124 黄昏の道①
2019/10/15 更新1話目
4話予定でしたが、今日は3話で_(´ཀ`」 ∠)_
近日中に2話更新します。
ギャビーが俺たちに求めていることは、今までの言い分から予想が付いていたし、実際にその通りだった。
「私が勝ったら、式部少輔を降りてください。そして貴女っ! 貴女は非礼を詫びて土下座なさい!!」
「っはぁーっ? なら私が勝ったら貴女が土下座してください。ちょっと瀧音さん! このドリル、キュインキュイン言ってるんですけど、何も思わないんですか? 何か言ってくださいっ」
「いやぁ、どうせ俺が勝つしなぁ」
「ご主人様が勝つのは当然ですね」
「きぃぃぃぃ! ここまで侮辱されたのは初めてですわ!」
「……なんだか盛り上がってるねぇ♪」
と、この状況を生み出した一番の原因は何事もなかったかのようにニコニコしてこちらを見ている。
言いたいことは山ほどあるのだが、今する事では無いだろう。
「さて、ルールなんだけど……大丈夫かい?」
ルールなんてほとんど無い。3人が同時にダンジョンへ突入。紫苑さんが待つ5層へ先にたどり着いた者の勝ち。武器は自由、アイテムも自由。危なくなったらアイテムを使って脱出。
非常にシンプルだと思う。
なぜ5層かと言えば、5層のフロアボスで一旦全員が集まることになるからだろう。
このダンジョン『黄昏の道』は、深層へ行くためのルートが複数あるダンジョンである。
次層へ行くための転移魔法陣が4つある、といえばわかりやすいだろうか。その4つの転移魔法陣はすべて別の場所にとばされる上に、それぞれが独立した1つの層になっているため基本的に出会うことは無い。選び方次第によっては同じフロアに出る可能性もあるが。
ただしボス戦がある層だけは違う、そこだけはたった1つの層しか無いため、だからこそ全員が一旦集合できた。
多分、手前のセーフティゾーンで紫苑さんは待っていることだろう。
「もちろん大丈夫です。俺と結花とガブリエッラがそれぞれ別の転移魔法陣に入りダンジョン攻略を行う。そして先に紫苑さんの待つ5層へたどり着いた者の勝ち。でしたよね」
ダンジョン5層まで行くのは、全員が余裕だろう。俺も彼女たちも。
まあ敵との相性で言えば俺よりも彼女たちの方が断然有利なのだが。
「うん。大丈夫そうだね。……さて、時間もすぎた事だし行こうか。紫苑ちゃんはもう目的地に到着した頃だろうからね。ダンジョンの入り口に行こう」
そう言ってベニート卿は歩き出し転移魔法陣へ入っていく。
「貴方が這いつくばる姿を想像するだけで、笑いがこみ上げてきますわ! おーっほっほっほ!」
「這いつくばっているのはそっちなんですけどねぇ」
俺たちも彼を追いかけてダンジョン『黄昏の道』へ移動した。
俺が壁に触れて触感を確認しながら結花達を待つ。ななみは何か確認したいことがあったのか、ベニート卿の隣で、いくつかある転移魔法陣を見ながら何かを話していた。
俺はにらみ合う二人が転移してくるのを確認し、彼女たちの後ろを歩いてく。
「あの魔法陣のどれかを選んで進むんですね……」
「ふっ、私はどうせですから一番右の転移魔法陣を選びますわ!」
と言いながらニヤリと笑ったときだった。
ギャビーが凹んだ地面に躓き、バランスを取るために壁に手を伸ばす。
「あらっ!」
「ちっ、そのまま転べば良かったのに……!」
「何か仰いまし………………?」
怒り顔のギャビーが結花に文句を言おうとしたが、それは言い切ることは出来なかった。
ゴゴゴゴゴと、まるで何か重い物を引きずるような音と地震が起きる。多分俺とななみ以外は大混乱だっただろう。いったい何が起きたのかと。
揺れ始めてから間髪入れずに結花とギャビーの足下に魔法陣のような物と、いくつかの文字が浮かび上がった。
「ヒッ」
ギャビーはこの振動でまたバランスを崩したのだろう。まるで狙ったかのようにギャビーは文字を踏んでいく。そして彼女の近くにいた結花も足下の文字を踏む。
二人で5つの文字を踏み、鳴り響いた正解のファンファーレを聞きながら、思わずマジかよ……とつぶやいてしまった。
しかし驚愕している暇はなかった。既にギャビー達の足下の魔法陣は起動し周りには蛍の光のような粒子がふわりふわりと浮かんでいる。
うん、間違いなく、隠しフロアへの魔法陣だ。
かわいそうなことに、近くにいた結花も巻き込まれてしまっていた。光に包まれながら呆然とこちらを見ている。
やはり起こってしまったか。
ほぼ確実にこんなことになるだろうなとは思って居た。だからこそ近くにいたのだ。
「ガブリエッラっ」
俺が光に飛び込んだ瞬間、ベニート卿の声が洞窟内に響く。彼の声を聞き、光に包まれながらふと思う。
珍しいよな。ベニート卿があんな驚愕の表情を浮かべるだなんて。
視界が光に包まれていく。
行く寸前に見た物は「行ってらっしゃいませ」とでも言うかのように頭を下げたななみだった。
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ガブリエッラ・エヴァンジェリスタはある意味でいつも期待に応えてくれるキャラクターだ。
見た目どおり「おーほっほっほ」だなんて高笑いするし、その性格もそうだし、何より戦闘だって期待に応えてくれる。
今回もある意味で期待に応えてくれたんだと思う。
本来ならば壁にあるスイッチなんか押さないし、それから発生したであろう暗号式魔法陣で正解のキーを押すなど、普通の人間が出来ると思えない。それでもギャビーなら、あと借金先生ならやってくれそう、と思わせるのが彼女たちのすごいところで魅力的? な所である。
さて、転移魔法陣の先はなんてことはない。ダンジョンの隠し層である。
ここまでの出来事は想定内だった。だからなるべく結花やギャビーのそばに俺はいたし、場合によってはななみにいて貰った。だからこそ俺は間に合ったのだ。
しかし予定外のことがあるとすれば、転移したところは空中だったことだろう。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁああああああ!」
「きゃぁああぁぁぁぁぁぁぁああ!」
急に浮遊感に包まれ、一瞬驚くもすぐさま二人を探す。まもなく二人を見つけると二人に向かってストールを伸ばした。
同じく落下する結花はそのストールに自ら掴まり、ギャビーは無理矢理巻き付けて引っ張った。
すぐに二人を引き寄せ腕に抱きかかえると、筋肉パラシュート……ではなくストールを大きく広げる。
ほんの少しだが落下速度が遅くなったような気がするが、このままだと地面への衝突は免れない。
二人を庇わないと、なんて身体強化を施していると隣で結花が防御力向上の補助魔法を唱えてくれた。
正直感心した。先ほどまで叫んでいた彼女だったが、どうやらこの状況でも頭をしっかり働かせているらしい。純白のパンツ丸出しでしがみつき、ギャーと叫んでいるギャビーとは対照的だ。でもそんなギャビーが可愛いんだよなぁ。
でも結花はなぜ俺にだけ補助魔法をかけているのか。
いや、理由は分かるっちゃわかるのだが、アレだよな。「瀧音さん、なんとかしろよ?」的な事なのだろう。
すぐさまストールを限界まで広げ、パラシュートをイメージして形作ると、落下スピードは更に落ちる。これなら落下に耐えられるか、だなんて思ったがその心配は不要だったらしい。着地した瞬間、足下がぐにゃりと曲がり、体に衝撃は来なかった。
どうやら足下はクッションだったようだ。
感触を例えるなら、水風船だろうか。スライムを敷き詰めたような場所に着地した俺は二人をストールで抱えて、この不思議な足下から脱出し、隣のフロアへ移動する。
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とりあえずクリックはしましたが、購入はしていません。