勇者とお姫様のショートコント!
勇者Aのお話です。
——勇者はとある城に潜入していた!
勇者
「ここがお姫様の部屋か。グヘヘ、可愛いんだろうなぁ。お邪魔しまぁす」
お姫様
「誰!?」
勇者
「どうも勇者でぇす……ってあれ?」
——部屋の中にいた少女はあまりにも太っていた!
勇者
「……あれ、お姫様どこ?」
お姫様
「私ですわ!」
勇者
「いやでもここ豚小屋だよね」
お姫様
「ちょっと誰が豚ですの!」
勇者
「えっ、本当にお姫様!? でもこの国のお姫様は絶世の美女として有名だったはずじゃあ……」
お姫様
「私が痩せていた頃はそう言われていました……。ですが外に出られないストレスでこのような体型に……」
勇者
「ちなみに今何kgあるの?」
お姫様
「300kg弱ですわ」
勇者
「張り手でゴーレム殺せそう」
お姫様
「それで、貴方は何をしにいらっしゃったのですか?」
勇者
「いや、それなんだけどさぁ」
お姫様
「ハッ! まさか私を襲いにきたのですか!? ケダモノ! オーク!」
勇者
「どっちかっていうとお前がオークだろ」
お姫様
「まあ失礼してしまいますわ! プンプン!」
勇者
「フゴフゴだろ」
お姫様
「豚じゃないって言っているでしょう!」
勇者
「っていうか侵入者が入ってきた割には落ち着いてるなお姫様」
お姫様
「実は私、こんな機会をずっと待っていましたの」
勇者
「ほう」
お姫様
「お願いです! 私をこのお城から連れ去って!」
勇者
「いや物理的に無理だろ」
お姫様
「そんな!」
勇者
「そんなに太ってるからな」
お姫様
「私、退屈ですの。このまま老いて死ぬなんて絶対に嫌ですわ!」
勇者
「老いより先に糖尿病にやられそうだけど」
お姫様
「理由はそれだけじゃありませんのよ!」
勇者
「死亡原因が?」
お姫様
「私、望まない相手と結婚させられる予定ですの」
勇者
「何その(相手にとっての)死刑宣告」
お姫様
「あんな男と結婚するなんてイヤ!」
勇者
「相手もきっと人間と結婚したいと思ってるよ」
お姫様
「ねえ勇者とやら、お願いですわ! 私は外の世界を見てみたいの!」
——お姫様は窓を開け放った!
お姫様
「あの空飛ぶ小鳥をご覧になって!」
勇者
「あの小鳥のように飛んでいきたいとか言うなよ」
お姫様
「とっても美味しそうですわ……」
勇者
「捕食対象かよ」
お姫様
「もし城から出る事が出来たらお礼にキスして差し上げますわ!」
勇者
「罰ゲームか」
お姫様
「はあ、やはり私がお城から出ることは叶わないのですね……」
勇者
「今は、な」
お姫様
「今は?」
勇者
「俺がダイエット手伝ってやるよ。そんで痩せたら一緒に冒険しようぜ」
お姫様
「勇者……」
勇者
「そんじゃ今日は帰るわ」
お姫様
「ああっ、お待ちになって!」
勇者
「ん?」
お姫様
「あの小鳥を取ってきてくださらない?」
勇者
「やっぱり食べる気じゃねえか!」
——こうして勇者のお城通いが始まった!
終わり
お読みいただきありがとうございました!




