの返答をされる。


 根本的にだが、ななみとは絶対服従の契約を結んでいると思ったけれど。お願いすればなんでもやらざるを得なかったような。まあ使うつもりはないからいいんだが。

「それで、いったいどんなお願いなんだ」

「低ポイントですとモノマネでしょうか。『発情した猫の鳴き声』『発情した鳥の鳴き声』『発情したサメが鳴くとしたら多分こんな声』などがオススメです」

「なにその発情シリーズ、もっとマシなの無いの?」

 宴会芸かな? どこぞの駄女神みたいなことをやり出しても不思議ではない。


「じゃあ『まな板の上にのせられたサメが発するとしたらこんな声』など如何でしょう?」

「マシになったか疑問だけど、まあそれをお願いしてみようか」

「ではまな板にのせられたサメですね」

 ななみはん゛ん゛ん゛とうなると真剣な表情で俺を見た。ずいぶん気合いが入っているようだ。



「シャァァークっ、殺せっ」



 この空気やべえよ。


「ふぅーっ……♪」

 言ってやったぜ、とばかりに笑顔で汗を拭う仕草をするけどな、あまりにシュールだっぞ。ただ正直言えば、シュール過ぎてこの余韻が面白い。てかいつの間にお前俺のお笑いのツボまで押さえたんだ?


「なかなかやるな」

 多分そのサメはサメ王国を守る生真面目で気高い女騎士だったんだろう。俺はオークじゃない。

「そうでしょう、そうでしょう、ご主人様も如何ですか?」

「やらねえわ!」

「残念です。さて、先ほどのモノマネで今ので10ポイント消費しました、残りの2千億ポイントはどうされますか」

「誤差の範囲じゃねーか!?」

 それ200億回モノマネしてもらえる計算だぞ!? 全く減った気がしないわ!


「なんかもっとポイント消費できる物はないの?」

「では『ご主人様の脱いだ服をお風呂場で見つけて、長い葛藤の末にそのシャツをぎゅっと抱きしめクンカクンカしてしまうリュディ様』のモノマネなど如何でしょう」

「嬉しいような、恥ずかしいような、照れくさいような、ちょい引きのような、複雑な感情になるなそれ」

「ご安心ください、雪音様バージョンもございます」


 さすがにリュディや先輩はそんなはしたないことしないよな。


「私は週に3回ぐらいですね」

「お前がやってんのか!? しかもすごい頻度だな!?」

「半分冗談です、では……ポイントとななみんの生写真と交換など如何でしょうか。まあ生みんがここに居るのですが」

 半分冗談って、どこが冗談なんだ……恐いから聞かなかったことにしよう。

 それよりも生写真だ。ななみの用意する生写真はちょっと恐いけど、気になるしちょっと欲しいな。


「じゃ、じゃあどうせだったら貰おうかな」

「では少しお待ちください」

 そう言って彼女はその場でお辞儀カーテシーをすると、胸元に手を突っ込み、見せつけるように一枚の写真を取り出して俺に差し出す。


 反射的に辺りに誰も居ないことを確認すると、その紙を受け取る。暖かい。


「どうしてそこから取り出した?」

「お喜びになると思いまして、3日前から準備しておりました」

 彼女の言葉を聞き流しながらその写真を見る。そしてまたもや辺りに誰も居ないことを確認すると、丁重に胸ポケットにしまった。

 勝ち誇った笑みを浮かべているななみ。しかしこの写真は俺の物である、返すつもりは無い。


「今の写真で50ポイント消費ですね」

「やっぱり誤差の範囲じゃねぇか!?」

「一応上限は100ポイントでしたから」

「そういえばそうだったな。今2千億ポイントあるし全くもって上限の役割果たしてないよな。あまりにインフレしすぎて忘れてたぜ!」


 てかどうせだったら消費ポイントもインフレさせようぜ。

「仕方がありません、こうなったらとっておきに致しましょう。100ポイント消費の膝枕など如何でしょうか」

「それでも誤差の範囲なんだよなぁ。まあ膝枕か」


 是非お願いしたい。是非お願いしたい。是非お願いしたい。


「そ、その。なんだ……前に言っていたもんな膝枕、まあどうしてもって言うんならして貰っても構わないというか……」

「じゃあキャンセルで」

「是非お願いしたいです」

「最初から素直になれば良いのです。ではご主人様、早く正座なさってください」

「俺が膝枕する側だった!?」

「冗談です」

 まあ、ななみの頭が俺の膝に乗ることを考えれば、それはそれで有りなんだが。


 彼女はベッドの上に座ると足をポンポンと叩く。

 失礼しますと彼女の太ももに頭を乗せると、俺の頭に彼女の手が置かれる。


「ご主人様、オプションはどうされますか?」

「オプション?」

「はい。ドリルとスコップと耳かきをご用意致しました」

「その3択おかしくない? 一つ以外考えられないというか考えたくもないんだけど」


「やはりそうですか、ドリルですね」

「ぅんーっ。一番ヤバそうなヤツが選択されちまったぞ。俺は耳かきを選択したかったんだけどな」

「耳かきをして欲しいのですか、仕方ありませんね。今取り出しますので……」

 まあ、膝枕していただけるだけで大満足なんですけどね。やってくれるというなら是非お願いせざるを得ない。


「~~♪」


 鼻歌を歌いながら荷物をあさりだす。しかしガシャン、ゴトリとという明らかにおかしい耳かきらしくない音を聞こえて来るのは気のせいだろうか?

 あまりにも気になって首を傾け音の正体を見つめる。


「ドリルとスコップじゃねぇか!?」


 慌てて飛び起きようとするも、ななみは俺の頭をしっかりおさえ、俺は顔を上げられなかった。

「暴れるほど嬉しいだなんて……ななみ照れちゃう」

「嬉しいというか恐怖を感じたんだよ。しかもお前まったく照れてないよな!?」


「もちろん冗談ですよ、はい」

 耳かきを見せられ力を抜くと、ななみの太ももに頭を落ち着ける。

「さて、普段の究極メイドバージョンとかなりの頻度でミスをするドジっ子メイドバージョンもございますがどちらになさいますか? なおドジっ子メイドは耳かきとドリルを間違える場合がございます」

「一文字も合ってないし、見た目も全く違うよね? まあもちろん究極メイドバージョンで頼む」

 ちなみにドジっ子メイドといえば、とある重工で作ってるロボットで緑髪の子だよな。


「しかたありませんね」

 そう言ってため息をつくと耳に掛かった髪を優しく分ける。そして黙々と耳掃除を始めた。

 

 俺もななみも黙って数分が経過した頃だろうか、だんだんとうとうとしてきた俺に、ななみは声をかけてきた。

「ご主人様は最近色々と行動し過ぎではございませんか?」

「……そうか?」

「ええ、何をしているか仰ってくれませんが」

 顔を見ていないから想像だが、ジト目でこちらを見ていそうだ。

「まあそうだな」

 俺がしていることは現時点だとハッピーエンドへの準備と言うべきか。更に先を考えると、未来への投資であろうが。


「夜な夜な計画を練っているのも知っています。あまり口を出したくはありませんが、早くお休みなさってください。そろそろ見過ごせません」

 伊織がイベントを進めている以上、彼女のイベントはいつ進んでもおかしくない。だから最近は同時進行で色々行動してきた。むしろ伊織ではなく俺が引き金を引くつもりで準備している。

 確かに端から見れば色々と手を出しすぎているように見えるかもしれない。そして夜更かししていることは事実である。

「あー、うん。もうすぐ落ち着くから」


 多分ななみが俺の部屋に来た本当の理由はこれなのだろう。


「だから大丈夫だ、心配には及ばない」

 まあ落ち着くとは言っても、準備が終わるから落ち着くだけで、その後でっかいイベントが発生するんだが。


「まあ落ち着く理由は、ななみ達が俺の代わりに色々してくれてるおかげなんだ」

 ギャビーの件があったから、俺よりななみが動いてくれたのは間違いない。

「だから、ありがとう」

 ホント、今回は色々と任せまくってて申し訳ないくらいだ。


「……まあ世界最高の美少女メイドである私ですからね、朝飯前です」

 何を言ってんだか。でも。

「俺にとって世界最高のメイドはななみだから、あながち間違ってはいないな」


 俺がそう言うとななみの手が止まる。そして耳かきが抜かれると、頭に手が置かれた。

「……今ので1000億ポイント入りました」

 思わず吹き出してしまった。


「……結局ポイント増えてんじゃねえか」

WEB版だけでなく、書籍版までも応援ありがとうございます。

ツイッターではご報告しておりましたが、発売からわずか4日で緊急大重版が決定しました。


慌てた編集さんから電話が掛かってきて、大重版?まっさかぁ?だなんて思って居たら、

営業さんや同社他レーベルの編集さんまでも超絶大重版だなんて呟くのでマジかよ……と。

マジで大きな重版だったみたいです。


誠にありがとうございます。WEB版、書籍版共にこれからも応援いただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大重版出来、おめでとうございます。  今更ですし、リアルタイムでなかったのが悔やまれますが、嬉しいです。  少しずつ買いそろえさせてもらいます。
[気になる点] >「やはりそうですか、ドリルですね」 ドリルを選ぶとギャビーに膝枕をしてもらいながら、ギャビーのドリルの先端で耳穴をこちょこちょしてもらえます。
[一言] この時はまさか数年後のプ○キュアの必殺技バンクで、サメがシャークって鳴くのを聞かされることになるとは思わなんだ
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