ダンジョン編 6 勇者と狂戦士の二階層
――勇者と狂戦士は2階層を進んでいた!
狂戦士
「あーあ、退屈だ。退屈過ぎてアクビが出るわ」
勇者
「もっと集中しろよ。いつモンスターが出てくるか分からないんだぞ」
狂戦士
「全く、テメェみてぇなムサイ男じゃなくて女と一緒が良かったぜ!」
勇者
「お前は調合師から死ぬほど嫌がられてたろうが」
狂戦士
「はあ、その辺から裸の女でも出てこねえかなぁ」
――裸のおっさんが飛び出してきた!
勇者
「うわぁ汚い!」
狂戦士
「ヒャッハー! 裸の女だぁ!」
勇者
「目ぇ腐ってんのか!?」
おっさん
「よく私が裸の女だと分かりましたね」
勇者
「お前も女で通そうとするんじゃねえ!」
狂戦士
「で、コイツ殺っちまって良いのか?」
勇者
「ちょっと待て、どうやらモンスターじゃなさそうだぞ」
おっさん
「まあ私はモンスター級の変態ですがね」
勇者
「黙れや」
狂戦士
「なんで服 着てないんだ?」
おっさん
「ほう、それは想定外の質問ですね」
勇者
「いや、だいたい一番最初に飛んでくる質問だろ」
おっさん
「私は妖精なのです」
勇者
「は?」
狂戦士
「なるほど」
勇者
「なるほど!?」
狂戦士
「なんで俺たちの前に飛び出してきた」
おっさん
「実は私はもともとこんな姿では無かったのです。ドラゴンの呪いでこのような醜い姿に……」
勇者
「ほう」
おっさん
「私が妖精だったころは空も飛べましたし、股間にイチジクの葉もセッティングしておりました」
勇者
「今とたいして変わってねーじゃねえか」
狂戦士
「で、俺たちにドラゴンの討伐をしろってか?」
おっさん
「はい。あなた方の腕を見込んでのお願いです。お礼なら致しますから……」
――狂戦士はいきなり大剣を地面に向かって振り下ろした!
おっさん
「ひぃ!」
狂戦士
「ヒヒヒヒヒ! 妖精風情がこの狂戦士様に命令しようなんざ3時間早えんだよ!!」
勇者
「ギリギリだったんだな」
おっさん
「す、すみませんでした!」
勇者
「おい、その辺にしとけよ狂戦士。別に悪気があったわけじゃあ……」
狂戦士
「ところでおっさん裸で寒くねぇのか?」
勇者
「何その不意に見せる優しさ」
おっさん
「寒いです」
勇者
「寒いのかよ!」
狂戦士
「このカブトムシのエサのゼリーを食べて温まれ」
おっさん
「ありがとうございます」
勇者
「会話に付いて行けねえ!」
おっさん
「お礼に、この伝説のアイテムをプレゼントします。どうぞお使いください」
勇者
「お、何くれるんだ?」
おっさん
「イチジクの葉です」
勇者
「それお前が股間に付けてたヤツだろ!!」
狂戦士
「うめぇ」
勇者
「食ってんじゃねえよ!!!」
――勇者、狂戦士、第二階層 突破!
続く
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