勇者の居ぬ間にショートコント
——勇者は戦闘で負傷して寝込んでいた!
闇魔道士
「勇者の様子はどうだった?」
調合師
「もうだいぶ良くなったわ……。私の調合薬を飲んだのから当たり前だけれど」
闇魔道士
「しかし勇者が薬を飲んだ瞬間『へパー!』と叫んでぶっ倒れた時はどうしようかと思ったぞ」
調合師
「気のせいよ」
闇魔道士
「何が気のせいなんだ」
女騎士
「おい調合師! 言われた通り薬草を取ってきたぞ」
調合師
「どうも……」
女騎士
「そういえば魔法使いはどこに居るんだ?」
調合師
「あの女なら、今勇者の看病をしているわ……」
闇魔道士
「やはり奴は勇者思いだな」
魔法使い
「そうです! 私と勇者さんは太い運命の赤い糸でガッチリ結ばれているのです!」
闇魔道士
「貴様が一方的に締めつけているだけのような気がするが」
女騎士
「魔法使い、もう勇者に付いていてあげなくていいのか?」
魔法使い
「ええ。傷口も塞がって熱もすっかり下がって、今はもう疲れて寝ているだけの状態ですよ」
女騎士
「良かった良かった! くっころ良かった!」
魔法使い
「それに、勇者さんの耳元で『貴方は魔法使い無しでは生きられない身体になる……、貴方は魔法使い無しでは生きられない身体になる……』ってしこたま暗示を掛けましたからね!」
調合師
「キモい……」
闇魔道士
「しかし勇者は弱いくせに前衛に出過ぎだな」
魔法使い
「ホント危なっかしくて見てられませんよ。負けん気だけは一丁前なんですから」
闇魔道士
「まあ何だかんだ言って憎めない奴ではあるが」
調合師
「そうね。勇者は時々キモい時もあるけれど……、いつもお菓子を分けてくれるから好き……」
魔法使い
「あれあれ可笑しいですねぇ。私は一度も勇者さんからお菓子をもらった事ないのに可笑しいですねぇ。これは勇者さんが目を覚ましたら拷問しないといけませんねぇ!」
女騎士
「まあよせ魔法使い」
魔法使い
「何ですか! 女騎士も勇者さんにお菓子で落とされたんですか!」
女騎士
「くっころ!(訳:冗談はよしてくれ!) 私はお菓子なんかで買収されたりしないさ! だが私も勇者のことは好きだぞ。勇者は私にとって掛け替えのない『くっころ』だからな!」
闇魔道士
「掛け替えのある『くっころ』もあるのか?」
女騎士
「そんな気味の悪いものがあってたまるか!」
闇魔道士
「なんだその沸点は」
女騎士
「勇者はこのパーティーで『くっころ力』が一番高いからな! 私が何としても一人前の女騎士に育てなければ!」
魔法使い
「それは駄目です! 勇者さんは私の犬として調教するんですから!」
女騎士
「では勇者を一人前の女騎士にした後、快楽落ちさせるのはどうだろう」
魔法使い
「へえ! 女騎士もたまには良いこと言いますねえ!」
調合師
「(変態どもの方向性が一致した……!)」
闇魔道士
「ほう、なんだかんだで勇者はみんなに思われているのだな」
調合師
「歪んでるけどね……」
終わり
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