ダンジョン編 9 闇魔道士と調合師と女騎士の三階層
——勇者がゴーレムにしばかれている最中、闇魔道士たちは料理を食べていた!
闇魔道士
「おい貴様らメシが出来たぞ」
女騎士
「おっほ! ご飯の時間か!」
調合師
「お腹空いた……」
闇魔道士
「さて、まずは塩キャベツからだ。塩と黒ごま、そして唐辛子をきかせてみた」
女騎士
「おお美味そうだな。いただきます!」
女騎士
「シャキシャキッ んん! 適度に塩辛くていい感じだな!」
調合師
「水がしっかり切ってあって、パリパリで美味しい……!」
女騎士
「しょっぱいものを食べるとビールが飲みたくなるな」
闇魔道士
「ふっ、ビールもあるぞ」
女騎士
「さすが闇魔道士だ! ごっごっごっ……」
女騎士
「んー! 喉にしみるなあ!」
調合師
「ねえ私もビール欲しい……」
闇魔道士
「調合師にはまだ早い。ウーロン茶が冷えているから我慢しろ」
調合師
「むー」
闇魔道士
「さあ次だ貴様ら、マグロのトロ造りを喰らうがいい!」
女騎士
「うおお、まさかダンジョンの中でマグロの刺身が食べられるなんて思わなかったぞ!」
闇魔道士
「刺身が出せるのはダンジョンに潜って間もない今だけだ、しっかり食え」
調合師
「何か得した気分だわ……」
女騎士
「ぱくっ。 んん! 口に入れた瞬間とろけたぞ! 甘くて、マグロ本来の甘みが存分にのっている!」
調合師
「しかも一切くさみが無い……、上物なのね」
闇魔道士
「ふん、我が中途半端なモノを使うとでも思っているのか」
女騎士
「ごっくごっく、ふあぁ、ビールが美味しい……、酔ってきた……」
闇魔道士
「ククク、まだ酔うのは早いぞ」
調合師
「ああ、すでに良い匂いが……!」
闇魔道士
「次は地鶏のつみれスープだ!」
女騎士
「ふああ、もうけっこうお腹いっぱいだったのに、鶏肉の良い匂いを嗅いだらまたお腹が空いてきた……」
闇魔道士
「ナメコにマイタケ、そして香りを出すために柚子の皮も刻んで入れておいた」
女騎士
「ズズズ…… 、 あー、あったまるな」
調合師
「噛んだ瞬間にジューシーな肉汁が口の中いっぱいに溢れ出すわ……!」
女騎士
「しかも柚子の爽やかな香りが鼻に届いて良い感じだ……、あー良い気持ちだ」
闇魔道士
「トドメといこうか! その欲深き胃袋に刻むが良い! 我が闇魔法究極の奥義! 白玉を!」
調合師
「闇魔法なのに白玉なのね……」
闇魔道士
「お黙り!」
女騎士
「んん、モチモチしていて、素朴な甘さが良い感じだな」
調合師
「ふぅ、お腹いっぱい」
女騎士
「ごちそうさまだ! ありがとう闇魔道士!」
闇魔道士
「腹が一杯になった所で余興でもどうだ」
調合師
「余興?」
闇魔道士
「ああ。我の初恋の話でも」
女騎士
「えー」
闇魔道士
「えー、じゃない!」
つづく
ちょっとインスパイアされたんです。




