勇者と闇魔道士と女騎士のショートコント
闇魔道士
「秋と言えば?」
勇者
「なんだよ急に」
闇魔道士
「秋と言えば?」
勇者
「……読書の秋とか?」
闇魔道士
「貴様は死刑だ」
勇者
「なんでだ!」
闇魔道士
「秋と言えばアレしかないであろう」
女騎士
「なるほど、くっころの秋だな」
闇魔道士
「貴様はくっころの刑だ」
勇者
「もう処されてるよ」
闇魔道士
「貴様らは何も分かっていない。秋と言えば食欲の秋だろう!」
勇者
「食欲かぁ」
闇魔道士
「秋の味覚と言えば何を思い浮かべる?」
勇者
「秋の味覚と言えばサンマだな」
女騎士
「よせ勇者!」
勇者
「どうした?」
女騎士
「それは邪悪な呪文! 聞いただけで腹が減ってくる!」
勇者
「……うん、サンマに塩をまぶして焼いてホクホクでサクサクになったところをご飯と共にかっ込みたい」
女騎士
「くっころぉ!」
――女騎士は倒れた!
勇者
「なんでダメージを受けてるんだ」
闇魔道士
「この鬼畜サンマ男!」
勇者
「俺に変なあだ名をつけるな!」
闇魔道士
「こうなったら我と料理対決だ」
勇者
「なんでそうなるんだよ!」
闇魔道士
「我は今無性に料理を作りたいのだ」
勇者
「いや俺が料理人に勝てるわけねえだろ」
女騎士
「審査員は私が! 私がやる! そしていっぱい食べるぞ!」
勇者
「よだれ垂れてんぞ」
女騎士
「違う! これはくっころだ!」
勇者
「全身凶器か」
闇魔道士
「作る料理は貴様が選んでいいぞ」
勇者
「よし分かった。ただし負けた方は罰ゲームとして一週間『ボン』以外の言葉を発せないことにしよう」
闇魔道士
「ボン!」
勇者
「なんで今言ったんだ」
女騎士
「くっころボン!」
勇者
「飲み会の罰ゲームにありそうな響きだなそれ」
闇魔道士
「それで、何の料理で勝負する?」
勇者
「(手の込んだ料理ほど俺の勝機は無くなる……)卵かけご飯にしよう」
闇魔道士
「ふっ、良いだろう」
――二人の料理が出そろった!
闇魔道士
「先ずは我の番だ」
女騎士
「よだれが、よだれがくっころ止まらないぞ……!」
闇魔道士
「さあ喰らうのだ女騎士!」
女騎士
「いただきます! ……くっころ美味しいいい!」
勇者
「語彙の少なさが致命的だな」
闇魔道士
「ふん、そういう貴様はどんな卵かけご飯を作ったのだ?」
勇者
「俺が卵かけご飯だ」
闇魔道士
「は?」
勇者
「考えたんだが、どんなに単純な料理でも勝てないからな。それなら最初から俺の選択肢は決まっている。俺が卵かけご飯になることだ」
闇魔道士
「なるほど分からん」
女騎士
「くっころ力高い」
勇者
「さあ女騎士、俺を食べろ!」
女騎士
「いや無理だろ」
――こうして勇者の一週間「ボン」しか言えない罰ゲームが執行されるのであった!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




