聖女と狂戦士のショートコント
――とある墓地にて!
聖女
「ああ、神よ……」
狂戦士
「ヒャッハー!」
聖女
「ひぃ! 墓の下から何か出てきた!? あなたはセミですか!?」
狂戦士
「セミではなぁい! 俺は天下の狂戦士ぃ!」
聖女
「そんな……。でも、どうしてお墓の下から出てきたのですか!?」
狂戦士
「ヒヒヒ! それは俺が狂戦士だk……」
聖女
「もしかしてお墓愛好家さんですか!?」
狂戦士
「は?」
聖女
「やっぱりそうなんですね! お墓って良いですよね。眺めているだけで心が癒されるというか……」
狂戦士
「違う! 俺様はそんな気味の悪いモンじゃねえ!」
聖女
「お墓から這い出してきた人が言うセリフではないですね」
狂戦士
「ヒヒヒ! 何とでも言え! そして食い物をよこせ!」
聖女
「あらお腹が空いているのですね、可哀想に」
狂戦士
「俺を哀れむな! とっとと食い物を出しな!」
聖女
「こちらのコウモリのミイラ(30年もの)と悪魔の右腕とどっちがいいですか!」
狂戦士
「どっちも食えねえよ!」
聖女
「お腹が空いているのに遠慮してはいけませんよ! さあさあ!」
狂戦士
「いや食ったら死ぬだろ!」
聖女
「きっとそれなりに大丈夫ですよ!」
狂戦士
「(コイツはヤバい。これ以上関わらないでおこう) ……ふん! 今日のところは勘弁しておいてやるぜ!」
聖女
「ああっ、お待ちになって!」
――聖女は狂戦士の腕を掴んだ!
狂戦士
「なんだよ!」
聖女
「せっかくですからもう一度 土に戻ってみませんか!?」
狂戦士
「イモか俺は!?」
聖女
「ふふふふふふ。ちょうど、素敵な墓標を入手したところなんです!」
狂戦士
「ええ……」
聖女
「それで、丁度お墓に入れる死体を探しいていた所なんですよ!」
狂戦士
「誰が死体なんだよ!」
聖女
「これからなるんですよね?」
狂戦士
「ならねえよ!」
聖女
「……分かりました」
狂戦士
「やっとか……」
聖女
「貴方にはお墓の素晴らしさを一から説明する必要がありそうですね!」
狂戦士
「いや狂ってんのか!?」
聖女
「この広大な敷地に広がる墓標の数々をご覧ください!」
狂戦士
「バスガイドか」
聖女
「これらは全て私が建てた墓標なのです!!!」
狂戦士
「……今なんて?」
聖女
「ですからこれらは全て私の墓標コレクション! この一つ一つが特注品なのです!」
狂戦士
「……え? あ、ああ、なるほど、墓標集めてるだけで下に死体は入ってないわけね」
聖女
「ところが全てのお墓に死体IN!!!」
狂戦士
「いやタコ焼きか!!?」
聖女
「狂戦士さんの立っている隣は私の祖母のお墓、そのまた隣は祖父のお墓、その隣は昔飼っていた犬のお墓、その隣は3日前にふんずけてしまったバッタさん」
狂戦士
「なるほど手当たり次第に死体を埋めてるわけだな……」
聖女
「その隣にはお世話になった神父先生、その隣にはお世話になった老シスター、その隣には3日前に突然死したお隣さんのおばあさん、その隣には1週間前に私の目の前で泡を吹いて倒れt」
狂戦士
「祟りか!!!」
聖女
「さあそろそろ私の『墓コレ』に加わる覚悟はできましたね!?」
狂戦士
「略すな!」
聖女
「さあ怖がらないで! 痛いのは最初だけ……」
狂戦士
「ひっ! ひゃああああ!」
――狂戦士は逃げ出した!
聖女
「ああ! お待ちになって!」
――こうして狂戦士の逃避行が始まるのだった!
終わり
お読みいただきありがとうございました!




