勇者と魔王のショートコント ROCK
勇者
おい魔王。バンドやろうぜ。
魔王
いきなり何を言いだすかと思えば。私はやらんぞ。
勇者
なんだよノリ悪ぃなー。そんなんだからモテないんだよ。
魔王
お前に言われたくないわ。
勇者
じゃあお前がボーカルでいいから。
魔王
やらんと言っておるだろう。
勇者
じゃあお前がマイクでいいから。
魔王
どういうことだ!
勇者
先っぽだけでいいから。
魔王
やめろ!
勇者
でもバンドは楽しいぞ。あの観客と一体になる感覚は何度体験しても最高だ。
魔王
ふん、私はすでに世界を支配する存在。お前らのお遊びなどに興味はない。
勇者
甘いな。
魔王
なんだと?
勇者
俺の歌を聴けええええええ!
魔王
いきなり叫ぶな! ……ん? どこからか音楽が流れてくるぞ?
勇者
俺が作詞作曲した歌、「勇者の逸物」だ。
魔王
曲名だけですでに不穏なんだが。
勇者
♪俺は勇者さ!ファック!
魔王
いきなりクソみたいな歌詞だな。
勇者
♪俺は孤高のロッケンローラー! 今日も魔物を倒して! ファック!
魔王
倒してアレしたみたいなんだが。
勇者
♪俺の剣はエクスカリバー! 使い道はファック!
魔王
ファックで踏み倒すな!
勇者
♪今日も魔王城へ行きー。
魔王
おい来るな来るな。
勇者
♪魔王をファック!
魔王
曲を止めろ!
勇者
あースッキリした。
魔王
この魔王城でなんて曲を歌ってくれたんだ貴様。
勇者
お前も歌ってみろよ。ストレス解消になるぞ。
魔王
私の抱えているストレスの9割9分は貴様に原因があるからな。
貴様を殺した方が早い。
勇者
そうカリカリするな。バンドが嫌ならアイドルでもやってみたらどうだ?
魔王
アイドル?
勇者
そうだ。ただ恐怖で支配するだけではなく、歌って踊って民からの求心力を得るんだ。
魔王
ほう。面白そうだな。
勇者
じゃあ俺が芸能事務所を立ち上げよう。
魔王
今更だがファンタジー要素が!
勇者
そして俺と枕営業をしよう。
魔王
そして、じゃないわ!
貴様の頭の中にはそれしかないのか!
勇者
やめてください社長さん! ワタシはそんな事してまでアイドルを続けたくありません!(裏声)
魔王
しかも貴様がアイドル側なのか!
勇者
グヘヘヘヘへ! そう固いことを言うな! ちょっと背中に蝋燭を垂らすだけだよ社長!
魔王
結局誰なんだ貴様は!?
勇者
まあアイドルにも色々あるということだ。
魔王
全然うまくまとまってない!
勇者
ということで、この魔王城は今日から芸能事務所「魔王城」になります。
魔王
ならんわ!
終わり
お読みいただきありがとうございました!