勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント
勇者
おい魔法使い。新しい仲間を紹介するぞ。
闇魔道士
我は闇魔道士。今日から魔王討伐に同行することになった。よろしく頼む。
魔法使い
よろしくお願いします。ところで勇者さん。
勇者
何だ?
魔法使い
この闇魔道士とやらは本当に魔法使えるんですかね?
勇者
うーん。ノリで仲間にしちゃったから、こいつが魔法使うところ未だ見てないんだよなあ。
闇魔道士
ほう魔法使いとやら。貴様はどうやら我がただのカニであると言いたいらしいな。
魔法使い
カニとは思ってないですが。
闇魔道士
それでは見せてやろう。闇魔法『ゾンビを作ろう』!
勇者
工作キットみたいな技名だな。
闇魔道士
ではまず生き物の死体を用意します。
勇者
ワクワクさんかお前は。
魔法使い
さっき食べ終わった魚の骨を使ってください。
闇魔道士
では拝借して……。いくぞ!ホイヤー!
勇者
……。
魚の骨
ア――!
勇者
うわ魚から手足が生えた!なんでだ!?
魔法使い
しかも不気味な声で鳴いてますよ! アハハ!
闇魔道士
見たか! これぞ闇魔法! 我はこの程度の大きさであればあと100匹はゾンビを作れるぞ!
魚の骨
ア――!
勇者
どっから声出してんだお前は!
魚の骨
腹から。
勇者
腹ないだろお前……。おい闇魔道士。不気味だから止めてくれよ。
闇魔道士
無理だ。
勇者
なんで無理なんだよ!
闇魔道士
我は闇魔道士。光を闇に変える術は知っていても闇を光に変える術は知らぬのだ。
勇者
カッコつけてんじゃねえ!
魔法使い
とりあえず踏み潰しますねー。
魚の骨
ワ――
勇者
毎度ためらいないなお前……。
闇魔道士
しかしこれで我こそ本物の闇魔道士であることは分かってもらえたであろう?
魔法使い
ねえ闇魔道士さん。
闇魔道士
なんだ?
魔法使い
私、10㎞先の標的も簡単に仕留める魔法が使えるんです。
闇魔道士
!?
勇者
それ魔法じゃないけどな。
魔法使い
私、半径1㎞を火の海に変えることも出来るんです。
闇魔道士
……何……だと……?
勇者
それ使ったら俺たちも巻き添えだけどな。
魔法使い
そんなわけで闇魔道士として仲間になるからには、私より強力な魔法が使えないと話になりませんね。
勇者
いやそれは困るんだけど。
闇魔道士
フッ。面白い。そこまで言うなら見せてやろう。とっておきの闇魔法を!
勇者
おい危ないから張り合うなよ。
闇魔道士
ゆくぞ! 必殺! 『闇鍋』!!
勇者
闇鍋じゃねえか。
魔法使い
あ。でもすごく良い匂いがしますよ。
闇魔道士
そうであろう! これはカツオブシで出汁をとった通称「闇汁」にタラ! アンコウ! 牡蛎! 春菊! カニ! ネギ! の通称「闇マテリアル」をぶち込んだもの!!
勇者
ただの海鮮鍋じゃねえか!
魔法使い
いただきます!
勇者
さっそく食べやがった。
魔法使い
あ、熱、タラがまろやかに口の中で溶けて、お、おいひぃ……!
勇者
クソ! 俺まで腹減ってきやがった。
魚の骨
あ、ワシが皿を持ってきてやろう。
勇者
生きてたのかよ。
闇魔道士
どうだ魔法使い! 我が闇の味は!
魔法使い
ハフハフ(合格)。
勇者
闇とは……?
終わり
お読みいただきありがとうございました!




