勇者と魔法使いのショートコント ケンカ編
――魔法使いは勇者に呼び出されていた!
魔法使い
「どうしたんですか私を呼び出すなんて珍しいですね。プロポーズですか? それとも結婚の日取りの相談ですか?」
勇者
「どっちでないわ」
魔法使い
「では何でしょうか」
勇者
「ウチのメンバーって俺も含めて弱すぎると思うんだ。お前以外な」
魔法使い
「はあ」
勇者
「それで、強くなるために今度みんなでダンジョンに潜ろうと思うんだ」
魔法使い
「いいじゃないですか」
勇者
「お前抜きで」
魔法使い
「……え?」
勇者
「お前に頼ってたら俺たちはいつまで経っても強くなれないままだ。だから今回はお前には」
魔法使い
「そんなにチンチンちょん切られたんですか?」
勇者
「ちょっと落ち着け! 話を最後まで聞け!」
魔法使い
「最後まで聞かなくても私がハブられてるってことだけは分かりますよ! どうやって落ち着けっていうんですか!」
勇者
「別にお前をハブるってつもりは……」
魔法使い
「他の3人とイチャイチャするために私は邪魔になったってワケですね!」
勇者
「3人って、闇魔道士も入ってんじゃねーか!」
魔法使い
「私のいない間に何をする気ですか!」
勇者
「何ってモンスターと戦ったりお宝を探したり……」
魔法使い
「嘘ですね! どうせみんなで手首を切り合ったりガソリンを掛け合ったりするんでしょう!」
勇者
「悪魔崇拝者でもそんなヤバいことしねぇよ!」
魔法使い
「……誰ですか?」
勇者
「誰って?」
魔法使い
「勇者さんは一体誰の子を身ごもってるんですか!」
勇者
「なんで俺が身ごもる側なんだよ!」
魔法使い
「だって勇者さんそろそろ産卵のシーズンじゃないですか!」
勇者
「鮭か俺は!」
魔法使い
「認めませんからね! 私は絶対に勇者さんと離れたりしませんからね!」
勇者
「頼むよ。俺は勇者としてみんなを守る力が欲しい。このまま弱いままじゃ嫌なんだ。どうしても修行がしたいんだ」
魔法使い
「……そこまで言うなら分かりました。でもこの埋め合わせは絶対にしてもらいますからね」
勇者
「ああ、わかってるよ」
魔法使い
「じゃあ勇者さんがダンジョンから帰ってきたら、朝起きて夜寝るまでずっと私と目を合わせて過ごすこと」
勇者
「重い重い重い!」
魔法使い
「私に対する返事は全て『ワン』で答えること」
勇者
「……ワン」
――魔法使いは勇者の頬を叩いた!
魔法使い
「口答えしないでください!」
勇者
「どうすりゃ良かったんだよ!?」
魔法使い
「最後に、私の靴を舐めてください」
勇者
「いやだよ!」
魔法使い
「じゃあ駄目です! 私抜きでダンジョンに潜ることは許しません!」
勇者
「くっ……!」
魔法使い
「さあさあ!」
勇者
「くっころぉ!!!」
――こうして勇者は魔法使い抜きでダンジョンに潜ることとなった!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




